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核武装(W)
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 笹川陽平 日本財団会長 産経新聞 「正論」 平成19年1月11日

 「情緒的な核論議批判の時代は過ぎた」
 − 冷厳な国際情勢見つめ国民合意を −
 《無防備で観念的な日本》
 北朝鮮の核実験を受けた中川・自民党政調会長、麻生外相の「核論議発言」に対する批判が年を越えても相変わらずくすぶっている。

 核戦争は人類が回避しなければならないテーマであり、核兵器は廃絶されるのが何よりも望ましい。しかし理想論だけでは国は守れない。核実験の強行により、北朝鮮の核は想像上の脅威から現実的脅威に変わった。新たな現実を前に、核論議をなおタブー視するのは、あまりに非現実的ある。国民が参加した広範な議論こそ急務である。

 日本の核論議は、ともすれば「核に反対するのは当然」といった情緒的観念が先行し、本格的論議がないまま現在に至っている。核論議を行うことが、そのまま核保有に繋がるとして、議論そのものを敬遠する気風もこの裏返しの現象である。

 核を巡る論議は、核保有の是非より、現実化した脅威にどう備えるか、守りの議論が先決となる。先の産経新聞紙上に、長崎に投下された原子爆弾とほぼ同じ20キロトンの核が首都・東京に投下された場合の専門家による被害予測が掲載された。死者は50万人、負傷者は300万〜500万人。地下への避難施設など必要な対策を取れば死者が半減するとの指摘も盛り込まれている。

 現に欧州各国は米ソ冷戦時代、全国的に核シェルターを整備し、国民の生命・安全の確保を図った。スイスでは30分以内に全国民が地下施設に非難可能と聞く。

 日本にそうして施設はない。政官民の中枢機能が集中する首都・東京やひとたび攻撃を受ければ、たちまち核汚染が広がる原子力発電所も無防備のままだ。かっての非武装中立論代表されるように防衛の観念が希薄なまま、日米安全保障に基づく「核の傘で」で守りは十分と考えられてきたためだ。

 国是である「非核三原則」を盾に一切の核論議を封じ込めようとする動きは、現状を放置することに他ならない。

 《核の悲惨知る唯一の国》
 比較三原則ができたのは40年前の佐藤内閣時代。この間の世界の変化は激しい。現に当時、北朝鮮の核実験を予想する人はいなかった。原則のひとつ「持ち込ませず」は、米国核兵器を日本領土に「配備、貯蔵させんない」だけでなく、核を搭載した米艦隊の日本寄港や領海通過も対象としている。この解釈に従えば、寄港や領海通過の際、核をどこかに降ろすことになり、これでは朝鮮半島という目前の脅威に対抗できない。

 核兵器の恐ろしさ、悲惨さをどの国よりも知るのは唯一の被爆国・日本である。ケネディ、ジョンソン両政権下で国防長官を務めたロバート・マクナマラ氏が私の勧めで広島・原爆記念館を訪れ、犠牲の大きさに驚愕し、「(原爆投下は)つりあいの取れた政策決定とはいえなかった」と漏らしたのを記憶している。未曾有の惨禍が改めて想起されなければならない。

 その上で、北朝鮮の核を前に非核三原則が現在も有効か否か、有効でないとすればどう見直すのか、現状を冷静に見つめた議論を急ぐ必要がある。核武装すべきだと言っているのではない。どのような選択をするにせよ、目前の脅威と現状に対する問題点が主権者たる国民に共有される必要があるということだ。

 《平和国家の願望と現実》
 地下鉄などを活用した核防御施設の整備など当面の危機管理も、こうした議論を通じて実現性が出てくる。

 そうでなければ、北朝鮮が核保有を背景に無理難題を押し付けてきた場合、国民にいたずらな動揺が広がり、翻弄されることになりかねない。核兵器は「使用することより持つことに意味がある」と言われ、中国や北朝鮮が貧困と飢餓という犠牲を国民に強いてまで開発を強行したのも、「持つことの意味」を意識してのことだからだ。

 日本はいつでも核兵器を開発できるだけの高い科学技術と財力を持つ。引き続き自ら非核を宣言する道を選ぶ場合も、国民的論議の裏づけがなければ国民合意の政策としての力を欠く

 核論議をタブー視する日本の姿は、世界的に見れば極めて特異な状況である。核論議を避けて通りたいというのは平和国家・日本の願望でありえても、冷厳な国際情勢の中では通用しない。

 核論議の是非を論ずる日本の現状を前に、海外の友人の多くは驚きを隠さない。海に守られてきた日本と違い、国境を接し他民族との長い抗争の歴史を持つ彼等にとって、国防論議を避けることは国家としての怠慢でしかないからである。⇒海に守られてきたというなら英国はどうなのか。民主主義国家、「日本」が核を持てなくて、抑圧的な非民主国家、「中・朝・露」が核を持てるのは、それは何故なのか。
 遠藤哲也 前原子力委員会委員長代理 産経新聞 平成19年1月13日(土)

