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元ファンドマネージャーのバイト日記

2008-07-28

スタートアップのベンチャーが死なないために知っておいたほうがいいこと

01:21

先日は会社の作り方(10分でわかる。株式会社の作り方)を紹介したので今度はベンチャー企業(成長志向型)を作った後に「死なない」ために知っておいたほうがいい項目をまとめておきます。

大半のベンチャースタートアップ期に死んでいくのでそのスタートアップ期に気をつけておく内容を中心に紹介。

時には守らないほうがいい場合もありますが一般的なケースでは下記を守るだけで死亡率を数%は下げれると思いますよ。


1、できるだけ初期に専門的な人が必要ないモデルに落としこむ

独自な新システムを構築するなど「専門的な人がいればできる」モデルはお金がはじめから潤沢になければ非常にやっかいです。

資金がうまく回りだすまでのベンチャーでは人が辞めていくことは日常茶飯事で、いなくなれば回らない状態は崩壊リスクが高いです。

たとえば技術系ベンチャーなのにエンジニアが一人で、その人が辞めたらどうすんの?的なモデル。

それでもやっていけるのは社長が優秀なエンジニアだった場合のみです。


2、「いいシステムさえあれば成功」するロジックの排除

WEBサービスをやる場合に多いのですがうまく行かない原因をシステムのせいにする方は非常に多いです。

例えばSNSサービスを場合なんかに「当社のシステムは他社のシステムと比べて●●が足りないから勝てない。成功しないのはシステムが悪いからだ!」みたいな感じなのですがサービスの最も大事な部分が見えてない典型的な例であることが多いです。

ユーザーが何を求めているのかつかめていなければシステムを導入しても意味はないです。

またSNSに限っていうなら情報とユーザーさえ押さえる戦略が立つのであれば大半のSNSは掲示板やxoopsみたいな会員制サイトで代用できるんですけどね。


3、まずはじめにマネタイズ方法を考える

WEB系で多い「とりあえずadsenseがあるし」のような考えは会社でやるには非常に危険です。

なんだかんだいっても絶対収益額はadsenseトラフィック×収益レートでしかなく、そこのトラフィックの数字が明確でないにもかかわらず着手すると結果的にマーケット自体がすごく小さかった、というケースが多々あります。

最低そのジャンルでどれほどの数字がとれるのか計算から入ることは非常に重要です。

またそこがきっちり数字が読めるとシステムの投資などを戦略的にできるので非常に動きやすくなります。


4、3ヶ月以内に従業員に給料がまともに払えるだけの利益があがるモデルを考える

無給や薄給で我慢できるのは一般的には3ヶ月くらいが限界です。

それまでに収益化できる戦略をはじめから考えておく方が経営者の精神的にも安全だと思います。

その時期を超えたあたりからこれを守れない会社は面白いように人が辞めていきます。

学生ならまだしも、社会人に一度なってしまった人や家族のいる人はとくにこの傾向が強いのでこの期間で収益化できる目処が立たないなら、経営者は他の会社で働いて資金を稼ぎながらその賃金の範囲で人を雇って実行するほうが安全です。


5、できるだけオフィスにお金を使わない

特に敷金と内装費用はスタートアップの敵です。そこにお金は絶対に多くつかってはいけません。

成長過程で高い投資をしてしまっても半年や一年で拡大のためにオフィスを移動したりするとその投資が無駄になります。

知人に創業時にすすめているのはオフィス利用可能なマンション(内装費用が非常に安い)や公的なインキュベーション施設です。

よくいる失敗型のベンチャーは「オフィスがきれいじゃないと人がとれない」といって数人しかとらないのにオフィスの内装に異常にお金をかけるケース。人数と投資額をきっちり計算できてない場合が多く外注したほうが安かったなんて場合もちらほら。


6、無計画に安売り競争に参戦しない

ベンチャーゆえの与信のなさから利益率を薄くして薄利多売で攻めるケースが多いです。

しかしベンチャーでは収益率が低い仕事を大量に抱えてしまうと身動きがとれなくなり、結局ただの下請けになってしまうことが多いです。

薄利多売の先に必ず利益率の高いビジネスを考えた上で動きましょう。


7、無理だとおもえばすぐに撤退(損切り

経営者でこれが出来る方はすごく少ないのですがビジネスがうまく行かないと思えば即時撤退も重要な要素です。出来るだけ早くに損失を最低限に抑え、次にいかしましょう。



実務的な部分などのノウハウはknowledge database managementなんかを参考にしてみてください。

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