【大紀元日本4月20日】北京五輪の準備が進み、トーチリレーへの国際社会の抗議の声に、歪んだ愛国精神を燃えたぎらせる中国人がいる一方で、五輪建設ラッシュの影で犠牲になった多くの北京市民のことは殆ど注目されない。かつて大手マスコミに勤めた関係者の話によると、五輪施設の建設のために 、多くの市民が強制立ち退きを迫られ、家を失った。補償問題を巡り、北京が五輪開催地に決まってから、死者が年間200人以上出ているという。陳情のために軟禁された市民もいる。
立ち退き対象となる李さんはかつて国営大手マスコミに勤めた。90年代からはじまった都市整備プロジェクト「危険建築の改造」(市中心部の住民を郊外に移動するのが目的)以来、補償金を巡り、死者が続出。オリンピック招致が成功後、強制立ち退きは一段と激しくなった。李さんはそれを「五輪立ち退き」と呼ぶ。この「五輪立ち退き」だけで、年間に死者が200人以上出た。
李さんは「大まかにいえばそのような感じで、確実な統計は中国でまず不可能だ。正直な話、北京五輪は、北京を含め中国人民に大きなプレッシャーをかけている。北京の西直門(地名)で、家族でガス自爆自殺があった。新街(北京地名)で農薬自殺があった。崇文区に住んでいる強制立ち退きを迫られた人々の中には、首をつったり、服毒自殺したりするものが現れた。金融街(地名音訳)一箇所で数十人の死亡が確認されている」という。
李さん自身も強制立ち退きの被害者である。北京五輪の既得利益者は地元政府官僚のみで、庶民にとっては、生活が苦しくなるだけと李さんは訴える。
立ち退き被害者・王建平さんは、西城区で34平方メートルの住宅を持っていた。市価は50万元(750万円)、立ち退きに会い、補償金は21万元(300万円)しかもらえなかった。それ以来、陳情を三年間続けたが、今月16日、警察により軟禁された。
オリンピックは平和的なスポーツの祭典である。しかし北京五輪が庶民にもたらしたのは災難だけだ。強制立ち退き者を含め、北京五輪の犠牲になった庶民は悲鳴を上げている。
(翻訳/編集・侍傑)
(08/04/20 11:27)
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