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2008年7月30日発行
 
焦点 ISSUE 隣にいる北の工作員 
 


戸惑う韓国情報部員 社会全体に北の影が… 
マスコミ、軍、情報機関…

 国家安保の第一線で活動してきた韓国情報員は、少なからず近年の韓国に戸惑いを覚えている。北朝鮮の工作員は行政・立法・司法のみならず、マスコミや文化活動などにも進出。一部は軍や情報機関にも入り込んでいるとまで言われている。「韓国論壇」は最新号で「失われた15年 元情報員の告白」と題した記事を掲載した。記事中で証言を行ったのは、国家安全企画部(現・国家情報院)の情報員たちだ。

 「6・15」の南北共同宣言を記念するイベントを行う市民団体
 

工作員の暗躍は金泳三時代から

 1993年の大統領就任式。金泳三大統領は就任辞で「どの同盟国よりも民族(北朝鮮)を優先する」と述べた。来賓席の駐韓米国大使と国連軍司令官は怪訝な視線を金泳三に投げかけた。
 この頃から、工作員への捜査が佳境を迎えると、必ずといっていいほど別部署の秘書官が情報機関上部に訴え、捜査を中止させようと試みてきた。情報員も徐々に「事なかれ主義」に陥り、工作員への捜査機能はまひしていった。


金大中政権下で大量に解雇された情報員

 1998年に金大中政権が発足すると、対北情報員は大量に解雇された。対北情報部署は解体されたに等しかった。
 一般市民からも恐れられていた韓国中央情報部(KCIA)から改称された「国家安全企画部」は国家情報院と改称し、各警察署の保安課は情報保安課に改編された。人員は10分の1に激減した。
 街中や地下鉄に張られていた「スパイは情報院・軍・警察に申告しましょう」という標語は、いつの間にか「南北同一民族同胞として、心ひとつに平和統一と祖国繁栄を達成しよう」という標語に張り替えられた。


市民団体の一部は工作員の巣窟

 ほとんどの市民団体には北朝鮮の工作員が紛れ込んでいると金さんは指摘する。
 「○○問題研究所・部長」、「○○連合・局長」といった名刺を片手に、何食わぬ顔で周囲の人々を団体内に取り込んでいく。平壌なまりを使うスパイの面影はまったくない。どこにでもいるおじさんといった雰囲気だ。
 工作員の活動は、盧武鉉政権下でさらに活発化した。
 同窓会、同門会、同郷者の集まりなどにこまめに顔を出し、その団体の幹部に推挙されれば100万ウォン程度の小切手を寄付金として出す。
 一言挨拶を、となると、所属する市民団体と職責を名乗り「みなさんも民族の統一に協力してください」と呼びかける。


工作員の多数は韓国で調達

 韓国情報機関の力が弱まったことに気をよくしたのか、ある北朝鮮工作員は饒舌に話した。
 「かつての“統一の担い手”は、北でスパイ教育を受け、わずかな工作資金を手に韓国にやってきた。だが、情報員の影におびえ、生活に困窮したのは盧泰愚政権発足までだった」
 工作員は、90年代以降に本格化した親北的な歴史教育により、40代以下の世代が「祖国の平和的統一を切望するようになった」という。米軍基地の前で「米軍は韓国から出て行け」などと気勢を上げるのは、北朝鮮の“現地採用工作員”と元情報員は指摘する。
 ある情報員が、退職した元情報員に語った。
 「北朝鮮の工作に断固として対応できる政権が発足すれば、南北で暗躍する工作員の80%が一網打尽にできる」
 工作員が一般人を装って表舞台に登場することが増えたため、彼らに関する報道や文献もその分増えた。情報員は工作員の情報を大量に保管しており、かつて上層部の判断や証拠不足で検挙できなかった工作員も検挙可能になっているという。


対南工作組織 ソウルに拠点
労働党の大物常駐 情報つつ抜け

工作機関はソウルに現地本部を設置

 下級工作員が北の指令を受けるために、南北を往復した時代は遠い過去のことだ。対南工作組織の一部はソウルに拠点を構え、毎日の指示出しと報告受け付けを行っている。
 北朝鮮の対南工作は、金正日↓労働党対南担当↓党対南連絡部秘書↓統一戦線部作戦部↓中央党35号室経由で指示が伝達される。
 公の場では「祖国平和統一委員会」、「韓国民主戦線中央委員会」や「南朝鮮問題研究所」などの名で南北長官級会談、経済交流会談などを行っている。統一戦線部には韓国事情を数十年にわったって研究してきた専門家が3600人以上おり、南北交渉の場で韓国側を手玉に取る。


送り込まれた北朝鮮スパイ2万人

 90年代、工作員が北朝鮮工作部と交わした無線通信は、一日約10万件だった。金大中政権下で一日50万件を超え、盧武鉉政権になると1万件以下に激減した。
 電子メールの普及とともに、韓国国内の工作拠点に北朝鮮政権でもトップ20に入るような大物が常駐していることが理由と見られる。
 まるで、米軍の撤退にともない、サイゴンに対南工作拠点を築いた北ベトナムのようだ。北朝鮮が大物を送り込んだことも、次長クラスの人物をサイゴンに置いた北ベトナムの手法と同じだ。
 北朝鮮は、崩壊寸前の東ドイツとも似ている。
 当時、西ドイツには1万人以上の東ドイツ工作員たちが潜伏していた。西ドイツの首相秘書室機密文書担当官まで工作員だったこともあった。朝鮮戦争以降、北朝鮮から韓国に送られたスパイは約2万人。当時のベトナムやドイツより深刻だ。


韓国と情報交換を中断した米国

 米国のCIAや軍情報部隊は、金泳三政権の発足直後、韓国との情報交換を中断した。韓国側に提供した情報が、数日のうちに金正日の耳に入っていたからだ。
 米国に代わる情報源となったのは、北朝鮮の工作員と同じく警戒の対象だった中国共産党の工作員だ。
 92年の韓中国交正常化以降、たびたび情報を交換する関係になり、北朝鮮の核実験後も情報交換を行った。
 中国の情報員とのやり取りを通じ、韓国情報部は極秘情報の重要性を改めて知ることになったという。

 
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