09年度予算の概算要求基準(シーリング)作りで焦点となっていた社会保障費の扱いは25日の財務、厚生労働両省のトップ会談で2200億円圧縮することで決着した。しかし、財政再建を重視する財務省と、衆院解散・総選挙をにらんだ与党の動きも追い風に予算拡大を狙う厚労省との思惑は異なったまま。年末の予算編成に向けた調整は難航必至だ。
「社会保障費の抑制はもう限界」と強調してきた舛添要一厚労相が2200億円の抑制を受け入れたのは、高齢者医療や医師不足、少子化対策など同省の重視する予算が、シーリングとは別枠の「重点化促進枠」(3000億円)で獲得できると見込んだためだ。
重点化枠は福田康夫首相が提唱する「五つの安心プラン」に沿った重要政策に財務省が予算を重点配分するために設けられた。舛添厚労相は会談で「医師確保など重要課題にしっかりと対応しなければならないので、特別な配慮を願いたい」と重ねて強調した。
ただ、3000億円の特別枠は成長力強化や環境対策にも充てられる予定。しかも、財源は「前年度比3%」としてきた公共事業費などの裁量的経費の削減幅を2%広げて手当てするだけに、財務省としては厚労省に優先配分するわけにもいかない。社会保障費を巡る攻防はさらに激しさを増しそうだ。【清水憲司、堀井恵里子】
毎日新聞 2008年7月26日 0時40分