完成したモスク。水田の緑に白い建物が映える=岐阜市古市場東町田、松田写す
モスクの内部
イスラム教徒はメッカに向けて1日5回の祈りをささげ、金曜日に集まって礼拝する習慣があり、モスクには日本の寄り合い所的な意味もある。
クレシさんは98年に東海地方で初の本格的なモスクを名古屋市中村区に開設した。それ以前は借りたアパートに集まって礼拝していた。聞き慣れない外国語の祈りを耳にして周辺住民が不快にならないようにと、夏でも窓を閉め切ったが、退去を迫られたこともあったという。
体育館などを借り、名古屋では金曜礼拝には2千人近くのイスラム教徒が集まることもある。岐阜市では300人程度が集まるという。
クレシさんたちの説得に周辺住民の不安や戸惑いは弱まった。だが、いぜんとして「過激派が起こした同時多発テロなどイスラム教は怖いというイメージがある」「けんかや紛争が起きるんじゃないか」「地域のマナーを守らずゴミがほったらかしになるのではないか」という声も地元に残る。
宗教法人「日本ムスリム教会」(東京都渋谷区)によると、国内にあるモスクの数は50〜60カ所程度とみられている。
イスラム文化圏での日常のあいさつは「アッサラーム アライクム」。アラビア語で「神の平和があなたの上に」という意味だ。「イスラムと日本の文化の交流の場にしたい」。クレシさんは、完成した施設にそんな祈りをささげている。