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日本 NA 選挙
「戦後レジーム」の断末魔
2007/07/28

 7月29日の参議院選挙を目前にして、マスコミの予想は、与党の「負け」は決まりで、どれほど負けるか、というのが焦点になっている。

 実際の結果は2日後には出ているのだが、私はこのコラムで、選挙の予想というよりも、松岡農林水産大臣(当時)が5月の末に真新しい赤坂の議員宿舎の自室で、真昼間に「パジャマ」姿で、犬を飼っていないのに「犬の紐」で首吊り自殺をした、ということの不可解さから「夢想」したことを、6月1日に認めたメモから、あらためて書いてみたい。

 自殺した大臣を任命したのは、いうまでもなく安倍晋三総理大臣である。

 この人が首相になったときに、私は自分の近しい人にこう言った。

 「あべちゃんには、火だるまになってもらおう」

 前任の小泉純一郎さんは、特異なキャラクターで当意即妙のショートコメントの名手であり、首相になったときに「自民党をぶっ壊す!」と叫んだ。

 あれは、「純ちゃん」なりの「本気」だったと思う。自民党の「正統派」に対して、個人的な恨みもあったはずだ。ともあれ、小泉純一郎のキャッチ・コピーとして、絶大な効果を発揮した。

 その後、2001年に、外務省の田中均さんの「戦略」で小泉首相が北朝鮮を電撃訪問して、金正日から「過去の日本人拉致」を認める言質を引き出したのは、大成果だった。

 あそこから「日朝国交正常化」のプロセスに入るべきだった。そこから徐々に、「拉致被害者」についての更なる情報を引き出していくのが「均さん」の戦略だったはずだ。

 それをぶっつぶしたのが「あべちゃん」である。彼はアメリカのネオコンと親しい。ネオコンに操られていた「ブッシュ政権」は、東アジアが「和平」に向かうことを嫌った。東アジアの「緊張状態」がないと、米軍のプレゼンス(存在意義)が無くなってしまうからだ。

 小泉さんが日本に連れて帰った「5人」は一時帰国の約束だったのに、安倍さんは「北朝鮮は信用できない。5人を北に戻してはならない」というマスコミ動員の大キャンペーンをやった。これは小泉首相への裏切りである。

 あれが「世論」となって、日朝は険悪となり、国交正常化プロセスは潰された。田中均さんは「国賊」の如くに言われた。石原慎太郎都知事も彼をののしった。あの裏にアメリカ(ネオコン)がいた、と私は憶測している。

 イラクを侵略するためにブッシュがひねり出した憎悪の概念「悪の枢軸」の一角である北朝鮮を叩きまくって、安倍さんは人気者になった。日本の「プチネオコン」である。小泉首相の腹の中は、どうだったのだろうか。複雑だったろう。しかし小泉首相も、アメリカの意向には絶対に逆らえない。逆らえばスキャンダルで致命傷を負う。

 北朝鮮との「主体的外交」を諦めた小泉さんは、アメリカの要求の中の「最重要なひとつ」に絞って、あとの諸問題はすべて紗幕の後に隠して、大芝居を打った。マスコミと「世論」の喝采を浴びて、「最重要なひとつ」の課題を実現させた。アメリカのためである。

 小泉さんはさっそうと、花道を六方を踏みながら退場した。あとを安倍さんに託して。これがどういうことか、ナイーブな安倍さんは、分かっていなかったろう。

 「靖国参拝問題」「年金財政問題」「北朝鮮の核」等々、小泉さんが「郵政民営化」という大芝居をやる間、陰に隠していたことが、ぜんぶ、安倍政権にのしかかってくるのだ。

 だから私は「あべちゃんは火だるまになる」と予測した。

 01年から07年の間に、国際情勢は大変化している。アメリカ(のネオコン)は、強引にアフガニスタンとイラクに戦争をしかけた。国防省長官のラムズフェルドと、副大統領のチェイニーが主導した。チェイニーは戦争を「ビジネス」と見る権力者である。元軍人で国務省のトップのパウエルはイラクへの「先制攻撃」に消極的だった。

