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元ファンドマネージャーのバイト日記

2008-07-30

IPOを目指すスタートアップのベンチャーが知っておいたほうがいいこと

09:03

最近は市況がさめきってるせいでIPOを目指す人も少なくなってきたようですが、個人的には来年あたりおそらく市場を賑わすために上場の門戸が緩くなってくるのではないかと思ってます。

実際に証券会社監査法人なんかが新規のIPO候補の会社を多く取り始めたとの話も聞いてます。そこでここから上場を目指そうとするベンチャーの人たちが知っておくと便利なノウハウを紹介。


1、規程集は早めに作る

規程集ができないとなかなか権限分離や組織の固定ができないのですが通常は着手はかなり後回しになってしまいます。

しかし人が増えてくると組織の変更は非常に大変です。なので人が少ないうちに早めに着手するのがベターです。

必要なものは上場を目指すベンチャーが揃える必要のある規程集を参照。


2、証券印刷会社はかなり使える

証券印刷会社は一番最後でいいという風に軽視されがちなのですが実はかなり使えます。

ベンチャーレベルではほとんどノウハウがない1の部や2の部の作り方の資料や書式のテンプレートなどいろいろ参考になるものをくれます。ちなみに規程集のテンプレートはこのサービスですべて揃います。

コストも年間数万円程度で使えるので早めに使っておいて損はないです。

証券印刷会社が具体的に行うことは証券印刷会社の役割(IPO準備編)を参照。


3、信託銀行は早めに付き合ってもいい

信託銀行と契約すると株主名簿や株主総会の招集手続きなどの事務をすべて任せることができますのでミスの起こりがちな株主総会周りでの会社法の面倒な対応から解放されるのはメリットの一つです。

ただそれよりもポイントは登記簿に株主名簿管理人の記載が行われるため、ファイナンスや与信調査の際に比較的いいイメージを与えることができます。

コストは月に5万円前後なのでそのコストをかける余裕があるなら契約をお勧めします。

信託銀行が具体的に行うことは信託銀行の役割(IPO準備編)を参照。


4、創業後すぐに従業員向けストックオプションの枠をとる

従業員向けのストックオプションの枠取りはなるべく営業開始前に行っておくほうがベターです。

発行に関してはベンチャー企業のためのストックオプション発行術などを参考に。



5、できるだけ早くに上場経験者をチームに引き込む

上場は通常は行わない業務が大量に発生するため、やはり経験した人が1人はいないと厳しいです。

そのためできるだけ早くに上場の準備を経験した方を1人は引き入れておいたほうがいいです。探し方としては現役チャレンジ支援事業などを使うのがお勧めです。

対外的もそういう人材がいることが上場の可能性に関して非常に大きな与信となります。


6、できるだけ早い時期に融資を受ける

お金が足りていても足りていなくても新創業融資制度などを利用して融資をできるだけ早くに受けておきます。

資金調達する経験を一度積んでおくことは非常に価値があるだけでなく、一度融資を受けて完済の実績があるとその後の融資が非常に審査が楽になります。

こういった実績を持っておくとファイナンス時にいろいろなカードが切れるため後の調達が行いやすくなります。


7、採用には基盤人材の制度を用いる

中小企業基盤人材確保助成金を使えば1人採用ごとに140万円助成金がもらえます。

これをうまく使えばIPOレベルの収益を目指す上で必要な比較的給料の高い人材の採用が行えるので、成長期に効果的な採用が可能になります。この手続きは社会保険労務士と顧問契約をしていれば丸投げでOK。


8、公的なインキュベート施設は使わなくても入居する

行政が主導するインキュベート施設は入居者向けに融資などの優遇措置を行っていたりします。

そういう制度を設けているインキュベート施設があればとりあえず使わなくても入居しておくと後々効いてきます。


以上の8点あたりを押さえておくと結構役に立ちます。

明日は銀行やVCでの資金調達のテクニックなんかを紹介しようかと思ってます。


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