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【主張】シーリング 財政再建へ向け道誤るな

2008.7.30 03:10
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 来年度予算の概算要求基準(シーリング)が決まった。近年にない歳出圧力の中で歳出削減路線を踏襲したが、大規模な別枠を設けたほかシーリング外の大型補正予算編成の動きもあり、改革のなし崩しが心配だ。

 シーリングは「骨太の方針2006」の歳出・歳入一体改革に沿い、焦点だった社会保障費を2200億円圧縮した。公共事業費や政府開発援助(ODA)で3%、防衛費や国立大運営費、私学助成費もそれぞれ1%削減した。

 一方で医師不足対策や低炭素社会構築などの名目で3300億円の「重要課題推進枠」を設けた。「これ以上の歳出削減は困難」との与党内の声を反映、従来の別枠の7倍近くに膨らんだ。

 さすがにその財源は不要な事業見直しによる2%の追加削減で捻出(ねんしゅつ)するという。だが、逆に「推進枠」の分捕り合戦で歳出圧力に拍車がかかり、年末に向け収拾がつかなくなる可能性もある。

 ほぼ1年以内にねじれ国会下で総選挙が行われるとあって、歳出圧力は全分野に及ぶ。それは大型の今年度補正予算編成の動きにも表れている。高齢者医療制度見直し凍結に伴う財源手当てに加え、原油高対策が浮上したからだ。

 すでに政府・与党は漁船への燃料費補助などを決めたが、打撃を受けているのは漁船だけではない。これが蟻(あり)の一穴となって補正でばらまくかつての悪弊が復活しかねない。そうなれば歳出に歯止めがかからなくなる。

 歳入は昨年度も税収不足が生じたが、来年度は景気減速の強まりでさらに期待できない。内閣府が先に発表した基礎的財政収支黒字化の達成年度である2011年度までの試算によると、成長率の下方修正により歳出削減を最大限実施しても3・9兆円足りない。

 にもかかわらず、来年度からの基礎年金国庫負担割合2分の1引き上げに必要な安定的財源の確保さえできていない。政府、与党の両税調とも抜本改革に位置づけていた来年度税制改正で消費税引き上げを見送る方針だからだ。

 歳出・歳入一体改革はかろうじて歳出削減姿勢を守ることで維持されてきた。しかし、歳入増の道筋が描けない中でこれも崩れてしまえば、財政再建が頓挫するのは間違いない。

 福田政権は年末の予算編成に向け、道を誤らぬよう財政規律を引き締めることだ。

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