 政治として、外交としては、イラク占領の思惑は外れ、泥沼戦争となり、06年、ブッシュの共和党は選挙で敗北し、ネオコンは失脚した。国務省系の復権である。アメリカの国際戦略は、いま大転換の最中だ。安倍さんは、それが分からないらしい。

 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」と言うが、それがなんのことか、誰にも分からない。本人が分かってないから説明できないのだろう。あるいは、ホンネを言うとやばいから「あいまい」にしているのかもしれない。

 私に言わせて貰うなら、「戦後レジーム」とは、戦争に負けてアメリカに占領された日本が、アメリカの事実上の「植民地」あるいは「属国」になった、そのことである。更に、植民地の運営を自民党が請け負ってきた、というそのことである。

 日本がアメリカから「独立」しようと気張ってみても、それはすぐには無理だ。「独立」とは何か、という問題はここでは深入りしない。事実上の植民地状態を一気に変えることはできない、という前提で話を進める。

 自由民主党という政党は、事実上、GHQとCIAによって創られた。資金は、戦争中に日本がならず者や軍隊を使って中国や朝鮮や占領した東南アジア各国から略奪してきた財宝などである。

 だからこそ、戦後長らく、児玉誉士夫などという「黒幕」が政財界に強大な影響力を持ち続けた。自民党政権は、生まれがダーティーなのだ。安倍さんの祖父の岸信介は、その「ダーティーレジーム」の創設に関わった。

 戦時中の満州国の利権に深く関わった政治家だった。だから東京裁判で「A級戦犯」とされた。巣鴨拘置所に収監されたが、なぜか後に無罪放免となっている。そして、60年に日米安保条約を総理大臣として強行改定した。

 安倍晋三さんは、その祖父を崇拝している。やったことの評価よりも、「祖父だから」だろうと私は思っている。それも母方の祖父だからだろう。岸信介の長女である母・洋子さんから強力にインプリンティングされている。 一方で、父方の祖父のことは何も語らない。立派な人物だったのに。

 2ヶ月前の「松岡自殺」より以前に、「自民党若手に期待する」と言うある友人に、私は言った。

 「安倍さんは、アメリカに見捨てられるでしょう」

 アメリカのネオコンの意向のままに、北朝鮮に強硬な態度を貫き、その先の戦略を何も持っていない。袋小路にはまるのは目に見えていた。そして、アメリカにハシゴを外された。国務省主導に変わったアメリカ外交は、北朝鮮との朝鮮戦争以来半世紀の「休戦状態」を解消して国交回復する方向に明らかに舵を切った。

 小泉前首相がなぜかこだわった「靖国参拝」問題も、「首相として参拝しない」とは言えない過去の言動がある。安倍首相では、北朝鮮はもちろんのこと、中国、韓国とも、本当の和解はできない。日本の東アジア外交は立ち往生だ。

 ネオコンが失脚して、ブッシュの「次」の政権はほぼ確実に民主党政権になるアメリカは、すでに「政治権力の交代」が進行中なのである。いわゆる「リベラル」の新しい権力にとって、時代の流れが読めない日本の安倍首相は「切り捨てる」ほかない。「従軍慰安婦」についてのアメリカ議会での問題化も、その流れのひとつだと思える。

 もっと大きな観点から、日本という植民地を支配するやり方をアメリカは変えることになるだろう。生まれがダーティーな自民党という「代理人」とは、もう契約更新をしないことに決めたのではないか、と私は憶測している。時代に合わなくなっているのだ。

 6月1日のメモには、「松岡自殺は、その混乱の始まりかもしれない」と私は書いた。この事件は、安倍政権にとって、きわめて「イタイ」できごとであった。

 「安倍さんは、ジタバタするだろうが、彼を始末するために、更に致命的なことが出てくるかもしれない」とも書いた。

 その後の経緯は、自民党の「不祥事もみ消し装置が壊れた」かのようなありさまだ。局面が大きく変わった。自民党にとって、何もかもがうまくいかない状態になってしまっている。

 アメリカが、日本の政権交代を決めた、と私は「夢想」したのである。

 日本はまだ当分、アメリカの「属国」でありつづけるしかないが、賢くスマートでクリーンな「属国」になることはできるはずだ。

 日本の「宗主国」のアメリカも、かしこくスマートになることを期待したい。

(安住るり)

