ゲストさんログイン

ウェブ検索

最新ニュース! クリックするほどよく分かる

livedoor ニュース

今週のお役立ち情報

「ネットは悪」なのか、柳田邦夫氏と毎日新聞の「変態記事」事件への見解

「ネットは悪」なのか、柳田邦夫氏と毎日新聞の「変態記事」事件への見解
毎日新聞電子版に掲載された作家・柳田邦夫氏の「変態記事」事件への見解。同紙HPより引用
【PJ 2008年07月25日】− 英文の「変態記事」を多数配信していた毎日新聞がこのほど、役員の追加処分を含む事件の経緯と再発防止策を発表した。この事件は記者のモラルと記事のチェック機能、そして商業主義の問題が重なり合って起きた事件である。この発表資料の中に同紙の「開かれた新聞」委員会の委員、作家・柳田邦夫氏の興味深い見解が示してある。この委員会のお手盛り体質はPJ内田氏の記事を参照していただきたい。結論から言おう。わたしはこの事件の最大の原因は、毎日新聞批判へのガス抜きにもならぬこの自称「開かれた新聞」委員会の不見識と、これを組織した毎日新聞の経営体質そのものだと考える。

 柳田氏の事件への見解はこう始まる。「ネット社会ははじめは活字文化の辺縁に入ってきた。今では大きな存在になっているにもかかわらず、英文でのネット配信を辺縁扱いしてウオッチしていなかった。(中略)現代は活字メディアでも性的な情報が垂れ流しで、モラルなき表現の自由の時代と言える。(中略)内容には節度や社会的なモラルが必要で、新聞は毅然(きぜん)としたモラルを示さねばならない」。

 ここで垣間(かいま)見られるのは、「新聞=中央・正統・正確」「ネット=周縁・異端・不正確」、つまりは「新聞=善」「ネット=悪」といった柳田氏の極端に単純化された問題認識である。この事件の本質は新聞やネットという「メディア」の問題ではなく、記事の質やそのチェック機能という「ジャーナリズム」の問題なのである。変態記事を掲載した「ネット」という「メディア」が問題なのではない。

 柳田氏はそして、こうのたまう。「私は数年前からネットの負の側面に警鐘を鳴らしてきたが、今回の件はネット社会の落とし穴がどこに隠れているかわからないことを示唆するものだ。ただ、失敗に対する攻撃が、ネット・アジテーションによる暴動にも似た様相を呈しているのは、匿名ネット社会の暗部がただごとではなくなっていると恐怖を感じる。この問題はマスコミのネットとのかかわり方の教訓にすべきであろう」。

 繰り返す。事件は毎日新聞のモラルとチェック機能、そして商業主義によるものだ。ネット社会の暗部といわれるものとはまったく無関係。むしろ、ネットからの指摘と批判が無ければ、毎日新聞はこの問題をほおかむりしつづけたろう。自社の経営基盤を揺るがしかねないと、ネットを敵視する毎日新聞幹部の体質が問題の根底にある。PJ内田氏がこの問題を毎日新聞に取材した際、「インターネット関連のメディアには回答できない」などと、非常識な対応をしたのはこの証しだ。

 柳田氏はこの事件を「失敗」と評する。失敗どころの話ではない。世界中に日本の誤った見方をばらまいたのだから。しかも、柳田氏は事件に対する批判を「ネット・アジテーション」と強調する。ならばいおう。柳田氏の根拠と論理を欠いたネット批判こそ「守旧派新聞アジテーション」だと。

 さて、柳田氏のこうした見解を、毎日新聞がなぜ掲載したのだろう。ここにこの問題の本質がある。わたしには毎日新聞が「他人を使って自身の見解を言わせた」としか思えない。柳田氏の見解を掲載する際、毎日新聞がノーチェックだとは考えづらい。少なからず編集を加えているだろうし、そうでなければ事件の教訓が無かったことになる。柳田氏は、いや、毎日新聞は「ジャーナリズムの問題」を「メディアの問題」にすり替えたのだ。
 
 毎日新聞はこの事件の一因をネット社会の暗部と結論づけたわけだが、その判断をした「開かれた新聞」委員会に、柳田氏をはじめとするネット社会に知見のある委員がいたとは言えない。事件をネットの問題とするならば、それを検証する委員会そのものが機能していないのだ。この事件の本質は、「情報開示」と「説明責任」の意識を欠き、決して開かれることのない毎日新聞の隠蔽(いんぺい)体質そのものにあるのではないか。【了】

■関連情報
PJニュース.net
『言論江湖』 PJ小田の視点
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【 東京都 】
この記事に関するお問い合わせ / PJ募集
コメントするにはログインが必要です
ログインしてください
投稿

前後の記事

PJオピニオンアクセスランキング

注目の情報
暑くなっても、帽子が・・・
人目が気になり帽子が手放せない?
隠すだけでは何も良くならないですよ。さあ、勇気を出して!
抜け毛を止め、髪を生やしたいなら・・・。今が始め時!


まずは原因を見つけよう→