大分教員汚職:「本来の合格者」特定へ 県警がデータ復元

 大分県の小学校教員採用汚職事件に絡み、県警は07、08両年度の全受験者のうち点数水増しにより不正合格した受験者を割り出すとともに、逆に合格圏内からはじき出された不合格者の特定作業にも着手した。不正合格者は両年度の合格者計82人のうち半数以上とされている。県警は押収した県教委参事(当時)らの公用パソコンから消去された採点データの復元作業をほぼ終えており、県教委と連携し“被害者”の何らかの救済に役立てたい考えだ。

 調べなどでは、元県教委参事、江藤勝由被告(52)=2件の収賄罪で起訴=は試験に際し、元県教委教育審議監の二宮政人被告(61)=収賄罪で起訴=と、富松哲博・教育審議監(60)から特定の受験者を合格させるよう指示を受け、得点を改ざんするなどしていたとされる。

 07年度は2人から受けた受験者の合格依頼は計約40人にのぼり、少なくとも半数以上の点数を水増しするなどし合格させていたという。この年度は当時の教育長も特定の受験者を合格させるよう、江藤被告らに指示しており、江藤被告は合否調整に苦労したと供述している。

 一方、08年度に江藤被告が富松審議監から受けた合格依頼は約20人で、受験者15人の点数を水増しし、2人は落ちたが残る13人は合格した。一方、点数を減らされたり、水増しされた受験者の順位上昇の影響で、逆に順位を下げられ不合格になった受験者が約10人いたという。

 こうした改ざん過程が記されたデータが一部、江藤被告のパソコンなどから消去されていたものもあり、県警が復元作業に取り組んでいた。

 専門家によると、特殊な消去ソフトを使用していない限り、ほとんどのデータは復元可能という。

 一方、県教委は過去の試験について調査し、不正により合格したと判明した場合は採用を取り消す方針を打ち出しているが、答案用紙などは各年度末に破棄しているなど、本来の合格者の特定は難航が予想されている。しかし、県警は今回の事件で、本来の合格者が不合格にされた事態を重要視しており、少しでも救済を図れるよう、点数改ざんの詳細な過程も解明する方針。

毎日新聞 2008年7月27日 2時30分

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