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2008年7月25日

 中越に続き、東北でも地震続発である。天災は、まだ傷跡が癒えない時にも容赦なくやってくる

先の岩手・宮城内陸地震では、揺れの前に「地震が起きます」という緊急速報が流れたのに驚いた。地震の最初の微動と本格的な揺れが到達する時間差を利用した速報システムで、天災に手をこまねいているだけではない科学の力を頼もしく思ったものだった

が、今回は皮肉な結果に終わった。震源から離れた所では揺れの前に速報が伝わったが、震源地周辺では揺れと速報の順序が逆になった。一筋縄ではいかない地震「予測」である

今度のように震源が深い場合、データが乏しいために予測の精度は低くなる、と気象庁は説明する。門外漢にはよく分からぬが、予測の精度を高めるのに、もっと地震の経験が必要だということか

さまざまな試行錯誤を経て、科学は進歩する。地震の予測も、被災者の苦しみという理不尽な代償を求める。ならば、大規模な被害が出なかった今回の地震は、不幸中の幸いと言えようか。未明の揺れは、予測に携わる地震学者に一層の奮起を促す衝撃であってほしい。


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