[AML 20285] 拉致事件は「共和国」の責任です

masuda miyako masuda_miyako1 at hotmail.com
2008年 7月 2日 (水) 14:00:29 JST


永好和夫様
 こんにちは。増田都子です。「尊敬」してくださってありがとうございます。また、私の質問に正対していただき、ありがとうございました。以下、私の考えを述べ(書き)ます。


> A.私はもちろん日本人です。『北朝鮮人』と書いたのは、共和国そして日本でかつての日本帝国主義によって、そして現在の日本政府の理不尽な制裁や弾圧、迫害、そして多くの日本国民によって苦しめられている朝鮮人の気持ちを代弁して記述したのです
>
 永好さんのお気持ちを私は理解できるつもりですが、しかし、「偽装」「偽造」は、私は何事によらず良くないと考えます。あなたのお気持ちを傷つけるかもしれませんが、このような姑息なやり方をして「朝鮮人の気持ちを代弁」とは不遜ではないか、とも思います。

 あなたは始めから、「日本人である永好和夫」として、拉致問題に対するあなたの意見を開陳するべきでした。なぜなら、あなたの[AML 20257] におけるご主張は、まさに「ひいきの引き倒し」以外の何者でもなく、本当にあなたの主張を「共和国」の方々の主張と思い込む日本人が出たなら、それは「共和国」の方々の名誉を引き下げるものにしかならないと私は思います。

 私は、件名に書きましたように、あなたの「拉致事件は共和国の責任ですか?」に対して、即答します。「そうです。拉致事件は共和国の責任です」と。

 なぜなら、あなたも良くご存知のはずの2002年9月17日があるからです。小泉純一郎首相(当時)が平壌を訪問し、金正日・国防委員会委員長と会談したその席で、金正日・国防委員会委員長は日本人13人を拉致したことを認め、口頭ですが謝罪しています。そして、犯人については、「共和国の一部の妄動主義者、英雄主義者」と発表しています。

 私は、あなたへの昨日の返信の中で、あなたが「『北朝鮮人』を偽装せる日本人」と、すぐ見抜けたのは、昨日の返信の2点以外に中心テーマの「拉致事件は共和国の責任ですか?」の中にもある、と書きました。金正日・国防委員会委員長自身が「拉致事件は共和国の責任です」と認めているという、こんな単純な事実に対して、あなたが無知でいらっしゃったことからです。


ですから、
> *この点に関しましては、先生がどのようにお考えかどうかは質問の本質と異なりますから、説明していただかなくて結構です。私に関してはどのように思われてもかまいません。
> 
 というご主張は大いに間違いです。「この点」こそは、「質問の本質」にかかわっていることであり、また、ことは「私」=永好さんが「どのように思われてもかまいません。」という問題ではありません。あなたの質問は「共和国」の方々の名誉を低めてしまうものです。「共和国」の人を「偽装」して、このようなご主張をなさることは、おやめになったたほうがいいと私は思います。

 そして、

 私の「『北朝鮮による日本人拉致は正当な行為である』というのが、永好さんのご主張と理解していいのですね?」という質問に対して
> A.私が、「北朝鮮による日本人拉致は正当な行為である」とはどこにも書いてありません。
>
 というあなたのご回答もいただけませんね。確かにあなたは[AML 20257] において「『北朝鮮による日本人拉致は正当な行為である』とは」文言においては明示して「どこにも書いてありません」。しかし、あなたの[AML 20257] におけるご主張は黙示ながら、全てに明確に「北朝鮮による日本人拉致は正当な行為である」と「書いてあ」るのです。

  ちなみにあなたは「わが国が日本人を拉致したからこそ朝日ピョンヤン宣言があると考えるべき」などという無茶苦茶な暴論をあえてしてまで、「北朝鮮による日本人拉致は正当な行為である」と黙示ながら明瞭に書いていらっしゃるではありませんか。「結果の事実」があるからといって、誤った行為を正当化することはできません。あなたの暴論は「日本がアジアに攻め入ったからこそ、アジア諸国は欧米植民地から独立できたのである。だから日本はアジア解放の為にアジアに攻め入ったという事実があるのだ」という、アホウヨさんたちの暴論とそっくりです。


>ただ、朝鮮人だけでなく、過去の日本の侵略と植民地支配を受けた国ぐには、拉致の責任は日本にあると考えている人がいることは事実であり(私は実際に尋ねてそのように答えた中国人がおります)、少なからぬ人がそのように考えているという有力な証拠があります。
>
 私は過去の日本の侵略と植民地支配の真実を中学生に教えてきただけでなく、「最悪の戦争犯罪人がなんら責任を問われなかっただけでなく、『平和国家ニッポンの象徴』になっちゃう」事実も、きちんと教えてきたために、右翼にジャックされた石原都教委によって最も憎まれ弾圧され「不当免職」されてしまったわけですから、「少なからぬ人がそのように考えているという有力な証拠があります。」ことも、もちろん、よく知っています。