無党派はどう動くか








「成長」神話をまだ信じられるか








「お上」への信頼は地に堕ちた





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[36022] 安住 るり様御元気なご様子何よりと存じます。
名前:中村孔治
日時:2008/07/29 10:52
昨夜遅く、本<インド見聞2007(20)〜エピローグ仏像発祥の地「マトゥラ(MATHURA)」、安住 るり(2008-07-24 17:00) >を拝見いたしました。


一緒に、ご主人様の田口汎さんの元気なお姿が共に微笑んでいる写真を始め、仏像等の見得ました。御二人の写真で手に持っておられる灯火に、5年前と記憶致しますが、ブッダガヤの大塔での月夜の蝋燭の火の群れをも想い起こしました。


また、<いずれ、私自身のブログを立ち上げて、インドマニアの皆さまに堪能していただきたいと考えている>等、ご期待いたしております。


実は、今朝、コメントしようと思いましたが、すでに本記事が表示からは消えており、貴女のお名前をJANJANのホームページで検索し、改めて見出した次第です。


さて、以前、『能のふるさと散歩上・下』の感想文を2006/11/08 に、掲載して頂きました。


その際、故田口汎氏より,以下のようなコメントがありました。
すなわち、<[22949] 草間四郎大尉の戦死田口汎(梵音)・2006/11/21 09:59>で、


【 「大淀」戦死者264名だかの最先任者(士官次室のケプガンだったと思います)で、「慰霊祭」ではいつも冒頭に「草間大尉以下・・・」と祭文が上げられますので、紅顔の美青年だった草間大尉のことを思い出します。わたしはいつも「艦長代理」として最初に献花しますので、草間大尉のことを想い起こすことしきりです。
 

わたしが能で「後ジテ」に興味を持ち始めたのは、「霊魂の存在」を信じようと信じまいと、あの方々が「霊魂」でも「怨霊」でも「後ジテ」にでもなって、再び現世に姿を現してくれたらと願うからです 】


実はウィーン在住の若い友人が7月25日に“Nippon Österreichisch-Japanische Gesellschaft-brücke 2/2008”.を同封した手紙を送ってくれました。


彼の父親・レオポルト氏が作ったと存じますが、小劇場で9月19&20日に京都から河村晴久氏一行を招いて能の実演や講演等をするので家内共々,来ウィーンの招待であると存じました(19日は私、彼、家内と夫々5,67月の誕生日)。


私は元気一杯であり何時でも行けるが、種々の事情で、2年以内位に御伺いしたいと言っておきました。


近く、彼には、田口さんの<「後ジテ」に興味>に付き、出来たら独文(多分、英文)で、再び知らせる積りでおります。


彼はウィーン大学出身で、若いときから、宮崎大学(若い時)や東北大学(結婚後)で長年ドイツ語を教えており、私も家内も、一般市民と共に教えて頂きました。


また、主として宮崎で弓を習って15年程前、三十歳半ばで四段を得ておりました。当時、独身の彼が日本で猛練習して弓の段位に挑戦すべく滞在中一月余り彼のアパートに家内と共に住んだ事もありました。


彼を十五年ほど前に虎渓山永保寺の中村文峰老師に紹介した事もあり、さらに円覚寺で参禅したりしておりました。ウィーンにも一人立派なオーストリヤ人の禅僧(現地で座禅会があり一回私も参加)がおりました。


やがて、ウィーン大学に『日本の禅に関する研究』で博士号を取得しております。これは、かなりボリュウムがあり、私は活字のコピーと製本されたものを贈られて持っていますが、中々に難解です。


大分、長くなりましたので、ここらで失礼申上げます。


何時も申している事ですが、「亡くなった方への、最善・最大の供養は、遺された者達が、健康で、自己の信念に基づいて、活き活きと日常を有意義に過す事である」と存じます。


では、皆様のご健康をお祈りいたしております。
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[36009] 中村さま、暑中お見舞い申し上げます
名前:安住るり
日時:2008/07/28 17:36
久しぶりに、ここに来ました。


