北京五輪開幕を間近に控えた主会場の国家体育場周辺では、大量の武装警察が動員され、緊張感が高まっている=中田徹撮影
北京五輪の開幕まであと11日。競技会場へのアクセスとなる地下鉄も完成し、選手や観光客ら50万人とも言われる外国人を迎えるボランティアは最後の訓練に汗を流している。一方、21日に雲南省で起きたバスの爆発事件の影響もあり、交通機関は厳戒態勢が続く。北京市民は高揚感と不安感が入り交じった「五輪前夜」を迎えている。
27日、競技場が集まる五輪公園内の選手村が開村した。
「もう少しで開幕。うれしさと緊張感でいっぱい」
開会式会場となる国家体育場(通称・鳥の巣)近くで、そろいの青いシャツを着た学生ボランティアの趙●●(●はくさかんむりに千)さん(20)は、にこやかに話した。担当は入り口での手荷物検査で、不審物があったらどうするかという訓練もあった。それでも「テロなんて怖くない。中国で初めての五輪に参加できて光栄」と興奮した様子だ。
市内の観光地など約550カ所に設けられたボランティアステーションは今月初めから利用が始まった。207万人のボランティアが道案内や通訳などにあたる。会場周辺の屋台や立て看板などを排除、道路には4千万鉢の花を配置する。市内には五輪のスローガン「一つの世界、一つの夢」と書かれた看板や旗があふれている。
インフラ整備も完了した。空港線と10号線が19日に開業し、北京の地下鉄は計7本に。空港線は約20分で市内に着く。10号線から乗り換えて五輪公園に向かう五輪支線も完成し、8月8日の開会式に開業予定だ。
しかし、開幕が近づくにつれ、街中の警備も厳しくなる一方だ。北京市内に向かう高速道路の料金所では1台ずつチェック。五輪公園周辺は一般車両の通行が禁止され、空車のタクシーも近寄れない。地下鉄の駅でも所持品検査があり、五輪支線はパラリンピック終了まで証明書を持つ関係者か、チケットを持つ観戦客しか乗車できない。