「診療報酬資料」問題で舛添厚労相に請願書
厚生労働省が作成した診療報酬改定に関する資料について、全国保険医団体連合会(保団連)が「資料は調査データを不正流用して作られた」と指摘している問題で、保団連は7月28日までに、資料作成の経緯などをただした質問状への回答を求める請願書を、舛添要一厚労相に提出した。
【関連記事】
診療所の減収「年間800億円の可能性」
診療報酬改定で小児科など打撃
日医と医療機関に別の文書送付か
医療機関への調査で「異なる使用目的」
診療報酬改定めぐり、異なるデータ使用か
保団連は、4月の診療報酬改定で導入された、医師が再診時に算定することができる「外来管理加算」の“5分ルール”について、情報公開法に基づき、資料の出典開示を請求。その結果、外来管理加算の対象となる再診患者に対する診療時間の調査ではなく、厚労省の委託を受けた業者が行った「時間外診療に関する実態調査結果」の数値を基に、資料が作成されていたことが分かった。
保団連は「外来管理加算の時間要件(5分ルール)と別の目的に使用したのは、明らかな不正行為」と批判。これに対し、厚労省は「業者委託して調査を行う際、今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に実施するとした文書を送付しており、不正流用には当たらない」と反論し、保団連に抗議文を送った。
これに対し、「開示された情報内容や5分ルールの決定過程に疑問を持った」保団連が、厚労省保険局医療課に抗議文の撤回を求めるとともに、質問状を送付した。しかし、同課が回答を“拒否”していることから、舛添厚労相に請願書を提出した。
同課が送付した文書については、保団連の調べで、「診療報酬改定の検討資料にするため」と記載された同課による文書と、「時間外の診療体制のあり方を検討するため」と記載された業者による文書と、互いに調査目的の異なる2種類の文書が医療機関に送付されていたことが判明している。
加えて、医療機関への調査協力を依頼するため、同課が日本医師会にあてた文書には、同課による「診療報酬改定の検討資料」という文書ではなく、業者の文書内容と同じ「時間外の診療体制のあり方を検討する」という文言が記載されていることも分かった。
5分ルールについて、保団連の調査では、外来管理加算の算定率が2割以上も減少し、診療所の減収が年間約800億円に及ぶ可能性のあることが明らかになっており、厚労省が今年1月に示した減収予想の約200億円を大きく上回る試算になっている。
【外来管理加算の5分ルール】
今年4月の診療報酬改定で、外来管理加算の算定要件として「おおむね5分を超える」診察が加わった。同加算(52点、1点は10円)は、診療所と200床未満の病院で、外来での再診の際、処置や検査、リハビリ、精神科療法などがなく、診察、指導、投薬のみであった場合、医師が再診料(診療所71点、病院60点)に加えて算定できる診療報酬。
更新:2008/07/28 20:00 キャリアブレイン
新着記事
議論百出の死因究明の公開討論会(2008/07/28 22:28)
「診療報酬資料」問題で舛添厚労相に請願書(2008/07/28 20:00)
加齢による目の疾患治療剤承認(2008/07/28 17:00)
過去の記事を検索
キャリアブレイン会員になると?
専任コンサルタントが転職活動を徹底サポート
医療機関からスカウトされる匿名メッセージ機能
独自記者の最新の医療ニュースが手に入る!
【第21回】洛和会音羽病院院長・松村理司(まつむら・ただし)さん 救急を断らない―。京都市の洛和会音羽病院は、ER型救急医療を実践する民間病院。年間5000件の救急車を受け入れている。一般病床428床に医療療養型、認知症病床、回復期リハ病棟を合わせて588床で、150人を超える医師を抱える。その総指 ...
患者に寄り添う看護に重点医療法人社団昌栄会「相武台病院」(神奈川県座間市)24時間保育でママさん支援 厳しい労働実態から離職率が12.3%に達するなど、看護師の確保・定着が看護現場の重要な課題になっている。こうした中、神奈川県座間市の医療法人社団昌栄会相武台病院では、組織を挙げて働きやすい職場づくり ...
WEEKLY
埼玉県戸田市の戸田中央総合病院には、今年もたくさんの新人ナースが仲間入りしました。人に寄り添う日々の業務は、緊張の連続でもあります。新人ナースの一日に密着しました。