「夏休みを利用してぜひ受けて」と、厚生労働省が高校三年生と中学一年生を対象に呼び掛けている。何かの試験かと思ったら、はしかの予防接種だ。
昨年、十―二十代を中心に全国で流行したことから、就学前の子どもを対象にした予防接種が今春から高三と中一にも拡大され、無料で受けられるようになった。ところが、厚労省の推定では六月末時点の接種率が20%程度にとどまっていた。
流行を抑えるには、最低でも95%の接種が必要とされている。四―六月のはしかの流行シーズンを、接種を求める重点期間としていたが、目標にほど遠い数値が関係者を慌てさせたようだ。
それにしても、はしかといえば、「恋の病は、はしかのようなもの」と言われるように、子どものころから誰もが一度はかかる病気の代表格だ。感染すれば一生免疫ができると言われた。
それが今は十代後半での流行が顕著となり、大学が休講する事態になっている。今年も一―六月に報告された患者九千八百六十人のうち、十二―十八歳が35%を占めた。その大半が予防接種を受けていなかったり、受けていても免疫が低下していたという。
厚労省は二回接種が有効と呼び掛ける。感染力が強く、合併症やまれに死亡につながるケースもある。たかがはしかと侮ってはいけない。