福田康夫首相は24日、舛添要一厚生労働相ら関係閣僚と協議し、働く高齢世代の年金額を減らす「在職老齢年金制度」の見直しや、医師不足対策、厚労省の組織改革など政府が社会保障分野で緊急に取り組むべき対策をまとめた「五つの安心プラン」の概要を大筋で了承した。修正を加えたうえ、29日の閣議で報告される。
「安心プラン」は(1)高齢者政策(2)医療(3)子育て支援(4)非正規雇用(5)厚労行政の信頼回復--の五つ。このうち(5)については、年金記録漏れ問題などで信頼を失墜させた厚労行政の立て直しが主眼。有識者による厚労省の改革検討委員会を設置し、提言を受ける。検討委で厚労省設置法の改正も含め、議論するとしている。
高齢者政策では、年金制度改革の検討を打ち出す。現在、働く60~64歳の人は、年金と給与の合計月額が28万円を超すと、在職老齢年金制度により、年金が減額される。働けば年金が減ることで高齢者の就労意欲を失わせているとの指摘があり、条件の緩和を検討する。また、年金額が低い人に税でまかなう最低保障年金を創設することも検討材料に盛り込む方向だ。
医師不足対策としては、医師ら医療スタッフと患者の意思疎通を支援する「メディエーター」を養成する体制づくりを挙げている。
いずれも、政府の社会保障国民会議で検討課題に上がった政策で、財源の一部は09年度概算要求基準(シーリング)の「重点化枠」をあてこんでいる。【吉田啓志】
毎日新聞 2008年7月24日 21時58分