北朝鮮の拉致の被害者「蓮池」さんの兄の透さんが、先週(7月24日)ケーブルテレビの番組で語ったことを私が記事にしてオーマイニュースに発表しました。


1年前のこの記事では、小泉もと首相が始めた北朝鮮との「交渉」の邪魔をした安倍晋三氏とアメリカのネオコンとのつながりを「推測」して書きました。


1年前に安倍氏は総理大臣でしたが、私は「彼はアメリカに見捨てられる」と予測しました。「アメリカは自民党を見限った」とも。


安倍氏の突然の辞職のあとに、不思議な経緯で福田康夫氏が自民党総裁に選ばれました。何をやりたいのか分からないまま、福田氏は総理大臣を続け、支持率は20%台で低迷し、来年の秋までには必ずある衆議院選挙は、福田氏がトップでは自民党は大敗するだろうと予測されています。


さて、中村さまがお読みくださったオーマイニュースの私の連載記事「インド見聞2007」が、田口汎が急死した昨年7月19日の投稿から、1年間お休みしてしまいましたが、先日完結しました。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080723/27446


書ききれなかったことや、出せなかった写真などを、新設した私のブログにおいおい出していきます。
http://blog.livedoor.jp/ruri1946/archives/219628.html


酷暑が続いていますが、どうぞご自愛ください。
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[33299] 従来殆ど開けなかった、「オーマイニュース」を本日しげしげと見ました
名前:中村孔治
日時:2008/03/24 21:02
<「インド見聞2007」も、おもしろいかと思います> とのお言葉を思い出して、試みに開いてみました。サッと一読し非常に興味を惹かれました。


そして、自分のインド旅行もいまさらのように思い出されました。


それは、5年程前の1月下旬にブッダガヤでダライラマに接見可能との事で、一週間ばかり、インド訪問致しました。


カルカッタ方でテロがあった上、中共の暗殺者が潜入との情報があり、軍のヘリで、彼はデリー方面に退避し、次席かその下くらいの坊さん達と会いました。


また、月夜に数え切れぬ蝋燭の火に浮ぶブッダガヤ寺院、その大塔の胎内更に、釈尊の修行及び清々しい悟りの地、菜の花の豊かな土地の河縁のスジャータの住居跡、パトナ近郊の佛跡やデリー市等々が私の心に浮んできました。


安住さんの(1〜19)迄、一連の記事を今後更に時間を掛けて、観たいと思っています。


今まで、JANJANオンリーでしたが「オーマイニュース」によって、今一段と吾が世界も広がるであろうと、大いに喜んでいます。


先ずは御礼まで。
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[31975] 2008年1月7日:プロではない安住です
名前:安住るり
日時:2008/01/07 03:02
この年末年始は、ライブドアのPJニュースに書きまくっています。
自分でも思いがけない展開です。

さて、ここで「コラム」なんて銘打っていると、安住るりとは「プロ」のライターか、なかには「評論家」とまで買いかぶってくださる方もおられるようなので、一応書いておきます。
ここJANJANでは、原稿料はいっさい出ません。

安住るりは、あくまでも、ボランタリーに、気が向いたときに、書きたいことを書く、主婦。

勝手なことを書かせていただいて、感謝しています。
今年も、たまに、気が向いたら、書きますので、よろしく。
[返信する]
[30123] 安住記者の「インド見聞2007」をこれから拝読いたします。
名前:中村孔治
日時:2007/09/23 09:55
コメント拝読致しました。本記事の内容はほとんど肯定申し上げております。


ただ私が非常に気になったのは、以下の<>内の文章です。


<日本はまだ当分、アメリカの「属国」でありつづけるしかないが、賢くスマートでクリーンな「属国」になることはできるはずだ。
日本の「宗主国」のアメリカも、かしこくスマートになることを期待したい>


確かに、日本は貴女の文章や、私がJANJANに感想文を掲載して頂いた『日本軍事史―下・戦後篇』の記述からも覗えるように、言うならば、米国によって多くの面で、雁字搦めになっておりますね<しかし、独立国に違いありません>。


だが、<>内の宗主国及び属国なる表現は如何なものでしょうか?私も、確か冗句のコラムであったか、東チモール人が、「我々は独立したが、日本は何時アメリカより独立するのですか?」と聞いたと言う風なジョークを書きました。


