7月24日、東京中野ZERO小ホールで、法政大学学生らの主催による「法大弾圧ぶっとばせ!7・24全国集会」が開催されました。2年間に85人の逮捕者を出し、さらにこの日、集会に参加して発言する予定だった男性が夕方、会場のある中野駅で逮捕されたという報告に、会場から驚きと抗議の声があがりました。
基調講演をする久木野和也さん。
7月24日(木)午後6時30分より、東京中野ZERO小ホールで、法政大学の学生らの主催による「法大弾圧ぶっとばせ!7・24全国集会」が開催されました。
会場の前には大勢の公安警察がいて、入場者をチェックするようにメモをとっていました。学生主催の集会になぜこれほどの公安警察がくるのか、話を聞きにきただけなのにジロジロ見られ、市民に不安と不快を与える存在に多額の税金を使う必要があるのだろうか、疑問を感じないではいられませんでした。
外の異様な雰囲気と打ってかわり、建物の中に一歩入ると、廊下、階段、受付まで、両側にビラを持った人たちが並び、入場者に次から次へとビラを手渡していました。会場に入ると、まだ満席にはなっていないものの、大勢の学生や支援者らが詰めかけ、熱気に包まれていました。
2年間に85人の逮捕者を出し、さらにこの日、集会に参加して発言する予定だった男性が夕方、会場のある中野駅で逮捕されたという報告に、会場から驚きと抗議の声があがりました。改めて、尋常ならざる事態が法政大学で起こっていることを垣間見させてくれました。逮捕者が85人から86人になったことで、学生らの怒りはさらに高まり、その怒りが会場にいる人たちにも伝わってくるような緊迫した雰囲気がありました。
集会は、法政大学の学生2名の司会で始まりました。
最初に、日本外国特派員協会で、警察と一体となって学生を弾圧している法政大学を告発する記者会見を行った法大生の久木野和也さん(無期停学処分)が、学生たちの交流の場であった学生会館が大学当局によって一方的に解体され、それに抗議をしたことから始まった一連の弾圧について、その経緯を時系列に説明しました。
次いで、裁判闘争をしている被告人、5・28ー29弾圧逮捕者、法大闘争記録映像上映、獄中の17名の仲間からのアピール、裁判弁護団、被告団家族、救援連絡センター、支援連帯アピール、法大OB、法大生からの訴えなどがありました。
暴行をデッチ上げられ、法大を退学処分になった男性は、自分と一緒に逮捕された仲間がデッチ上げによって警察に逮捕されたときのことを目撃したそうです。身体の自由を奪われた仲間が、振りほどこうとしたら「首を絞められた。暴行された」などど、だれにも真似のできないような迫真の演技で事件がデッチ上げられ、7ヶ月も拘留されたそうです。
法大闘争記録映像上映では、不当弾圧に対する抗議とサミット粉砕を掲げた学内デモで38人もの逮捕者を出した5月28日ー29日のデモのとき、キャンパスに公安警察らが突入、学生らを弾圧している様子や、大学当局に抗議をし、170時間のハンストを行った学生らの姿を伝えていました。
裁判弁護団からは、森川弁護士が、大学に入っただけで犯罪とされることのおかしさを指摘しながら、自分自身も学生に招待されて富山大学に講演に行ったとき、門のところで「学外者の森川は入ってはいけない」などと書いたものを突き付けられ、「いやな感じ」がしたことを明らかにし、その「いやな感じ」を学生たちと共有したい、との発言がありました。
また、西村弁護士は、1つの大学で2年間に86人の逮捕というのはかつてなく、歴史的な闘いが行われていること、大学と学生との闘いで学生が一歩も引かない闘いをしていること、これは絶対に勝てる構図であること、裁判も大学の闘いと一体となったものでなければならないこと、などを訴えました。
藤田弁護士は、裁判は相手が用意した土俵で闘わなければならないが、その土俵を食い破る裁判ができている、との認識を示しながら、弾圧が広がるほど闘いは広がっており、これからも弾圧は続くと思うが弁護団は学生について行くので「安心して闘ってください」と述べ、「接見室でお会いしましょう」と会場を笑わせました。
次に、被告団家族からの発言がありました。法大に行ったとき、ジャージー軍団に強制的に門外に放り出されたというお母さんは、不誠実極まりない大学当局の対応を身をもって知り、「息子の怒りが家族の怒りになった。息子の行動に誇りを持っている」と述べ、家族として支えていく決意であることを明らかにしました。また、職場など身近な人たちに法大で起きていることを伝えていきたい、と語りました。
