[AML 20281] Re: 永好様
永好
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2008年 7月 2日 (水) 05:29:15 JST
尊敬する増田都子先生
熊本の永好和夫と申します。専門は自然科学（化学）です。熊本朝鮮会館問題を考える市民の会で在日朝鮮人の人権を守る市民活動、日本と韓国・朝鮮との親善友好の運動をやっております。
昨日は大変失礼いたしました。お詫び申し上げます。先生のご活動、平和教育の実践は、そして先生に対する理不尽な弾圧は、『たたかう！社会科教師―戦争の真実を教えたらクビなのか？』などで存じ上げております。東京都教育委に対して断固として闘う姿勢、そして歴史講演を通して広く社会に平和を訴える先生には、心から敬意を表します。
さて、先生のご質問に対してお答えいたします。
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> １、永好さんは「『北朝鮮人』を偽装せる日本人」でいらっしゃるのではありませんか？
Ａ．私はもちろん日本人です。『北朝鮮人』と書いたのは、共和国そして日本でかつての日本帝国主義によって、そして現在の日本政府の理不尽な制裁や弾圧、迫害、そして多くの日本国民によって苦しめられている朝鮮人の気持ちを代弁して記述したためです。世の中には権力や心無い一般国民によって虐げられた人びとがたくさんおります。そのような人びとの叫び、日本の一般国民に訴えたくても言葉にできないでいる社会的弱者の言葉を伝えるためにあえて書き込ませていただきました。内容につきましては、私自身が多くの在日朝鮮人の方がたと直接に議論した内容、共和国に行って現地の人びとの意見を聞いた在日朝鮮人や日本人の話をもとに私が作りました。ですから朝鮮人が日本人に訴えたいことを必ずしもそのまま表しているとはいえないかもしれませんが、少なくともこの内容に近いことを日本人に訴えたい人がいることも否定できないと思います。増田先生がどのように考えるかは自由ですけれども、この文章を私（永好）の意見とお考えでしたら、どうか無視してお答えなさらないでください。このようなことを日本人に訴えたい朝鮮人がいて、その人が書いたものであ!
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> �〇笋涼里觚造蝓�誇り高き「共和国」公民は、絶対に己を「北朝鮮人」などと自称することは有り得ないと考えます。
Ａ．私もそのように考えております。共和国の人びとは自分たちを朝鮮人（チョソン・サラム）といい、絶対に北朝鮮人とはいいません。朝鮮人は朝鮮民主主義人民共和国を「朝鮮」または「共和国」（韓国系の人は「北韓」）。とよび、「北朝鮮」は差別用語と考えています。『共和国の声』ということを強調するために敢えてこのように書きました。
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> ��AML２０２６３の永好さんから「とほほさんへ」の中で、「わたし」である永好さん自身が「わたしたち日本人はこれらの人びとに対して甚大な加害者であり、『怒られて非難されるべき立場』であり、『責任を取らなくてはならない立場』であるからです。」と書かれているからです。
Ａ．これは私個人の戦争責任に対する見解を述べたものです。もちろん自分の考えが絶対に正しいなどとおもいませんし、そのように主張しているのでもません。いろいろな考えがあるのが当然ですから。植民地支配と朝鮮分断の責任についても、『合法的で正しかった、米ソがかってにやったことで日本に責任はない』、という人や和田春樹先生のように『日本人が犠牲になっても朝鮮の人びとや在日朝鮮人が自由で人間らしい生活ができるようにしなければならない』（『北の友へ南の友へ』：お茶の水書房１９８７年）と考えている人などさまざまです。
ですから私を「北朝鮮人を偽装せる日本人」と思っていただいても結構です。そうすれば私は「沖縄人を偽装せる日本人」であり、「中国人を偽装せる日本人」であり、「従軍慰安婦を偽装せる日本人」であり、「ホームレスを偽装せる日本人」であることになってしまいますけれども、もちろんそのように考えていただいても結構です。ただ私としては、そのような社会的弱者の方がたに対する理不尽極まりない仕打ちを受けている方がたの声をとどけ、問題提起するつもりで書いています。
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> 実は、もう一点、「拉致事件は共和国の責任ですか？？？？？？？」という中心テーマの中にも、永好さんは「『北朝鮮人』を偽装せる日本人」なのでは？ と思わせるものがあるのですが、これは、明日、ご説明いたしましょう。
＊この点に関しましては、先生がどのようにお考えかどうかは質問の本質と異なりますから、説明していただかなくて結構です。私に関してはどのように思われてもかまいません。