そうは言っても、<>内のようには思いたくありません。
自尊心を有する個人は「自由か死か?」、誇りのある民衆は「独立か死か?」であるのかも知れませんね。


「インド見聞2007」を今後、勉強いたす心算です。ただ、ある期間JANJANに今後書き込みを致しませんので、一定期間は私の心の糧として蓄えておく所存です。


貴女が、日々ご健康にてご活躍されるのが、故田口汎氏に対する何よりの、
供養と存じ上げております。
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[30120] 中村様
名前:安住るり
日時:2007/09/23 02:52
9月23日になったところです。
最近私はJANJANはほとんど見ないのです。
久しぶりに、ここを見ました。


故田口汎と、中村大先輩の高邁なる対話は、私にはほとんど理解不能なので、私にとっては、存在しないと同じなのです、申し訳ありません。
学問のススメも、読む気はありません。



「あべちゃんは 火だるまになる」
「アメリカは安倍を見捨てる」

一年前、半年前のこの私の予想は、当たったのではないでしょうか?


アメリカが「変わった」のは、先の参院選によってではありません。
去年のアメリカの中間選挙によってです。
上記の私の記事にも、ソレを書いたつもりです。


アメリカというよりも、世界を実質的に支配している闇のパワーが、日本の支配の仕方を変えると決めたのでしょう。
「闇のパワー」の内部の、支配権争いの影響でもあります。


今年になってからの、自民党に関する「スキャンダル」の出方は、それまでとは全く違います。
CIAが、「方針」を変えたのでしょう。


そのような見方を、全く荒唐無稽な勘違いとお考えになっても一向に構いません。

「世界の構造」の捉え方が、中村様と安住るりでは、全く違うのでしょう。


私の考え方は、ここのコメント欄にすでに書きました。
また、このコラムの過去記事と、そのコメント欄にも、たっぷり書いてあります。
よろしければ、お読みください。



なお、読み物としては、オーマイニュースに19回まで連載している「インド見聞2007」も、おもしろいかと思います。
あと2,3回で終わらせるつもりですが、私事多忙だったのと、「仏像の起源」や、「カースト制と新仏教」という難しい問題を、なんとか分り易く提起しておきたいという「欲」が出て、
なかなか筆がすすみません。
[返信する]
[30014] 安住記者が、あの田口さんの奥様とは、夢にも思いませんでした。
名前:中村孔治
日時:2007/09/15 15:35
「25年目のヒロシマ再訪」その1、を本日じっくり読みました。そして、びっくりした次第です。


以前にも確か、此れは見たと存じます。しかし、本日始めて、

田口さんの奥様であった事を知りました。

此れまでの失礼の段、ご容赦下さい。


老来口が悪くなってしまいました。重ねてお詫び致します。


今後とも宜しく、お願い申しあげます。
[返信する]
[30006] 尊敬する安住記者、音なしの構えを何時までお続けでしょうか?貴女のご意見をお待ち致しております。
名前:中村孔治
日時:2007/09/15 11:13
『学問のすすめ』は先刻ご承知かも知れませんが、本ご意見板と大いに関連しておりますね。


以下【】内の、福沢諭吉の文章を再度、お読み戴ければ幸甚です。


JANJANの記者の皆様にも是非お読み戴き、安住記者共々、ご意見を戴ければ幸甚です。


今回は、此れにて失礼申し上げます。


【学問のすすめ 三編
  
   国は同等なる事
 

 凡そ人とさえ名あれば、富める貧しきも、強気も弱気も、人民も政府も、その権義において異なるなしとのことは、第二編に記せり。(二編にある権理通義の四字を略して、ここにはただ権義と記したり。いずれも英語の「ライト」(right) という字に当たる。)今この義を拡めて国と国との間柄を論ぜん。国とは人の集りたるものにて、日本国は日本人の集りたるものなり、英国は英国人の集りたるものなり。


