2008年06月05日
日本精神研究 『国家の品格』精読��
さて、ついに本論に入る。第一章は「近代的合理精神の限界」である。ここでは近代合理主義が世界にまき散らした害毒について述べている。
著者はまず最近五世紀は「欧米にしてやられた時代」であり、特に産業革命がヨーロッパで起こったことが大きいとする。しかしそれまでのヨーロッパは野蛮でしかなかったと説いている。古代ギリシャではわかっていたことを中世のヨーロッパ人は全く知らない(ちなみに古代ギリシャ人は今で言うと中東系の人種だとも言われる。さらに余談ながらイエス・キリストもいわゆる「白人」ではなく中東系の顔つきをしていただろうと考えるのが自然である。欧米人は認めたがらないかもしれないが)。日本はその時から立派に統一国家を作り、豊かな王朝文化を営んでいた、と主張している。
産業革命後世界を支配してきたかのような欧米だが、その論理にもほころびが出始めているとする。ここでは核の問題、環境の問題、犯罪の問題などを挙げている。これらの問題が顕在化したのは「欧米的な論理、近代合理精神の破綻」であるという。帝国主義や人種差別も美しい論理で装飾されていたとして、「人間は利益のためなら、いとも簡単に美しい言葉や見事な論理を生み出すのです」と言っている。競争社会や実力主義においてもその美しい論理で装飾されているが、それが導入されれば従業員は互いに競争相手なのだから相互不信になり、安定した社会は望めないとした。「究極の競争社会、実力主義社会はケダモノの社会です」。アメリカでは弁護士や精神カウンセラーの数が異常に多く、問題となっている。マネーゲームでは兆の一個上の単位、京単位のお金が動いていることを問題にし、実体経済とかけ離れたものになっていると批判している。
産業革命以降の欧米社会は「論理を徹底すれば問題が解決できる社会」であり、それをしたことが今日の破綻を産んでいる、とした。
さて、問題は前回とも重なるが産業革命の発祥地は著者が感動したイギリスなのである。その問題に踏み込まないことはいささか片手落ちのようにも思える。
私の感想になってしまうが、著者が終身雇用や年功序列を肯定的に述べているところは驚いた。この本は平成十七年発刊だから、改革批判をさきがけていたことになる。そこに私は著者の慧眼たる所以であると思う。
著者はまず最近五世紀は「欧米にしてやられた時代」であり、特に産業革命がヨーロッパで起こったことが大きいとする。しかしそれまでのヨーロッパは野蛮でしかなかったと説いている。古代ギリシャではわかっていたことを中世のヨーロッパ人は全く知らない(ちなみに古代ギリシャ人は今で言うと中東系の人種だとも言われる。さらに余談ながらイエス・キリストもいわゆる「白人」ではなく中東系の顔つきをしていただろうと考えるのが自然である。欧米人は認めたがらないかもしれないが)。日本はその時から立派に統一国家を作り、豊かな王朝文化を営んでいた、と主張している。
産業革命後世界を支配してきたかのような欧米だが、その論理にもほころびが出始めているとする。ここでは核の問題、環境の問題、犯罪の問題などを挙げている。これらの問題が顕在化したのは「欧米的な論理、近代合理精神の破綻」であるという。帝国主義や人種差別も美しい論理で装飾されていたとして、「人間は利益のためなら、いとも簡単に美しい言葉や見事な論理を生み出すのです」と言っている。競争社会や実力主義においてもその美しい論理で装飾されているが、それが導入されれば従業員は互いに競争相手なのだから相互不信になり、安定した社会は望めないとした。「究極の競争社会、実力主義社会はケダモノの社会です」。アメリカでは弁護士や精神カウンセラーの数が異常に多く、問題となっている。マネーゲームでは兆の一個上の単位、京単位のお金が動いていることを問題にし、実体経済とかけ離れたものになっていると批判している。
産業革命以降の欧米社会は「論理を徹底すれば問題が解決できる社会」であり、それをしたことが今日の破綻を産んでいる、とした。
さて、問題は前回とも重なるが産業革命の発祥地は著者が感動したイギリスなのである。その問題に踏み込まないことはいささか片手落ちのようにも思える。
私の感想になってしまうが、著者が終身雇用や年功序列を肯定的に述べているところは驚いた。この本は平成十七年発刊だから、改革批判をさきがけていたことになる。そこに私は著者の慧眼たる所以であると思う。
トラックバックURL
この記事へのトラックバック
1. 「歴史と日本人―明日へのとびら―」さんの応援メッセージ [ がんばれ城内実（きうちみのる） ] 2008年06月06日 13:08
「支援リンク」の仲間「歴史と日本人―明日へのとびら―」さんから応援メッセージが届きました。
耕さん、ありがとうございます！
以下に全文を掲載させていただきます。
（★引用開...
