勤務医師を対象にした県の無料職業紹介所「あおもり地域医療・医師支援機構」は、同機構登録医師の就業環境向上や県内定着に向けて、“売り”として掲げた代診医師(応援医師)の仕組みづくりに具体的に取り組む。登録医師が学会・研修会に出席した際の対応や、産休・育児休業する女性医師の支援を念頭に置いたもので、先進例の調査などを経て、今年12月の成案作成を目指す。
 同機構の登録医師は現在41人で、うち自治医科大学卒業の30人については、県立中央病院地域医療支援室が代診を担っている。しかし、それ以外の登録医師の代診などが課題の一つになっている。
 加えて、同機構への登録などを義務付けられている修学資金を受けた弘前大学医学部生が今年度末から卒業し、順次登録することになっており、若い医師を県内に定着させるためにも代診医師の仕組みは重要になる。
 同機構運営委員会が28日に青森市内で開かれ、成案作成に向けたスケジュールなどを確認した。
 今後は北海道地域医療振興財団の「熟練ドクターバンク」など先進地を調査するなどして素案を作成、10月の同運営委員会の協議などを経て、成案を作成する。
 医師の身分や派遣条件(負担のあり方)、既存の県病地域医療支援室との関係などが検討課題となる。
 同機構事務局を務める県医療薬務課の石岡博文課長は「勤務医師の労働環境が悪すぎることが本県に医師が定着しない要因。県病の地域医療支援室だけでは需要に応え切れていない」と述べ、代診医師制度拡充の必要性を改めて強調した。
 また、同機構運営委員会では、2007年度に同機構を通じて就職した医師は4人(06年度2人)だったことが報告された。08年度の自治医科大学卒業医師の市町村への派遣数は17人。