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◎ 今月のプログラム
 日本ジャーナリスト会議出版部会“出版・ろばの耳”

〈東京家族ラボ10年の経験から〉

『良妻賢母−女が幸せになるヒント』
 

「家庭力を高める! 夫婦・親子円満のカギは女性にあり
池内ひろ美


   離婚相談を10年余り前から業として行ない、ずっと結婚と離婚に向き 合ってきました。ご相談に来所される方々の年齢性別はさまざまです。 男性4割・女性6割で、年齢層の多い順では、三十台、五十台、六十 台、四十台です。
 三十台のご相談が多いのは、結婚から出産を経て「私の人生これでよ かったのか」と子育てがひと段落したとき振り返る女性が多いためで す。日本の離婚は75%が妻からの申し出です。
 五十台以上のご相談で は、年金分割と定年退職による熟年離婚を考えており圧倒的に女性から の申し出が多いものです。
 夫たちが、退職したら妻と一緒に旅行したい とか、僕の老後は妻が介護してくれるだろうと漠然と思うことに比し て、熟年妻たちの望みは、退職金半分を受取り年金分割して別れること と、極めて現実的です。四十台の離婚が少ないのは、子どもに一番お金 がかかる世代だからでしょう。
 今まで延べ一万人近くの男女からご相談をお受けするなかで、私から離 婚を勧めることも止めることもしていませんが、ふと思うことがありま す。
 抱える問題が、借金や暴力といった共同生活を営むのに困難な原因の場 合は、安全な生活を守るための離婚という選択もありますが、たとえ ば、浮気の場合はどうでしょう。暴力は主体的に行なうものですが、浮気は、ときとして受動的に行なうこともあります。その是非は別とし て、据膳食わぬは男の恥と流されるように浮気をする男性もいます。
 夫が浮気をした、そのとき妻はどのように対応するでしょう。
彼を詰問し、子どもに向かって父親のミスを口汚く伝える妻を良妻賢母 と呼ぶことはできません。まだ夫婦がやり直せる可能性がある間は、賢 い妻は夫を詰問せず、冷静に浮気の原因と浮気相手を見定めます。その 先で離婚してもしなくても子どもに父親の悪口を伝えたりしません。夫 と妻は離婚すれば他人ですが、その間にいる子どもの人生に思いを馳せ ます。繰り返される浮気ではなく、ただ一度の浮気だけで離婚するのは もったいないかもしれませんね。
 相手のミスを突いて勝ち負けを競うのではなく、悲しいことが起こった ら悲しみを半分にし、楽しいことが起こると倍の喜びが得られるのが夫 婦であり家族という存在です。
 結婚は、それぞれの国の文化と法律にしたがって行われるものです。家制 度があった頃の日本では、夫たるもの妻たるものこうあるべきという明 確な規範がありましたが、家制度崩壊から60年をすぎた今その規範も 崩れています。
 したがって、明確な夫婦像もありません。あなた自身の 結婚生活を、夫として妻としてどのように生きますかと問われ、自ら決 めなければならない厳しい時代になったんですね。
 そんなことを考えながら、19冊目の著作になるPHP新書『良妻賢母―女が幸せになるヒント』を上梓いたしました。

池内ひろ美(いけうち・ひろみ)
1961年生れ。岡山市出身。東京家族ラボ主宰。テレビ・ラジオ出 演、各地での講演等行なう。著作『良妻賢母』PHP新書、『妻の 浮気』新潮新書、『男の復権』ダイヤモンド社、『勝てる!? 離 婚調停』日本評論社、『熟年離婚の損と得』ワニブックス他多数。

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