この推進本部は、「2011年7月の地上放送の完全デジタル化に向けた最終段階にあって、高齢者を含め、すべての国民に対する丁寧な啓発・相談、地域レベルのデジタル化への取組支援などすべての関係者が一体となった国民運動を展開することにより、国民の視点に立った地上放送のデジタル化を加速推進すること」を目的としている。 推進本部の後には総務省とデジタル放送推進協会(Dpa/ディーピーエー)が主催の「アナログ放送終了3年前 デジタル放送完全移行推進の集」が行なわれた。アナログ停波(2011年7月24日)まで、ちょうど3年(1,095日)前ということで、デジタル放送を推進する国、放送事業者、メーカーなどの関係者が一堂に会した。
開会にあたり、増田寛也総務大臣が、海外に出張中ということで、ビデオコメントで挨拶した。「地上波がデジタル化されると画像が鮮明になり、データ放送などさまざまな情報の提供が可能になる。しかし、地デジは知っていても、移行日まで知っているという国民は65%にすぎないデータもある。こうしたことに対処して、確実にその日を万全の体制で迎えられるように努力していきたい」と述べた。
さらに、日本放送協会の福地茂雄会長、日本放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長、電子情報技術産業協会(JEITA)の庄山悦彦会長の3人も挨拶した。
■「草なぎブルー」を実験
その後、11時5分から30分までNHK総合の生放送特別番組「備えあれば映りよし 〜完全デジタル化まであと3年〜」と連携し、「実際にアナログ放送が終了するとどうなるのか」の実験を行なった。「アナログ放送だけ1分程度停止。3年後の状態を再現する」という実験で、NHKとしても初めての実験という。
会場のステージには、「街を歩いていると、あっ地デジ君だっていわれます」という、地デジ推進キャラクターの草なぎ剛さんが登場。中継で生放送に出演。会場にはアナログテレビと、デジタルテレビが並べられており、NHK総合の生放送を表示。
実際に3年後の7月24日にアナログ放送には「草なぎブルー」が表示され、25日以降は何も映らなくなることになる。今回は実験ということで1分程度で、アナログ放送も通常の状態に戻ったが、番組の最後には、「ショッキングな映像で何件か問い合わせがありました。お詫びします」と謝罪していたので、3年後の本番で、どうなるのかが不安なところだ。
■「地上デジタル放送推進総合対策」を策定
今回、総務省がまとめた「地上デジタル放送推進総合対策」を、佐藤勉 総務副大臣が報告。「できることではなく、尽くすべきことを覚悟を決めて断行するするため、今後実施すべき施策を整理した」という。施策に必要な経費は、2009年度以降の予算で措置できるように予算要求を行なう予定としている。 この中には、「国民に地上デジタル放送についてご理解いただくための取り組み」などが盛り込まれている。具体的には、相談体制として「テレビ受信者支援センター(仮称)」を今秋に全国で約10カ所、2009年度初頭には、都道府県に少なくとも1カ所設立。独居老人宅などへの個別訪問も行なう。また、5,000円以下の簡易なチューナなどを来夏までに市場に出回るように取り組むことや、2009年度から2010年度にかけて、生活保護世帯に対し、受信機器購入などの係わる支援を行うことなども、書かれている。 難視聴対策としては、デジタル難視聴者世帯(最大35万世帯)のうち、物理的、費用的に対策が困難な世帯に対し、暫定的(5年間)に放送衛星によるシステムを構築し、209年度内に運用を開始。また、IP再送信が2010年末までにできるだけ広いエリアで提供されるとともに、実施時期のロードマップが公表されるよう、電気通信役務利用放送事業社に働きかける。 アナログ放送終了にあたっては、視聴者の混乱防止の観点から、「地域間で終了時期に差を設けない」、「放送終了に向けた取り組みを段階的に強化」するとするが、地域を限定してアナログ放送先行して止める、アナログ放送終了のリハーサルを2009年度中に実施するとしている。
この対策を受け、「皆様のご理解をいただくべく、関係者が連携・協力して、地上デジタル放送の推進を国民運動として展開していく決意を表明します」と、「地上デジタル放送に関する国民運動推進宣言」を行なった。