次に、救援連絡センターの方が壇上に上がって発言しました。2年間で86人もの逮捕者を出した法政大学は「上得意です」と会場を笑わせながら、「こういっちゃなんだが、存続40年の救援連絡センターを、みなさんの力で好きなように使ってください」と述べ、学生たちの闘いを全面的に支援する立場であることを表明しました。
団結ガンバローをする発言者のみなさん。
テレビなどで活躍している法大OBの男性も駆けつけ、身振り手振りの巧みな話術で聴衆を魅了し、拍手喝さいを浴びていました。OBは、法大で起きていることをテレビが伝えない現状に懸念を示しながらも、テレビで仕事をしていると多数派につかざるを得ないが、どうも学生たちの方が多数派になりそうな形勢なので、こっちについた方がいいようだ、などと笑いを誘いながら、厳しい状況で闘いを強いられている後輩たちに温かい励ましの言葉を送っていました。
法大生からは、この状況を黙って見過ごすことは戦争に行き着く道を容認することであり、それは絶対に許してはいけない、との訴えがありました。「おかしいことをおかしいと言ってなにが悪いのか」と疑問を呈しながら、警察と一体となって学生を封じ込めようとする相手と闘うためには、立場を超えて一致団結することがなによりも重要であり、「86人の逮捕はおかしい」というこの一点で結集することの必要性を強く訴えました。
大学を批判する文章を書いたことから睨まれるようになったという学生は、入校、退校のとき、門のところでチェックされ、「何時何分に入りました」などとストーカーまがいの監視を受けているそうです。また、自習室には学生証を使って入るそうですが、入ることができないように操作されていたり、いつも一緒にいるという理由で後輩にまで差別的な扱いをするといった嫌がらせをしているということでした。
この学生が友人とけんかをしたときは学校当局が介入してきて、友人に医療費を出してあげたうえになんの処罰も与えなかったのに、彼は2週間の停学処分を受けたそうです。大学を批判する文章を書いただけで当局から陰湿で執拗ないじめを受けている学生がいることに、会場からも驚きと怒りの声があがっていました。
また、法大では女子学生に対して強い態度で出ている教職員もいて、なかには暴力を受けた女子学生もいるということでした。「女の子に暴力をふるうやつは許せねえ」暴力教職員を非難する男子学生らの言葉に、被害にあった女子学生はそのときの思いが蘇ってきたのか、ときおり声を詰まらせながら、次のように思いを訴えました。
「法政大学の中で学生が立ち上がることはものすごい重圧です。その重圧の中で、処分対象者にされても、それでもおかしいことはおかしい。どんなに弾圧されても、どんなに規制されても、ものすごく偏った法政大学の中で立ち上がっている流れがあり、決してゼロにはならない。そのことに展望がある。その思いがあるから突き進んできました。仲間を1人も見捨てない。それをスローガンに法大闘争をやってきました。10月17日に法学キャンパスで行われる集会に参加し、力関係をひっくり返す関係を作っていきましょう」
最後に、発言者らが壇上にあがり、参加者とともに団結ガンバロウを行いました。
なお、この日の集会の参加者は460人(定員500人)、カンパは378,017円集まったという報告がありました。弁護士費用や、獄中にいる18人の保釈金(1人につき200万円)を払うため、5,000万円カンパを呼び掛け、協力を求めました。
筆者の感想
法大の教職員によるジャージー軍団が、学生に対し、「殺すぞー」と言ったり、女子学生に暴行を加えるといったことが日常的に行われているという話を聞き、驚きを禁じえませんでした。
この日も1人逮捕者が出たとのことですが、思想信条の違いを超え、一般の学生たちもおかしいことはおかしいと声を上げていること、その声が広がりつつあることに危機感を強めた大学や公安警察が、見せしめ的に影響力のある人を逮捕し、さらに集会に参加する人たちに重圧を与えるために会場の前で監視していたことがわかりました。
批判者に対する大学の陰湿で執拗ないじめや暴力は決して許されるものではなく、公安警察と一体化し、学生らに不当弾圧を繰り返している法大当局に屈することなく、キャンパスを学生に開放するために闘っている学生たちに、筆者も心からのエールを送りたいと思いました。