文化庁の国語に関する世論調査結果に驚いた人も多かったのではないか。失望してぼんやりした状態を言う「憮然(ぶぜん)」を、腹を立てている様子だと間違えた人が70%も占めた 国語の乱れは、いつの時代もある。慣用句の誤用は、注意されて覚え直せば済む。聞くは一時の恥、である。同じ調査に、外来語の理解、認知度があった。こちらの方が気になる 「エンフォースメント」「エンパワーメント」など、認知度が低い片仮名語が並んだ。「法の執行」「権限の付与」と言えば済むのに、舌をかみそうな言葉を無理して使うのは、こっけい以外の何ものでもない。低い認知度、大いに結構ではないか 外来語が好きなのは、官僚とそれに手ほどきを受けた政治家、学者連中などである。「ガバナンス(統治)」「イノベーション(技術革新)」などと連発し、聞く相手を煙にまいたつもりで得意になる。ほめられた光景ではない 国語の乱れが問題なのは、「仕事などでプレゼンテーション能力が求められるから」とは、調査結果を受けての文化庁の弁。どうやら、肝心要の役所にも国語の乱れの毒が回ったか。
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