 日本人も英国人も等しく天地の間の人なれば、互いにその権義を妨ぐるの理なし。一人が一人に向かって害を加うる理なくば、二人が二人に向かって害を加うるの理もなかるべし。百万人も千万人も同様のわけにて、物事の道理は人数の多少に由って変ずべからず。今世界中を見渡すに、文明開化とて文学も武備も盛んにして富強なる国あり、或いは蛮野未開とて文武ともに不行届にして貧弱なる国あり。一般に、ヨーロッパ、アメリカの諸国は富んで強く、アジア、アフリカの諸国は貧にして弱し。されどもこの貧富強弱は国の有様なれば、固より同じかるべからず。然るに今、自国の富強なる勢いをもって貧弱なる国へ無理を加えんとするは、いわゆる力士が腕の力をもって病人の腕を握り折るに異ならず、国の権義において許すべからざることなり。
 

 近くは我日本国にても、今日の有様にては西洋諸国の富強に及ばざるところあれども、一国の権義においては厘毛の軽重あることなし。道理に戻りて曲を蒙るの日に至っては、世界中を敵にするも恐るるに足らず。初編第六葉(本書一四頁)にも言える如く、日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさずとはこの場合なり。


 しかのみならず貧富強弱の有様は、天然の約束に非ず、日との勉と不勉とに由って移り変るべきものにて、今日の愚人も明日は智者となるべく、昔年の富強も今世の貧弱となるべし。古今その例少なからず。我日本国中も今より学問に志し、気力を慥にして先ず一身の独立を謀り、随って一国の富強を致すことあらば、何ぞ西洋人の力を恐るるに足らん。道理あるものはこれに交わり、道理なきものはこれを打ち払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこの事なり。
  

 一身独立して一国独立する事
 前条に言える如く、国と国とは同等なれども、国中の人民に独立の気力なきときは一国独立の権義を伸ぶること能わず。その次第、三箇条あり。
 

 第一条 独立の気力なき者は、国を思うこと深切ならず。
 独立とは、自分にて自分の身を支配し、他に依りすがる心なきを言う。自ら物事の理非を弁別して処置を誤ることなき者は、他人の智恵に依らざる独立なり。自ら心身を労して私立の活計をなす者は、他人の財に依らざる独立なり。人々この独立の心なくしてただ他人の力に依りすがらんとのみせば、全国の人は皆依りすがる人のみにて、これを引受くる者はなかるべし。これを譬えば盲人の行列に手引なきが如し、甚だ不都合ならずや。或人云く、民はこれを由らしむべしこれを知らしむべからず、世の中は目くら千人目あき千人なれば、智者上に在って諸民を支配し上の意に従わしめて可なりと。この議論は孔子様の流儀なれども、その実は大いに非なり。一国中に人を支配するほどの才徳を備うる者は千人の内一人に過ぎず。
 

 仮にここに人口百万人の国あらん、この内千人は智者にして九十九万余の者は無智の小民ならん。智者の才徳をもってこの小民を支配し、或いは子の如くして愛し、或いは羊の如くして養い、或いは威し或いは撫し、恩威共に行われてその向かうところを示すことあらば、小民も識らず知らずして上の命に従い、盗賊、人ごろしの沙汰もなく、国内安穏に始まることあるべけれども、もとこの国の人民、主客の二様に分れ、主人たる者は千人の智者にて、よきように国を支配し、その余の者は悉皆何も知らざる客分なり。既に客分とあれば固より心配も少なく、ただ主人にのみ依りすがりて身に引き受くることなきゆえ、国を患うることも主人の如くならざるは必然、実に水くさき有様なり。国内の事なれば兎も角もなれども、一旦外国と戦争などの事あらばその不都合なること思い見るべし。無智無力の小民等、戈を倒にすることも無かるべけれども、我々は客分のことなるゆえ一命を棄つるは過分なりとて逃げ走る者多かるべし。さすればこの国の人口、名は百万人なれども、国を守るの一段に至ってはその人数甚だ少なく、迚(とて)も一国の独立は叶い難きなり。
 

 右の次第につき、外国に対して我国を守らんには、自由独立の気風を全国に充満せしめ、国中の人々貴賎上下の別なく、その国を自分の身の上に引き受け、智者も愚者も目くらも目あきも、おのおのその国中たるの分を尽さざるべからず。英人は英国をもって我本国と思い、日本人は日本国をもって我本国と思い、その本国の土地は他人の土地に非ず我国人の土地なれば、本国のためを思うこと我家を思うが如くし、国のためには財を失うのみならず、一命をも抛て(なげうって)惜しむに足らず。これ即ち報国の大義なり。
 