■ 草なぎ剛の新CMなど、Dpaの活動を報告
Dpaの間部耕苹理事は、「6月末の統計では、デジタル受信機器が3,742万台が出荷され、世帯では5,000万世帯のうちの2,400万世帯がデジタル受像機を設置している。北京オリンピックに向けて、デジタルがアナログの受像機の逆転を目標としているが、それを達成できるのではないかと、思っている」と見通しを説明。
「今までにデジタル化していただいたのは、デジタル化に前向きな人たち。残りの人たちにも、速やかにデジタル化していただくよう努力する。そのためには、今のアナログ受像機でも見られるような、低廉な簡易型受像機の提供も暫定的には必要であろうと思う。国や自治体、放送や通信事業者、メーカー、量販店や、販売店が一体となって、きめ細かく、丁寧に対応していくことが、最終局面を迎える最終的なイメージだろう」とした。 また、Dpaからの活動報告としては、「地デジ準備」全国キャラバンに、小型の1BOXカーが追加され小回りがよくなったことや、Dpaのホームページで一番アクセスが多いのが、「放送エリアの目安」であることなどが紹介された。
さらに、番組を通じた地デジPRの強化月間担当社が紹介された。会場のスクリーンには、今までにPRが実施された、フジテレビのネプリーグや、TBSの東京フレンドパークIIなどの映像が流された。このほかにも、6月14日放送のドラマ「ルーキーズ」では、セリフの中でアナログ停波の告知(1分程度)を行なうなど、各局が積極的に行なっている。
また、引き続きイメージキャラクターを務める草なぎ剛さんが出演する新しいCMも披露された。「アナログ放送終了 イメージ」篇(30秒、15秒)、「アナログロゴ表示」篇(30秒、15秒)、「地デジ、よし!」篇(30秒、15秒)の3種類で、「アナログロゴ表示」篇は2009年1月以降に、それ以外は2008年7月24日以降にNHKと民放127局で、それぞれ放送局ごとに年間1,000本程度放送する。
地デジ推進大使の6名が待つステージに、再び登場した草なぎさんは「ご苦労様です」と、地上デジタル推進大使の活動の労をねぎらった。今回の新CMについては、「国民の皆さんに、少しでも地デジのことを理解いただきたいと思いまして、すごい気持ちをこめて撮りました。とてもいいコマーシャルだなと自分でも思いました。少しギャグも入っていて、幸せを感じています」と手ごたえを感じている様子だった。
草なぎさんは、「テレビに育てていただいて、テレビを中心に仕事をさせていただいています。テレビが生活のすべてといっても過言ではありません。そのテレビが、今、生まれ変わろうとしています。その大事なときに、少しでも、お手伝いをしたいと思いまして、地デジ普及推進キャラクターを務めさせていただいております。もう3年目になるんですが、完全デジタル化が、とても大変なことであるということが、やっと、僕にもわかってきました」と語った。 続けて、「完全デジタル化を実現するためには、推進大使や、国やテレビ局、受信機メーカーがもっと一致団結しなければならないと思います」とここまでスムーズだったが、言葉につまり、「すいません。覚えてきたんですけど、忘れました」と、カンペを見る一幕も。すかさず、地デジ推進大使に「急にデジタルからアナログに切り替わった感じでしたけど」と突っ込まれていた。 「もっともっと、こと細かく、わかりやすく、国民の皆さんに地デジのことについて、説明して、国民の皆さんの声に耳を傾けていくことが必要だと思っています。あと3年しかありません、2011年7月24日までに、地デジ完全以降にむけて、協力してまいりましょう。今日、そのために、僕はきました」と決意表明を行なった。
最後に草なぎさんと地上デジタル大使の全員で「地デジの準備、よろしくお願いします」と声を張り上げた。
□総務省の地上デジタルテレビ案内ページ (2008年7月24日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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