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【社説】

大地震の頻発 列島はどこも危険だ

2008年7月25日

 東北地方を中心にまたも最大震度6強、マグニチュード(M)6・8の地震が見舞った。都市、中山間地域を問わずタイプの違う地震が襲う。日ごろからの対策をあらためて心掛けよう。

 六月の岩手・宮城内陸地震から一カ月余り、再び岩手県沿岸北部を震源とする強い地震があり、広範囲で揺れを観測した。今回の地震は地下深く沈み込んだ太平洋プレートの内部で起き、震源の浅い岩手・宮城内陸地震とは関連もなく、タイプも違うが、度重なる被害から復旧の遅れが心配だ。

 東北地方のみならず、列島全体でも阪神・淡路大震災から昨年の新潟県中越沖地震に至るまで、震源の違いはあれ、M5以上の地震は多発している。

 東海地震など太平洋側の海溝を震源とする大地震を心配する声も、切実さを増している。内陸部の直下型地震への備えも欠かせない。しかも地震が襲うときは、都市部も中山間地域も選ばない。列島のどこでも、日ごろから地道な対策が大切である。

 今回のように寝ている人が多い時間帯では、素早く避難できない場合が多い。言い古されたことだが、住宅自体の倒壊を防ぐ耐震補強を実施しておくのは当然だ。屋内では、転倒しないよう家具類を固定するのも、生命を守る基本である。これは都市、農山村を問わず、共通する。

 東北が被災、中山間地域特有の防災の問題点が明らかになった。

 地震で地盤がゆるみ、さらに雨が加わるとがけ崩れ、地滑り、土石流を誘発する。また岩手・宮城内陸地震では土砂が川をせき止め、決壊の危険もあった。土砂災害は防止が困難だし、発生してから逃げるのは難しい。危険の予想される地点をあらかじめ住民に周知、早めの避難を呼び掛けたい。

 土砂災害で道路が寸断された例も多く、救助活動や救援物資の輸送すら思うに任せない。大都市並みでなくても、中山間地域にも救助隊員の集結、物資の備蓄ができるミニ防災拠点が必要だ。

 緊急地震速報は今回、岩手県など揺れの強かった地域には間に合わなかった。

 深い震源で震度予測が難しく、発表まで時間がかかるという。すでに直下型の震源近くで間に合わないとはいわれていたが、これまでの実績を見ると、速報に意味はあるのか。設備、プログラムなど無駄な投資ではないか。気象庁は徹底的に検証し直すべきだ。

 

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