ヒトの免疫機構は、リンパ球を中心とした獲得免疫と、マクロファ−ジを中心とした自然免疫に分かれています。自然免疫においては、侵襲微生物をパターン認識して生体防御が発動されます。その際、宿主のパターン認識分子によって認識される微生物に共通の分子構造はPAMPsと呼ばれます。代表的なPAMPsとしてはペプチドグリカン、リポペプチド、LPS、細菌性CpG DNAなどが挙げられます。
菅原由美子 Sugawara
Yumiko
(口腔微生物学分野 上原亜希子先生、高田春比古先生との共同研究)
この代表的な宿主のパターン認識分子であるToll-like receptor (TLR)系の研究が進み、リポペプチドはTLR2、内毒素はTLR4、細菌性CpG DNAはTLR9を介してそれぞれ作用を発揮することが知られています。さらに、ペプチドグリカンのムラミルジペプチドMDP部分およびジアミノピメリン酸(DAP)含有デスムラミルペプチドDMPの細胞内レセプターがそれぞれNOD2とNOD1であることが明らかとなりました(図1)。当教室では、口腔微生物学分野の上原亜希子先生と高田春比古先生との共同研究で、口腔粘膜上皮におけるこれらパターン認識分子の発現ならびにそれらの機能動態に着目し、研究を進めております(図1〜4)。
図1
図2
図3
図4
以上の結果から、ヒト口腔粘膜上皮はさまざまなパターン認識分子を介して侵襲細菌を認識し、抗菌物質などを産生して生体防御に積極的に関与しているものと考えております。 さらに、これらの知見をもとに口腔粘膜疾患の自然免疫による病態解析へと研究を進めています。