場面カット
雨宮 哲 公開期間:2008/7/21〜2008/7/27

使用楽曲
「合体なんてクソくらえ!!(合体挿入曲第一番 ハ短調アレグロ K2564)」

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インタビュー パースを崩すなら徹底的に 雨宮 哲

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本人自画像
▲本人自画像

 最初に「『グレンラガン』の劇判から1曲選んで、自由にPVを作っていい」と、この企画を聞いた時は本当だろうか、とかなり疑いましたね。そんなにおいしい話があるわけがないと思っていましたから。
 曲は「合体なんてクソくらえ!!(合体挿入曲第一番ハ短調アレグロK2564)」を選びましたが、内容のほうを先に考えていました。そこから合いそうな曲を選んだ感じです。最初からアクションメインの内容にしようとは考えていたんですが、当初考えていたのは完成したものとはまったく違う内容でした。最初は、『グレンラガン』のキャラクターを使いながら、絵面はまったく『グレンラガン』らしくないものを作ろうとしていたんです。でも周囲の人に話を聞くと「変えるならば、もっと全面的に変えちゃったほうがいいんじゃない?」みたいな意見もあって。それでキャラクターは新作にして、世界も特に『グレンラガン』の世界というわけじゃぁない、という内容になりました。ただキャラクターがまったく違うならば、絵面ぐらいは『グレンラガン』らしいほうがいいだろうということで、今のスタイルで行くことにしました。
 実作業では、美術さんがかっこいい絵を描いてくれてそれがすばらしかったです。美術さんにはちょっと無理をお願いしたんですよ。パースが狂ってるレイアウトを渡して、狂っているけどこれに合わせて描いてほしい、と。僕が好きなアニメーターの一人に金田伊功さんがいるんですが、『無敵超人ザンボット3』('77)で金田さんが原画を担当している回とか、ものすごくパースが極端なんです。逆にいうと、パースを崩すならあれぐらいやらないとかっこいいものにはならないんだな、と。それでそんな注文をしたんですが、見事に仕上げていただきました。本編やっている時は直接やりとりがなかったんですが、すごい人たちと仕事をしてたんだなと改めて思いました。
 自分の作業に関しては、ちゃんと完成させることが重要だと思って作業をしたので、わりと保守的な感じです。特に挑戦、というようなことは考えませんでした。ポイントポイントで、キャラやメカをスライドで見せています。『グレンラガン』本編がそもそもわりとスライドが多いんで、「ここでスライドか」みたいな感じを出すと『グレンラガン』ぽく見えるだろう、と。僕自身がスライド好きなんですよ。一人で原画を描くならスライドを入れないとなんともならないという事情もありますけれど、さっき言った『ザンボット3』でも、そう動き回っているわけじゃないんですよ。でもあれだけかっこいいんだからいいだろうと。もっとも金田さんや大張(正己)さんのようなセンスの人たちと、一般の人の間には深くて長い河が流れていて、とうてい及ばないわけですが。
 最初と最後に、戦いを見ている少年が出てくるのは、PVであっても一つのお話としてまとまった感じを出したかったからです。そういう内容のほうがいいと思ったので。(談)



(プロフィール)
あめみや・あきら
主な仕事に『シュガシュガルーン』(原画)、『ガイキングL.O.D』(原画)、『BB戦士三国伝 英雄激突編〜翔の章〜』(原画)など。『天元突破グレンラガン』第5話で作画監督デビュー。

▼次回よりリバイバル配信開始!2008/7/28 朝10時ごろ 更新予定です。お楽しみに!

(C)GAINAX・中島かずき/アニプレックス