厚生労働省大臣官房の3課が、昨年度に使用した深夜帰宅用タクシー券(特別会計分)をすべて廃棄していたことが分かった。同省では昨年7月、職員によるタクシー券の私的流用が発覚。直後に当時の柳沢伯夫厚労相が、事後チェックのため一定期間の保存を指示していたが、不祥事に懲りない体質が浮かび上がった。同省会計課は「タクシー券の保存は各部局で判断していた。今年6月からは保存することになっている」としている。
厚労省が情報公開した文書によると、労働保険を財源にする労働保険特別会計の深夜帰宅用タクシー券を使用しているのは、大臣官房や労働基準局など17部署。券は運転手に渡す「本券」と、使用した職員が保存する「半券」に分かれる。職員は本券、半券ともに金額などを記載し、半券は職員が所属部署に提出。本券は後日、タクシー会社から厚労省に戻される。
大臣官房の人事課と総務課、地方課の3課は、昨年度分の使用済みタクシー券の本券も半券もまったく保存していなかった。行政文書開示決定通知書は「すでに廃棄」とされている。
厚労省会計課は「半券は本券と突き合わせるまでは保存していた」と説明している。
厚労省では昨年7月、労働基準局の職員がスナックで私的に飲食した後、タクシー券を使って帰宅していたことが発覚。6人が懲戒処分になった。
この不祥事を受け、当時の柳沢厚労相は、タクシー券の一定期間の保存を指示。昨年9月以降、各部署で使用規程を整備した。ただ、タクシー券の保存については明記されなかった。
結局、今年6月に「居酒屋タクシー」が問題化したことなどを受け、厚労省は同月、使用済みタクシー券を1年間保存するよう規程を改定している。
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