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のりもの好きの聖地、神田須田町、万世橋の脇にある交通博物館
交通博物館の前にはD51と0系新幹線が置かれている
がきたる5月14日に閉館する。これはJR東日本がさいたま市に建設する鉄道博物館(2007年10月14日開館予定)に吸収されるためで、鉄道系の展示物の多くが移管される。
ところで、万世橋の交通博物館というと、昔から暗くて重々しい博物館という印象だった。しかしその展示物はすごい。
マレー・C57、そして1号機関車などお宝が並ぶ
あの1号機関車から弁慶号をはじめ、歴代の御料客車や日本で始めて飛行したアンリファルマン機までホンモノの実物(へんな言い方だが)が無造作にどかどか置いてある稀有な博物館なのだ。
天井からつるされたアンリファルマン機
先日機会があって交通博物館の菅館長にお話を聞いたら、展示品のなかのドイツ製マイバッハ・エンジンはツエッペリン飛行船に使われていた歴史的エンジンで「ドイツにも実物はなくてツェッペリン・ミュージアムから譲ってくれないかと問い合わせがあった」というほどの逸品。あの四式戦闘機疾風に搭載された誉エンジンも必見だ。
「疾風」や「紫電改」に使われた傑作エンジン「誉」
鉄道博物館に移転後はヒコーキ系展示モノがもう見られなくなりそうなので珍品をもうひとつ紹介しよう。三階に展示されている「航空灯台」。
三階に展示されている航空灯台
これはその名の通り飛行機用の灯台のことで、1933年(昭和8年)に東京〜大阪間の夜間郵便飛行開始に伴って飛行ルート沿いに設置されたものだ。当時、その多くが山中深い高台に設けられたので、日没後に光りだす怪しいヒカリに、各地にキツネの嫁入りや鬼火伝説が巻き起こったという。
交通博物館にはいまはやりのマルチシアターや3D映像などは一切なく、4階に「25年使っている」(映写技師)という16ミリ映写機のホールがあるだけだが、これから閉館までお宝映像をまとめて上映する予定だ。
ちなみに3月18〜21日と25〜26日は国鉄製作映画1960年の『伸びゆく鉄道』、1968年の『ローカル線』が11時から上映される。
おそらく、子供のころ父親に連れられて以来行ったことがない、という人も印象はいまもほとんど変っていないだろう。
薄暗くて辛気臭くて、そんなかに名機関車がごろごろあるような時代遅れの交通博物館。いまあらためて訪れると、決して悪くないと思う。
現在、「交通博物館さよならキャンペーン」として、かつて交通博物館の場所にあった万世橋駅の遺構を特別公開している。
特別公開中の旧万世橋駅の遺構
さらに毎日先着500人(土日祝は800人)に再現硬券きっぷを配布している。またバウハウスデザインの流れを汲む建物も必見だ。
昭和11年(1936)建築のモダニズム建築だ
現在閉館のニュースがながれてから連日満員の交通博物館。
交通博物館名物の大ジオラマも見納めか
だが残された日々はわずか、ぼくも時間を見つけて通ってみようと思う。
交通博物館 9時30分〜17時(入館は16時30分まで)月曜休館。春休み(3月26〜4月6日)とゴールデンウィークから閉館まで(4月29〜5月14日)は休館なし。入館310円。電話03-3251-8481(博物館代表)
乗り物:
杉崎行恭
乗り物ライター。
ラピタ、BE-PALなどのほか、多くの雑誌・メディアで活躍中。
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http://sugizaki.o-line.co.jp/