理化学研究所(理研)と高輝度光科学研究センターは、小型試験加速器を使い、従来の1000倍以上の出力を持つレーザーをつくることに成功したと、27日付の英科学誌ネイチャーフォトニクス電子版に発表した。
理研などは、物質の構造を原子レベルで解析でき、新薬開発などへの応用が期待される「エックス線自由電子レーザー」を開発中で、理研の田中均チームリーダーは「今回予想以上に良いデータが得られたので、想定より高性能のエックス線自由電子レーザーができる可能性が高まった」と話している。
大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)の敷地内にある長さ約60メートルの小型試験加速器を使い、合金から取り出した電子を光速近くまで加速し磁石で曲げて発生させる方法で、波長60ナノメートル(ナノは10億分の1)の極紫外線レーザーを安定して出すことに成功。出力は従来の1000倍以上の100メガワット(メガは100万倍)に達した。