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【主張】社会保障プラン 国総がかりで厚労改革を

2008.7.30 03:10
このニュースのトピックス主張

 政府が、社会保障に関する「5つの安心プラン」を公表した。(1)高齢者政策(2)医療政策(3)厚生労働行政の信頼回復−などの5テーマについて、この1、2年で取り組むべき政策を整理した。

 ところが、焦点の「厚労行政の信頼回復」については、「有識者懇談会を立ち上げて改善策などを議論」としただけで、具体策を示さなかった。問題の先送りと言わざるを得ない。

 しかも有識者懇談会は厚生労働省に置かれる。身内に甘い改革とならぬか疑念も残る。具体策だけでなく、何を検討するのかまで“丸投げ”するのでは、厚労行政立て直しへの福田政権のやる気が問われよう。とても信頼回復とはいくまい。

 福田康夫首相には、厚労省に任せることなく自らの考えを国民に示し、陣頭指揮を執って改革にあたるよう求めたい。

 社会保険庁不祥事や年金記録問題、高齢者医療制度など、厚労行政に対する国民の怒りと失望は頂点に達している。もはや、厚労省の内部改革だけでは信頼回復は難しい。他省庁や民間から積極的に人材を登用し、国家総がかりで組織を立て直す必要がある。

 政治のリーダーシップも必要だ。幅広い厚労行政をこれまで通り、1人の大臣が担当していいのかどうかも含め検討すべきだ。

 一方、「厚労行政の信頼回復」以外のテーマについては、65歳以上の雇用支援や僻地(へきち)医療を担う医師への財政支援などを打ち出したことは前進である。ただ、大半は政府内で検討されてきた政策の寄せ集めで新味に乏しい。しかも、詳細な事業内容や必要予算額は明示されておらず具体性にも欠ける。プランを読んだだけでは、どう「安心」につながるのかすぐには分からない。

 財源の裏付けも不透明だ。項目数が多すぎてメニューを並べただけの印象も強い。来年度予算では医師不足対策などは別枠となる予定だが、限度はある。早急に政策の優先順位付けをすべきだ。

 社会保障をめぐっては、制度のひずみや、改革の行き過ぎで十分なサービスを受けられず困っている人も多い。少子高齢化で新たなニーズも増えている。

 プランが名ばかりで終われば、かえって不安や不信をあおることにもなりかねない。確実な実現に向けた首相の指導力が求められている。

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