 固(もと)より国の政(まつりごと)をなす者は政府にて、その支配を受くる者は人民なれども、こはただ便利のために双方の持場を分ちたるのみ。一国全体の面目に拘わることに至っては、人民の職分として政府のみに国を預け置き、傍(かたわら)よりこれを見物するの理あらんや。既に日本国の誰、英国の誰と、その姓名の肩書に国の名あれば、その国に住居し起居眠食自由自在なるの権義あり。既にその権義あれば、また随ってその職分なかるべからず。
 

 昔戦国の時、駿河の今川義元、数万の兵を率いて織田信長を攻めんとせしとき、信長の策にて桶狭間に伏勢を設け、今川の本陣に迫って義元の首を取りしかば、駿河の軍勢は蜘蛛の子を散らすず如く、戦いもせずして逃げ走り、当時名高き駿河の今川政府も一朝に亡びてその痕なし。近く両三年以前、フランスとプロイセンとの戦に、両国接戦の初め、フランス帝ナポレオンはプロイセンに生捕られたれども、仏人はこれに由って望みを失わざるのみならず、益々憤発して防ぎ戦い、骨をさらし血を流し、数月篭城の後和睦に及びたれども、フランスは依然として旧のフランスに異ならず。


 かの今川の始末に較ぶれば日を同じうして語るべからず。その故は何ぞや。駿河の人民は、ただ義元一人に依りすがり、その身は客分の積りにて、駿河の国を我本国と思う者なく、フランスには報国の士民多くして国の難を銘々の身に引き受け、人の勧めを待たずして自ら本国のために戦うものあるゆえ、かかる相違も出来しことなり。これに由って考うれば、外国へ対して自国を守るに当たり、その国人に独立の気力ある者は国を思うこと深切にして、独立の気力なき者は不深切なること推して知るべきなり。
 

第二条 内に居て独立の地位を得ざる者は、外に在って外国人に接するときもまた独立の権義を伸ぶること能わず。
 独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は必ず人を恐る、人を恐るる者は必ず人に諛う(へつらう)ものなり。常に人を恐れ人に諛う者は次第にこれに慣れ、その面の皮鉄の如くなりて、恥ずべきを恥じず、論ずべきを論ぜず、人をさえ見ればただ腰を屈するのみ。


 いわゆる習い性となるとはこの事にて、慣れたることは容易に改め難きものなり。譬えば今、日本にて平民に名字乗馬を許し、裁判所の風も改まりて、表向は先ず士族と同等のようなれども、その習慣俄に変ぜず、平民の根性は依然として旧の平民に異ならず、言語も賎しく応接も賎しく、目上の人に逢えば一言半句の理屈を述ぶること能わず、立てて言えば立ち、舞えと言えば舞い、その柔順なること家に飼いたる痩犬の如し。実に無気無力の鉄面皮と言うべし。
 

 昔鎖国の世に旧幕府の如き窮屈なる政を行う時代なれば、人民に気力なきその政事に差支えざるのみならず却って便利なるゆえ、故さらにこれを無智に陥れ無理に柔順ならしむるをもって役人の得意となせしことなれども、今外国と交わるの日に至ってはこれがため大なる弊害あり。


 譬えば田舎商人等、恐れながら外国の交易に志して横浜などへ来る者あれば、先ず外国人の骨格逞しきを見てこれに驚き、金の多きを見てこれに驚き、商館の洪大なるに驚き、蒸気船の速きに驚き、既に已に胆を落して、追々この外国人に近づき取引するに及んでは、その掛引のするどきに驚き、或いは無理なる理屈を言い掛けらるることあれば啻に驚くのみならず、その威力に震い懼れて、無理と知りながら大なる損亡を受け大なる恥辱を蒙ることあり。


 こは一人の損亡に非ず。一国の損亡なり。一人の恥辱に非ず、一国の恥辱なり。実に馬鹿らしきようなれども、先祖代々独立の気を吸わざる町人根性、武士には窘められ、裁判所には叱られ、一人扶持取る足軽に逢っても御旦那様とあがめし崇めし魂は腹の底まで腐れ付き、一朝一夕に洗うべからず、かかる臆病神の手下共が、かの大胆不敵なる外国人に逢って、胆をぬかるるは無理ならぬことなり。これ即ち、内に居て独立を得ざる者は、外に在っても独立すること能わざるの証拠なり。
 

