3.おやじモバイラー現る 2000.3.30 中央線神田駅付近

 最近電車の中で、「できるWindows 2000」とか「40代からのインターネット」といったコンピューター系の本を広げて、一生懸命読んでいる中年のサラリーマンを見かける。きっと彼らの会社でもパソコンができなきゃ肩身の狭い思いをするどころかリストラの恐怖にすらおびえなくてはならないほど、パソコンの普及が進んできているのだろう。おじさんは大変なのだ。
 さて、そんな日々の努力の甲斐もあって、かなり使いこなすことができるようになったおじさん達もいる。中央線神田駅付近の電車内で見たおじさんは、相当にのめりこんでいるようだ。発売されたばかりのカシオのWindows CE機(ザウルスみたいな携帯端末の一種)を取り出して慣れた手つきで操作したかと思えば、富士通のノートパソコンを膝の上に開いて、カタカタとキーボードを叩き始めた。その様子を見た他のおじさんの中には、少々危機感をおぼえながらも、「俺だってExcelなら負けないぜ」みたいなことをつぶやいた方もいただろう。
 しばらくするとノートパソコンに飽きた(?)のか、今度は携帯電話を取り出していじりはじめた。どうやらiモードらしい。このおじさん、すっかり電車内を自分のモバイルオフィス状態にしてしまい、バリバリと仕事(ゲームか?)をするもんだから、どうにも会社にいるような錯覚に陥ってしまい、うんざりな気分だ。しかし、電車の中でもこんなにいろいろな機器を駆使して仕事に励むのだから、相当いそがしい人なのだろう。
 思わず僕は、「がんばれ、サイバーおやじ。夢中になりすぎて高尾まで行くなよ」と心の中でエールを送った。