2008年7月24日

ＮＹでのデーゲームを終えて、フィラデルフィアに帰ってきました。
バスで２時間半。窓の外の光景を見て、ぎょっとしました。

この道は、いつか来た道〜♪

あかしやの花は咲いていませんでしたが、どこかで見たことのある、
しかもあまり楽しい思い出ではない道。
アメリカ１年目、コネチカット州ニューヘブンの２Ａにいた頃、
ニュージャージーのトレントンまで遠征した時に通った道です。
前回のメッツ戦の帰りはナイトゲームだったため、暗くて気がつきませんでした。

同じ道でも、置かれている立場によって、見え方はまったく違います。

７年前、
（早くメジャーに上がりたい。上がりさえすればなんでもいい）
と願いながら通った憂鬱な道を、今日僕は、
（もっと打席が欲しい。もっと出たい）と思いながら通り過ぎました。
何かを手に入れると、さらにその上が欲しくなるというもの。

インタビューを受けたアメリカの大富豪が、
「あなたを満足させるには、お金はどれくらい必要？」という質問に対し、
「もう、あとちょっとだけ」と答えたのは、有名な話。

欲には限りがないけれど、ことスポーツにおいては、
上を目指して欲張りになるのは大切なこと。
でも、時として初心を振り返るのも、また、大切なことかもしれません。
現状に満足するためではなく、現状に感謝する、そんなチャンスを与えてくれるからです。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年7月23日

９回表に６点を入れて逆転勝ちした昨日。
いい勝ち方をしたあとは、翌日にもちょっぴりだけ興奮が残っています。
ジェフ（ジェンキンス・外野手）は、
「昨日の試合のプレーヤー・オブ・ザ・ゲームは俺だ！」と言って譲りません。
右投手に対して代打で彼が出て行ったところ、メッツが投手を左に代えたのです。
左バッターの彼は、一振りもせずにベンチに戻り、「代打の代打」を告げられたのが
僕だったのでした。
「なっ！？俺が出て行ったからこそ、投手交代があったわけよ！」

祭りに参加できないのは、なんだかとても悔しく寂しいもの。今年の僕は、
誰よりもその気持ちをわかっているつもりです。
ジェフの冗談を聞きながら、物事は何でも考えようで、１８０度違う経験になるんやなあと
感心しました。目の前の同じ出来事に、落ち込むのも、笑うのも、気の持ちようだと。

ポジティブな態度を見習わなければ。

今年出場機会が少ないのは、僕がチームの秘密兵器だからでしょう。
秘密なだけに、公にできないのです。
うんうん、これでよし、と。

ニューヨーク州マンハッタン.にて　田口壮　

2008年7月22日

代打成績は、ここまで１６打席ノーヒットだったそうです。
それを聞いたときは、思わず「すみませんでした・・・」と謝ってしまいました。
でも、今日やっと今シーズン「代打」初ヒットが出ました。
９回表、リードされていた試合を同点にした、２点タイムリー２ベースです。
あまりニュースにならないので、自分で書いているあたりが悲しいですね。

それにしても、ベンチに戻ったときの祝福はすごかった。
しかも、なんだかみんな「見守る父親」のように、うなずきながら微笑んでいるのです。
その後レフトの守備に入ったら、ブルペンにいた投手とスタッフが全員出てきて、
帽子を取ってお辞儀してくれました。

こんなに喜ばれるということは。
これまでどれだけ迷惑をかけてきたかということ。

チームは今日で首位奪回。僕は個人的な借金を、やっとほんの
一部だけ返済させてもらえた気分でした。

ニューヨーク州マンハッタンにて　田口壮　

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