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2008年7月28日

 「東西の人顔ぽつと花火哉(かな)」(小林一茶)。夏の夜空を染める光の大輪。それを眺める大勢の人々。その技術は世界一といわれる日本の花火は、いつの時代にも欠かせない

中でも真ん丸に開いて、同心円状に幾重にも美しい円を描く技術は難しいらしい。「玉」と呼ばれる紙製の球体に「星」と呼ばれるいくつもの火薬の玉を詰めるのだが、その技術は花火師の秘伝とされている

金沢の犀川で開かれた北國花火大会は、花火師の技術の粋(すい)が1万2千発も花開いた。千連発の「おとこ川市民花火」や全国の花火師の「芸術花火」など夜空に次々と描かれる光の絵画に息をのんだ。色や形のみならず、打ち上げのほどよい高さなど、まさに職人技

花火は打ち上げの音とともに光の筋を探し、開いて消えるまでを楽しむ。ほんの数秒のために1発1発に工夫が凝らされる。色を出す「星」は、花火師が数十日かけて作り上げ、大きさに不ぞろいがあれば捨ててしまうほど厳しいという

来月2日には手取川で北陸最大級といわれる川北大会が開かれる。花火師の職人魂が、今年は1万8千発花開く。


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