事件・事故
都市型河川、増水誘発か 神戸・都賀川4人死亡
二十八日に近畿、北陸各地で起こった豪雨と水害について、防災の専門家は「コンクリートなどの排水設備が充実している都市部では、局地的に降った雨が一気に狭い川に流れ込み、増水する恐れがある」と都市部特有の事情を指摘し「降り方が普段と違うと思ったら、川に近づかないでほしい」と注意を呼び掛けている。
防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の三隅良平主任研究員によると、四人が死亡した神戸市の都賀川のような中小河川は数が多く、原則として国が管理する一級河川と比べて、水害対策が十分とはいえないのが現状。日本の狭い土地事情を考えると、遊水のための土地や池を設けずに雨水を速やかに海に流すという日本の治水政策の考え方も、やむを得ない面があるという。
一方、局地的豪雨は予測が難しい上、それに伴う河川の流量変化も、川の間近で降るかどうかによっても大きく違ってくる。各研究機関が流量予想に取り組んでいるが「ぴたっと当てるまでには至っていない」(三隅研究員)という。
■梅雨末期の豪雨と酷似
北陸や近畿地方で二十八日、激しい雨になったのは、台湾付近を北上する台風8号が呼び込んだ南からの暖かく湿った風と、太平洋高気圧の勢力が弱いことが影響して北から流れ込んだ寒気が上空で層になり、大気の状態が不安定になったことが原因と気象庁はみている。
気象庁気象研究所(茨城県つくば市)の加藤輝之主任研究官は「太平洋高気圧が通常より西寄りで、梅雨の末期に豪雨になる際と似たような気象条件になっている」と指摘。
気象庁予報課の村中明主任予報官は「河川の特徴にもよるが、神戸市の川で複数の死者が出た事故のような急激な河川の増水は、どこで起きてもおかしくない」と話している。
局地的な集中豪雨は、近年とりわけ発生頻度が増えている。気象庁の観測によると、一時間に八〇ミリ以上の降雨を記録した年間平均回数は、一九七六-八七年で一〇・三回なのに対し、九八-二〇〇七年では一八・五回と大幅に増加。
地球温暖化で気温が上昇し、空気中の水蒸気量も増えていることが一因とみられているが、詳しい理由はまだ解析できていない。
一方で異常少雨の出現数も増えており、年間降水量は過去百年、全国的にほぼ横ばい状態が続いているという。
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