「初めから手術を勧める医者は信用するな」。医療を取材した前任地で複数の医師に教わった。できるだけ体に手を加えずに治しましょう、と▼先日、親知らずを抜いた。最初受診した歯科で「残してもメリットなし」と即座に抜歯を勧められたうえ、デメリットの説明もなかったので尻込みした。知り合いの医師にメールで相談すると「抜歯しなさい」。観念したが、医院は替えた▼幸いデメリットの説明もあり「残念ですが、抜いた方がいい」と言われ納得した。あっさり抜けた。最初の歯科医の勧めは正しかったのだろう。ただ、正しいと伝わらなかったところに医療が越えるべき壁があると感じた。【朝日弘行】
毎日新聞 2008年7月26日 地方版