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日本脳炎流行の恐れ ワクチン未接種 ブタから抗体 (1/2ページ)
日本脳炎の流行の可能性が今年、近年になく高まっている。流行条件の一つとされる気温の高い日が続き、ウイルスの感染源となるブタでの流行が拡大していることに加え、平成17年から予防接種の義務化が中止され、免疫を持たない幼児が急増しているためだ。専門家は、早い段階でのワクチン接種を呼びかけている。
国立感染症研究所の調査では、7月25日までにブタから日本脳炎の感染を示す抗体検出が報告されたのは富山、三重、高知、長崎、鹿児島、沖縄の6県。報告県数は昨年と比べ1県の増加だが、検査対象の平均抗体保有率が約20%から約50%に増え、例年を大きく上回る広がりを見せている。
専門家からは夏に気温が高い日が続くことと、感染ブタ増加の相関関係が指摘されている。感染研の高崎智彦ウイルス第一部第2室長は「今年は梅雨明けが早かった地域が多く、暑い日が続いている。すでに感染した蚊が飛び回っている可能性がある」と警告する。
厚労省が平成17年にワクチン接種の積極推奨(義務化)の中止を自治体に通知するまでは3歳で2回、4歳、9歳、14歳で1回の接種が努力義務だった。しかし、感染研が昨年行った調査では、現在4〜5歳の幼児の接種率は1割程度。中止以前の6〜7割から激減していた。
高崎室長は「近年、患者が年10人以下で推移しているのは、接種の積極推奨が中止される前までのワクチンが寄与してきたからだ」と指摘。その上で、「畜産県の多い中部、蚊が分布する西日本に住んでいる人、夏休みに長期間、これらの地域に滞在する人は受けた方がいい」と話している。