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> ２、「北朝鮮による日本人拉致は正当な行為である」というのが、永好さんのご主張と理解していいのですね？
Ａ．私が、「北朝鮮による日本人拉致は正当な行為である」とはどこにも書いてありません。それから、「私の主張」という点に関しましては上述したとおりです。ただ、朝鮮人だけでなく、過去の日本の侵略と植民地支配を受けた国ぐには、拉致の責任は日本にあると考えている人がいることは事実であり（私は実際に尋ねてそのように答えた中国人がおります）、少なからぬ人がそのように考えているという有力な証拠があります。
川口順子外相（当時）が国連人権委で初めて拉致問題を取上げたときに、かつて侵略を受けたアジアの国ぐにから「自業自得」といわれたそうです。アジアで拉致問題の非難演説をしたときは笑われ者になったそうです。このことを森正孝氏（平和学）は月刊誌『統一評論』（統一評論新社）の
２００４年４月号（？）で取上げており、氏は「拉致は身から出た錆び」と述べています。また、増田先生と同じく「たたかう社会科教員」である高嶋伸欣先生は自著『拉致問題で歪む日本の民主主義―石を投げるなら私に投げよ』の中で北朝鮮の拉致は日本にも責任がある、と述べており、横田夫妻をはじめ経済制裁を叫ぶ人びとを『悪魔のような心の持ち主』と批判しています。
それから権力の暴力によって苦しめられている人びとの意見として、イラクで起こっている自爆テロをイラク人の４５％が支持している（２００５年１０月）、という世論調査も参考になると思います。これを熊本日日新聞（2005/10/24付)がスクープしたものの一部を紹介いたします。
【ロンドン２３日共同】
英国防省がイラク国民を対象に実施した秘密の世論調査で、回答者全体の４５％が駐留英米軍に対する攻撃は正当化されると考えていることが分かった。２３日付の英紙サンデー・テラグラフが伝えた。英米などの多国籍軍がイラクの治安改善に役立っているとの答えは１％足らずで、南部サマワに自衛隊を派遣している日本政府にとっても無視できない結果だ。調査によると、英米軍に対する攻撃を支持するとの回答は、英米軍が管轄する南部マイサン州では６５％に達した。（以下略）
多国籍軍によって直接被害を受けた人びとは全イラク人の１０％に満たないでしょうから、直接被害を受けた人びとはどのように思っているでしょうか。
＊私の考えは、ここでは問題ではありませんが、『統一評論』２００７年１２月号『「遺骨ＤＮＡ鑑定問題」の経緯と考察』（pp.69〜84)に書いてあります。（ただし、ごく一部が校正されています）
なぜなら、日本は永好さんがいろいろと書かれているような「こんなひどいことをやって」きたのだから、「日本は、わが共和国にこれだけのことをやって」きたのだから、というのが、その理由ですね？
「拉致問題をどのように考えたらよいのか」という問題提起をしているのです。侵略と植民地そして戦後の朝鮮半島と日本の歴史を歪曲せずに理解して、それから理論的に考察してみることを提起しているのです。ですから単純にＡだからＢというのようなものではありません。
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> ３、「もしわが国が日本人を拉致しなかったら、日本の総理大臣がのこのことピョンヤンまででかけていって、戦後賠償を約束して国交正常化交渉をしたと思いますか？過去の６０年をみておりますと、拉致事件がなかったら日本はこのままずぅっと戦争責任を放置していると考えるのが至当ではないでしょうか？わが国が日本人を拉致したからこそ朝日ピョンヤン宣言があると考えるべきではないでしょうか。」
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> という永好さんのご主張からすれば、朝日ピョンヤン宣言が実行されなかったのは、「もっともっと『わが国が日本人を拉致しなかった』からである」ということも永好さんのご主張からすれば「考えるべきではないでしょうか。」ということになりますね？
Ａ．「私の主張」という点はともかくとして、この点に関しましては同様の問題を私が「沖縄人を偽装せる日本人」になって問題提起致します。
＊私がなぜこのような問題提起をしたかと申しますと、近年の日本の戦前回帰ともいわれている現象の最大の原因が『北朝鮮の脅威』、『拉致問題』にあるからです。有事立法や教育基本法の改悪、イラク派兵、自衛隊の省への昇格、改憲して「戦争する国」づくりへする流れです。増田先生や根津先生をはじめとする平和教育への攻撃もそうです。石原慎太郎や安倍晋三のような政治家の跳梁を許しているのも根源は『拉致問題』があると思います。
それからなにより増田先生のご活躍を陰ながら応援しているからです。諸悪の根源は同じなのですから。。。。。
以下、私見も多くありますがよろしかったらご覧くださいませ。
