県が2008年度中の導入を目指すドクターヘリの第2回調査検討委員会が29日、青森市内で開かれ、ヘリ運航要領の骨子が固まった。出動基準(要請基準)には重症の外傷・疾患だけでなく、本県の医療事情を考慮して産科救急を明記することでまとまった。これで運航に向けた医療的側面の合意形成がなされたことになり、県は8月中にも運航開始時期と配備先(暫定)を決めた後、国庫補助を申請する。
会合では県が示した出動基準、搬送先決定方法、家族の搭乗に関する案に同意した。
出動基準は(1)特殊救急疾患の患者(重症熱傷、多発外傷など)で搬送時間の短縮を特に図るとき(2)救急現場で緊急診断処置に医師を必要とするとき―など4項目のほか、委員の意見で産科救急(母体、新生児、未熟児の搬送)、患者の病院間搬送を加えた。
搬送先はヘリ搭乗医師が搬送時間、患者の容体、家族の希望などを考慮して決める。家族は搭乗医師の判断で、状況によって1人まで添乗させることができるとした。
また災害時の運用については隣県への出動も含めて、県の承認を得て行うこととした。
県医療審議会では、県立中央病院を中心に運航することを申し合わせているが、同病院は救命救急センターなどをさらに充実させる必要があり、県も早期運航を目指しているため、県病が機能を充実させる間、同センターを有する八戸市民病院を暫定的な基地病院に運航する見通し。運航は早ければ09年1月からとなる見込み。
出動基準に産科救急を明記する理由について、県側は周産期医療体制が弱くなっている県内の事情や、広い面積に人口が分散している県土構造などを挙げている。