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【主張】大荒れ列島 気象の凶暴化に備えたい
日本の気象現象がおかしい。穏やかさが特徴だった日本列島の気候が近年、急速に荒々しくなっている。先週から各地で相次いでいる高温や突風、大雨の例からもその異常ぶりがはっきり実感されるだろう。
25日夕には群馬県東部で竜巻のような突風が吹き抜けて屋根が飛ぶなど、130棟以上の住宅が被害を受けた。
そして27日の昼過ぎ、今度は福井県敦賀市で猛烈な突風が吹き、野外イベント会場のテントが飛ばされ、死者がでた。この風は、積乱雲から滝のように落下した寒気が地上の暖気とぶつかってできるガストフロント(突風前線)が、地表を走ったためらしい。
同日午後には、群馬県内に大雨が降り、川が増水して人が流されている。
28日の空模様は、さらに広範囲で荒れた。朝から北陸各地で強い雨が降り、金沢市では浅野川が氾濫(はんらん)し、5万人に避難指示が出されたほか、富山市内では土砂崩れも起きた。新潟や秋田県などでも大雨被害が報告されている。
午後になると1時間に100ミリ前後の豪雨を降らせた前線は、北陸から近畿に南下し、京都府や滋賀、兵庫の両県などでも被害がでている。この大雨で、女性や子供の犠牲者が報告されている。
大荒れの原因のひとつは、急激な気温の上昇だ。地表からの上昇気流で積乱雲が発達し、雷雨や竜巻などの突風をもたらす。都市域のヒートアイランド現象も局所的な豪雨などを引き起こす。
前線に伴う今回の大雨は、南方からの暖かく湿った空気が列島の上空に大量に流れ込んだ結果、大気の状態が不安定になって降っている。多くの土地で観測史上の降水記録を更新中だ。
大雨の頻度は明らかに増えている。国内で1時間に50ミリ以上の強い雨が降る回数は、30年前の1・5倍になっている。豪雨災害などの背景に地球温暖化があることは、すでに世界的な認識だ。
日常の風も雨も、危険を孕(はら)み始めている。気象に関する過去の経験や常識は、通用しなくなっていると考えるべきだ。
夏休みには子供も参加するキャンプなどの野外活動や行事が多い。突風や落雷、降水による河川の増水には敏感であってほしい。天気予報や注意報を参考に、計画を延期したり、早めに切り上げたりする決断力が必要だ。