大分県教委の汚職事件を捜査している大分県警は26日までに県教委ナンバー2の富松哲博教育審議監(60)が部下の「抜てき人事」に絡んで商品券を受け取ったとされる問題について、収賄容疑での逮捕を見送る方針を固めた。書類送検の可否も大分地検と協議しながら慎重に検討している。一連の事件の捜査は、小学校の校長ら3人と元県教委参事との贈収賄事件の立件を経て、終結へ向かう見通しとなった。
富松審議監は今年3月、当時、同県佐伯市の離島の小中学校校長だった元県教委義務教育課参事矢野哲郎被告(52)=贈賄罪で起訴=の県教委への異動内示後、大分市内の富松審議監の自宅で、異動に便宜を図った謝礼として、矢野被告から商品券20万円分を受け取った疑いが持たれていた。
複数の関係者によると、富松審議監は昨年11月、佐伯市の料亭で、矢野被告に「県教委に来ないか」と誘い、矢野被告も「お願いします」と依頼。富松審議監は同年12月と今年3月、佐伯市教委に矢野被告の異動を打診したとされる。
県警は今月17日、一連の事件の関係先として富松審議監の自宅を家宅捜索、19日から任意で事情聴取している。しかし、調べに対し、2人とも商品券の授受は認めた上で、矢野被告は「これからもよろしく」という意味と説明。富松審議監も「見返り」の趣旨を認めていないという。
県警は大分地検と協議した結果、提供された商品券をわいろと認定するのは難しいと判断したとみられる。
=2008/07/27付 西日本新聞朝刊=