 しかし「少なからぬ人がそのように考えているという有力な証拠があります。」ことは、「北朝鮮による日本人拉致は正当な行為であり、責任はない」ことの「有力な証拠」にはなりません。私は、過去の日本の侵略と植民地支配における数々の戦争犯罪・国家犯罪についてよく知っています。それに対して「わが国=日本」が、正当な謝罪と補償をしていないことに対して、また、日本人が日本政府にそれをさせる力がない事実に対して、被害者の方々に、心から申し訳ないと思っています。

 しかし、それと、、「北朝鮮による日本人拉致」を相殺することはできません。金正日・国防委員会委員長は、「『過去の日本の侵略と植民地支配』の責任を日本がとっていないから、日本人拉致は日本の責任だ」などと、おっしゃっていたでしょうか?

 私は、もちろん、アホウヨさんたちのように、「わが国=日本」は全く綺麗な白い手をしているかのように、「拉致事件での北朝鮮非難」「経済制裁」を「狂ったように騒ぎ立て」叫ぶことには全く与する者ではありません。経済制裁など全く間違っています。

 しかし、私は高嶋先生のように(「免職取り消し」裁判の意見書を書いていただいている義理!? はありますが)「横田夫妻をはじめ経済制裁を叫ぶ人びとを『悪魔のような心の持ち主』と批判」する気にはなれません。尻馬に乗って「狂ったように騒ぎ立て」るアホウヨサンたちには心から苦々しさを感じますが、しかし、被害者とその家族の心情からすれば、私は彼らにだけは、「それを言う権利」があると思うのです。できるならば、横田夫妻はじめ田口八重子さんの息子さんたちには、その同じ苦しみを味わわされた「20万人の朝鮮半島のめぐみ」さんにまで思いを広げていただきたいものだと思うのですが・・・


> 「拉致問題をどのように考えたらよいのか」という問題提起をしているのです。侵略と植民地そして戦後の朝鮮半島と日本の歴史を歪曲せずに理解して、それから理論的に考察してみることを提起しているのです。ですから単純にAだからBというのようなものではありません。
> 
 そうですね。確かに「拉致問題」を考えるには「日本の過去の侵略と植民地支配問題、「そして戦後の朝鮮半島と日本の歴史を歪曲」という問題を捨象するわけにはいきません。しかし、いかなる意味においても14歳の少女や1歳の赤ちゃんを持つ女性を拉致したことを正当化はできません。「共和国」は、被害者および家族の納得のいく解決=誠実な謝罪、原状回復、それがかなわなければ誠実な調査と、この犯罪に関わった者の厳重な処罰、そして誠実な補償・・・これは日本軍性奴隷にされた被害者者たちが日本政府に要求していることと同じです・・・をなすべきだと考えます。

 そして、そのためにも日本は過去のアジアにおける侵略と植民地支配に起因する数々の戦争犯罪・国家犯罪に対して、誠実な謝罪、原状回復、それがかなわなければ誠実な調査と関係者の厳重な処罰、そして誠実な補償をすべきであり、早急に「共和国」と国交を正常化し、正常な交流を深めることによって拉致問題の本当の解決を図るべきだろうと考えます。


> 広島市立大学平和学研究所の浅井基文所長は「核兵器廃絶を目指す立場から容認できない」と前置きしつつも「核兵器保有は理解せざるを得ない」、として反対の立場から距離を置きました
>
 私は浅井基文さんのご意見に賛成です。核兵器が増えることには大反対ですが、米英露中仏のNPT核保有国に加えてNPT外のイスラエル・インド・パキスタンの核兵器保有国が現実にある世界において「お前だけは核兵器を持つな」というのには、「よー言うよ」!? という思いがあります。ま、米朝の話し合いがつき、平和的に核放棄をすることになったことはとても嬉しいですけど・・・

 では最後に、もう一度、私の考えをハッキリと書いておきますね。
「日本の過去のアジアにおける侵略と植民地支配に起因する数々の国家犯罪の清算が済んでいない問題」と「共和国による横田めぐみさんたちの拉致問題」は相殺・バーターできる問題ではありません。それぞれに被害者の納得のいく解決を図るべきだと考えます。そして、日本人である私たちは先ず自国の前者の問題の解決を図るべく努力する責務があると考えます。

 なお、次のメールで月刊誌「イオ」7月号(朝鮮総連系の雑誌)に載せていただいた拙著『たたかう! 社会科教師』の記事をご紹介させていただきます。



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