2008年7月27日

デーゲーム前に、Father&Kids Gameが行われました。
選手対その子供たち、という試合をファンにお見せするのです。
赤ちゃんたちはわけがわからないままで、
赤・青・白のフィリーズカラーで着飾って。
ちょっと大きな子供たちは、父親のミニチュア版のように
ユニフォームを着込んで、真剣勝負に臨みました。

我が家の４歳児は、カージナルスで２回、
そしてここ、フィリーズで初めての親子ゲーム参加です。
結果は２打数２安打。いいね、２打席ももらえて・・・。
それはともかく、ホームインの際には
意味のないヘッドスライディングで
場内を沸かせました。
「笑われてナンボ」が身上の子供です。

鈍く光る真昼の太陽と、１００パーセントに程近い湿度。
予報は大雨、の直前だけに、
熱気が肌にまとわりつくようです。
ミストサウナに入ったようなヨメの
ファンデーションがみるみる溶け出して、
白いラインが顔中に縦に走ります。
他の女性なら気の毒すぎて言えませんが、
自分のヨメです。プロのカメラマンが写真を撮りまくり、
テレビカメラが映し出している状況では、
それを知らさないわけにはいきません。
「顔！顔！」
「顔？」
「すごいことになってるで」
手鏡をまじまじ見て、ヨメが一言。
「わあっ！！ホントにすごいっ！」
直後、あわてて化粧直しをするのかと思いきや、
まわりの奥さんたちに、
「ストラ〜イプ！！」

ホンマにうちは、どいつもこいつも・・・。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年7月26日

今日はフォトデーでした。

ファンがフィールドに降りて、内外野のフェンス際をぐるりと囲みます。その前を
選手がじわじわ歩いて、時々立ち止まって、写真を撮られる、という仕組み。
カメラに向かって正面を向くならカニ歩きがベストですが、時間もないので、
ちょっと斜めに構えて、手など振りながらゆっくり歩きます。

それにしても、先日のヒットがあってよかった。
おかげで、
「いいヒットだったね！」
「ありがとう」などと、会話が成り立つし、笑顔で迎えてもらえるというもの。
もしあれがなかったら、僕が通りかかったとたんに、しーんと静まり返って、
誰もカメラを構えなかったかもしれない。プロとして、そんなに寂しいことは
ありません。

成績の悪い選手に対して、フィリーズのファンは誰よりも厳しく批判的です。
そのかわり、貢献したプレーに対しては、惜しみない賛辞を与えてくれます。
怒りと喜びは両極端で、昨日のヒーローを、今日は戦犯にする、そんな気質。
酔っ払ってブーイングをするためだけに球場に来ているのでは、と言われるほどで、
荒々しさでは３０球団中ぶっちぎりでトップでしょう。

しかし、実際に触れ合ってみると、いかに彼らがフィリーズが好きで、
暖かな人柄を持っているか、ということが、強く伝わってきます。
この人たちが、あの激しい野次やブーイングを生み出しているんやろうか？と
信じられない気持ちになります。

集団心理が作用するのか、それとも、単なる伝統なのか。
まだ僕は、フィラデルフィアを理解できずに戸惑っています。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年7月25日

球場のクラブハウスは、一日の大半を過ごす場所。
選手は少しでもくつろげるように、さまざまな工夫をします。
一番多いのは、家族写真の持ち込み。自分のロッカーの上に、
色とりどりの写真立てを並べます。
アメリカの会社に行くと、オフィスに写真を置いていない人は皆無、
と言っても言い過ぎではないほど、
アメリカ人にとっての家族写真は、常に生活の中にあります。

近年多いのは、ＩＰＯＤのスピーカーを設置して、
自分の好きな曲を流している選手。
僕はＩＰＯＤではなく「足の裏マッサージ機」を設置していますが、
しょっちゅう他の選手のロッカーに旅しています。
今日はシェーン（ビクトリーノ・外野手）のところに、
前からあったかのように、ごく自然に置いてありました・・・。
そして、タオル置き場には、「マイ・ボディーシャンプー」が
ずらりと並びます。

さて、今夜も試合後シャワーを浴びようと「マイボトル」を探したら、
なぜかすでにシャワールームに。そして、また減っている。
数日しか使っていないのに、ほとんどなくなっています。なんでや？
以前はシャワールームにある共有のものを使っていました。
しかし、それはあまりにも男臭かったのです。シャワーを浴びて
ほっとするどころか、全身の血が逆流して咆えたくなるような匂い。
家に帰ると家族が遠ざかる、そんな匂い。
いろんな男性用整髪料を混ぜ倒して全身に浴びたかのような、
恐怖のボディーシャンプーでした。

そこで、そのへんで買ったごく普通のものを持ち込んでいたのですが、
これがたぶん敗因。どこで見つけてきたのか、
「ゴージャスでリッチななリラックスをあなたに・・・」とか、
「明日へのエナジー！すっきりシャワー」とか、
妙に凝ったものが並んでいるため、一番ありふれた僕のボトルが
標的になったようなのです。

たかがボディーシャンプーなので、誰が使ってもいい。でも、
誰が使っているか、という好奇心は抑えられず、
選手のそばを通り過ぎる時に、ついクンクンするようになってしまいました。
変な趣味があると誤解されたらどうしましょう。心配です。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

田口選手宛のファンレターはこちらまで　letter@taguchiso.com