歴史に学べば戦争は国家権力が国民に憎悪や恐怖心を植え付けて洗脳することで国民を意図的に集団ヒステリーに導き、『民主主義的』に起こすものです。イラク戦争もアメリカの国家権力者が９．１１（陰謀かどうかはともかく）、フセインや大量破壊兵器の脅威、アルカイダの関与を利用して国民を洗脳してなんと国民の８０％が戦争を支持しました。日本もかつて『暴支膺懲』とか『鬼畜米英』といったり、満州事変や盧溝橋事件などを謀略的に作り出して国民を洗脳して圧倒的多数の国民が戦争を支持しました。そして国民の洗脳にもっとも貢献しているのがテレビ、新聞などのメディアでした。
小泉の第一回訪朝時における拉致事件発覚のとき、ＮＨＫをはじめとするテレビは『救う会』を利用して北朝鮮憎しの報道をやりました。日朝国交正常化に積極的な新聞は朝日新聞ぐらいでした。ところが世論調査をしてみると、首脳会談全体としては国民の８０％以上が『大いに評価する』または『多少評価する』と回答し、国交正常化の必要性については『できるだけはやく』が２０．５％、『正常化すべきだが急ぐ必要はない』が６８．４％でした（読売新聞より）。その日から毎日毎日ＮＨＫをはじめとするメディアは北朝鮮バッシングをやっています。それでも第二回の訪朝で拉致被害者家族を小泉が連れて帰ったときには訪朝は国民から評価され、逆に小泉を非難した『家族会』に非難が殺到しました。しかし国民が『拉致問題』でどんどん洗脳されていっていることは事実です。とくに「横田めぐみニセ遺骨問題」を契機に急激に変化しており、私は危機感を強くしています。ＮＨＫでどれだけ捏造情報や根拠のない情報が垂れ流されてきたかを振り返ってみると改めてびっくりします。ウソも百篇いえばホントになる、といいます。
それから、国内の北朝鮮情報は確実に報道管制下に置かれ、拉致被害者へのジャーナリストの取材などは政府の監視下に置かれています。日本政府とアメリカ政府がどれだけウソにウソを塗り固めた情報をながしているか、調べて見ると慄然とします。『知の巨人』、『アメリカの良心』とよばれる世界的知識人チョムスキー(Noam Chomsky)は六カ国協議つまり北朝鮮の核問題と
いうのは『アメリカの問題』と喝破しましたが（『統一評論』2007年12月号）、的を射た表現だと思います。チョムスキーが指摘するように、北朝鮮は常に誠実で、アメリカは常に約束をひっくり返してきました。日朝ピョンヤン宣言以来、日朝間も約束を破ったり、偽造情報を垂れ流しているのは常に日本で、北朝鮮はほとんど常に誠実とみるべき有力な根拠があります。
国内情報でも注意深くみていると政府の情報統制をかいくぐって意外な情報を手にすることができます。海外の情報をネットで注意深く調べて見ると日本の情報と全然ちがうことがよくあります。たとえば横田めぐみのニセ遺骨鑑定の捏造は、世界で最も信頼されている科学雑誌『ネイチャー』によって４回も糾弾されています。とくに、「日本の政治家たちは、『どんなに不愉快でも（no matter how
uncomfortable it may be)』遺骨のＤＮＡ鑑定が科学的に信頼できないことに正視しなければならない」、「問題は科学（ＤＮＡ鑑定）にあるのではなく、政治家が科学に干渉していることにある」と断罪され、世界中の科学者から『国家ぐるみの科学犯罪』といわれて笑われものになっています。そしてこのことが日朝交渉を阻んでいるのです（これを理由に日本はマンギョンボン号の入港禁止やコメ２５万トンの支援の約束を半分で打ち切り、朝鮮総連への弾圧を強めた）。
『日本の常識は世界の非常識、世界の常識は日本の非常識』といわれますが、他国とりわけアジアの人びとの意見に耳を傾けて、なぜそのような意見がでてくるのか？と自問して見るといろんなことがわかります。北朝鮮については、分断の苦しみを分かち合っている韓国の情報は参考になります。北朝鮮が核保有宣言したとき日本は大騒ぎして反対しましたが、韓国では核保有に肯定的な意見のほうが多かったのです。ある世論調査によると、北朝鮮の核保有は統一韓国にとって望ましいかどうか？という質問に対して、『望ましい』が４４％、『望ましくない』が４１％でした（この世論調査の結果は産経新聞にも載りました。
日本でも意外な人が非常識？な発言をしています。北朝鮮が核実験をしたとき、日本中が非難をして広島では反対デモまで起こりました。国連はもちろん、井上ひさしさんや池田香代子さんら『世界平和アピール七人委員会』も非難声明を出しました。そのような中で、広島市立大学平和学研究所の浅井基文所長は「核兵器廃絶を目指す立場から容認できない」と前置きしつつも「核兵器保有は理解せざるを得ない」、として反対の立場から距離を置きました（労働新聞２００７年元旦号に全文が掲載されています）。長崎でも北朝鮮核兵器保有非難決議のときに異議を唱えた議員がいました。このような意見にたいして、問答無用としないで、どうしてそのような意見がでてくるのかを調べたり考えてみることも時には大切ではないかと思います。（どちらが正しいかではなく、多様な意見があるということを認めることがまず大切だと思うのです。）
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