燃料価格の高騰を受け、官公庁が経費節減に乗り出した。節約とは縁遠い印象の自衛隊がエコ運転に取り組み、車頼りだった市役所は公用自転車を採り入れた。先の見えない不安の中で、省エネや環境保護も兼ねた模索が続く。
■自衛隊 戦車もエコ運転 訓練は近場の海
自衛隊は、原油高との闘いのさなかにある。
陸上自衛隊は3月、車両の燃料費節減を求める通達を出した。戦車に対しても「低燃費運転」を要請した。
登坂力や旋回性能を確保するため通常はローギアでの走行が多い戦車だが、なるべく4速のトップギアで演習場を走るようにした。エンジンの回転数が落ちて、燃費が良くなる。「本当の作戦時には、燃費を良くして給油回数を減らすことが求められる。教育訓練の時から、燃料節約の原則の徹底を図る」(陸上幕僚監部)という。
戦車の燃費は、「走る場所によって違うので平均的な数字は不明」(陸幕)という。停車時にエンジンを切るアイドリングストップも検討されているが、戦車の場合、エンジンの始動と停止を繰り返すのは構造上難しいらしい。
海上自衛隊では燃料費節減のため、護衛艦が航行する時に2本あるスクリューの片方を止めている。訓練海域も基地から近い場所へ変えた。
航空自衛隊では04年前後から、戦闘機などが訓練空域まで往復する際、ややスピードを落とした「経済速度」で飛ぶようにしている。燃費が向上する半面、「移動に時間がかかり、訓練空域での訓練時間が短くなった」(航空幕僚監部)というデメリットも。F15などの戦闘機では、「たとえば400ノットで飛んでいたのを300ノットに落とすようなイメージ」(同)という。