第三条 独立の気力なき者は、人に依頼して悪事をなすことあり。
 旧幕府の時代に名目金とて、御三家などと唱うる権威強き大名の名目を借りて金を貸し、随分無理なる取引をなせしことあり。その所業甚だ悪むべし。自分の金を貸して返さざる者あらば、再三再四力を尽して政府に訴うべきなり。然るにこの政府を恐れて訴うることを知らず、きたなくも他人の名目を借り他人の暴威に依って返金を促すとは卑怯なる挙動ならずや。今日に至っては名目金の沙汰は聞かざれども、或いは世間に外国人の名目を借る者はあらずや。余輩未だその確証を得ざるゆえ、明らかにここに論ずること能わざれども、昔日の事を思えば今の世の中にも疑念なきを得ず。この後、万々一も外国人雑居などの場合に及び、その名目を借りて奸を働く者あらば、国の禍実に言うべからざるべし。故に人民に独立の気力なきは、その取扱い便利などとて油断すべからず。禍は思わぬところに起るものなり。国民に独立の気力いよいよ少なければ、国を売るの禍もまた随って益々大なるべし。即ち、この条の初に言える、人に依頼して悪事をなすはこの事なり。
 

 右三箇条に言うところは、皆、人民に独立の心なきより生ずる災害なり。今の世に生れ苟も愛国の意あらん者は、官私を問わず先ず自己の独立を謀り、余力あらば他人の独立を助け成すべし。父兄は子弟に独立を教え、教師は生徒に独立を勧め、士農工商共に独立して国を守らざるべからず。概してこれを言えば、人を束縛して独り心配を求むるより、人を放ちて共に苦楽を与にするに若かざるなり。
(明治六年十二月出版)】
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[29821] 安住さん、冗句は休み休み、お願い致します。貴女は何かトンでもない思い違いをしているのでは?
名前:中村孔治
日時:2007/08/28 11:00
再度、以下<>内の文章を一例にとって書いて見ましょう。

<日本はまだ当分、アメリカの「属国」でありつづけるしかないが、賢くスマートでクリーンな「属国」になることはできるはずだ。

 日本の「宗主国」のアメリカも、かしこくスマートになることを期待したい。>

今回の、自・公大敗北を受けて、アメリカが少し変わりましたね。


それは、此れまで、特に小泉とそれに続く安倍政権下では、アメリカは日本に対して、情報開示を全く怠って来たのを、このところ、改め始めましたね(テロ関連やインド洋上の活動状況等々)。


此れは、要するに国民が参議院選で、自・公政権を否定したからでしょうね。今までは、アメリカ・ベッタリの政権が、両議院で多数を占めていたので、タカヲクックッテいたのでしょうね。


今後も、日本の国民が賢くなく、自ら<>内のような事を本気で考えていると、彼等は遠慮会釈しないでしょう。

無条件降伏・敗戦はしたものの、講和条約成立後、国際社会で、さらに、国際法的にも、日本は立派な独立国です。属国云々は国民の意識如何によるのではないでしょうか?時の政権の考え方で決まるとも存じます。


ところで、安倍君の昨夜の内閣改造後の記者会見の内容では、今後も我々は大いに警戒を要すると思います。


次の総選挙で、さらに大敗北を喫して、自・公政権が潰れてくれないと、以上の<>内のような事を考える方々も国民の中で、かなり残ると存じます。


私は、政治に関してサイレント状態を保って行きたいと存じますが、余りにも稚拙な議論であり、ついコメントさせて頂きました。

最後に、私は、頭の悪いのと、口の悪い事の他は、何処も悪いところのない、男と存じております。安住さんを始めJANJANの皆さんの、ご寛容をお願い申し上げます。


そして、今後余程の事がない限り、余り政治には嘴をはさみたくないとの意思を明確にした上で、おわりと致します。





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[29816] ano・・・
名前:朝井啓吏
日時:2007/08/25 21:02
日本語でしゃべりましょうよ。
外来語?もほどほどにしましょうよ。
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