 「日米協力、『中国の圧力』後押し」
 北朝鮮の核実験に触発されて、日本の核武装論が盛んに議論されている。これまでも中国が初めて核実験を行った時とか核拡散防止条約(NPT)批准の際に大いに議論されたが、今回は北朝鮮の核の脅威に、いかに対応すべきかという極めて現実的な観点からとりあげられている。では、日本の核武装は現実的は政策になるのだろうか。

 仮に、日本が核開発着手を決意しても、開かれた民主主義の日本で長きにわたって秘密裏にやるのは到底不可能である。とすれば公然ということになるが、そのためには、まず、反核感情の強い国民の態度を鎮める必要がある。

 国是の非核三原則を捨て、原子力基本法をはじめとする国内法体制を改め、対外的にはNPTを脱退し、関係各国との二国間原子力協定から離脱することが必要である。

 このようなことは、国民の間に危機意識が高まってきたときには不可能ではないかもしれないし、また、日本人は付和雷同的なところがあるので、国民感情が劇的に変わる可能性がないわけではない。

 国内的には日本国民がその気になれば、核武装へと向かうことは不可能と言い切れないが、国際的にはどうだろうか。日本が戦後一貫して推進してきた非核政策と核軍縮外交の道義性が大きく傷つくことになろう。

 NPTからの脱退は、日本の占める国際的な重要性からしてその影響は北朝鮮の比ではなく、NPTの崩壊を招きかねず、また、核のドミノ現象を起こす恐れがある。このような状況を国際社会が拱手傍観するとは考えられない。米国は日米安保に対する日本の不信と取るだろうし、日米関係は極端に悪化しょう。米国がこのような日本の核武装を容認するとは考えられない

 原理力分野に限って言えば、日米をはじめ豪、加、仏、英などとの原子力協定は効力を停止、ウラン燃料の輸入はストップして我が国の原子力活動は停止に追い込まれる。原子力発電は全電力の約三分の一を占めており、これを代替しうるものは存在しない。日本の核武装にはエネルギー供給には大きなリスクがあることを覚悟しておかねばならない。

 では、日本の核武装論が現実的なオプションでないとすれば、特に行動予測の困難な北朝鮮の核の脅威にいかに対応していけばよいのだろうか。

 第一に日米同盟の強化であり、「核の傘」の信頼性を高めることである。日本が米国にとってかけがえのない同盟国だと米国に思わせるよう、日本側として日米関係全般にわたって強化するよう努力していくことが必要である。日米同盟は米英の特殊関係とは違いこれを維持していくには双方の不断の努力が必要である。

 第二は、日本のミサイル防衛システムの向上だ。北朝鮮のノドンミサイルはすでに日本全土を射程に入れており、北朝鮮の目下の目的は核弾頭の小型化である。他方、ミサイル防衛(MD)システムお開発と配備はまだ途上にあり、両者の間の時間の競争である。ミサイル防衛システムの開発と配備には時間を金がかかるが、ソフトとハードの両面で日米共同で一層の努力を行うべきだ。

 第三は外交である。今般の六ヶ国協議からもわかるとおり、いったん手に入れた核を放棄させることは至難の業である。だらだらと協議を引き延ばすことは、北朝鮮を利することになりかねない。少しぐらいのアメを与えたからといって手放すものではない。強力なムチ、つまり、核を放棄しなければどうしょうもないという絶対絶命の窮地に追い込むことが必要だろう。

 これをなしうるのは中国だけで、この中国を日米がバックアップして北朝鮮に圧力をかけさせることが必要であり、このことが中国にとっても国益に沿うとの認識を持たせることである。⇒甘い
 渡部昇一 上智大学名誉教授 正論 平成19年2月号

 「非核」信仰が日本を滅ぼす
 ー 自ら守る手段を持たぬ国は「品格」を保つこと能わず。唯一の被爆国であればこそ「核」を前に思考停止してはならない ー

 ・核議論を封殺することは、日本の核抑止力そのものを破壊することに繋がるのである

 何故現実を考えられなくなってしまったのか
 憲法前文にこうある。

 「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しょうと決意した」

 平和を念願し、その理想を自覚する所まではよいとして、それが「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信頼することで達せられるどうか、ここで現実を見ないまま思考停止しているのが戦後の日本である。「諸国民」が「平和を愛する」人々ばかりでないことは、いかに日本人がお人好しであれ、いい加減気づいたはずである。

 気づいていない、あるいはその現実を見ようとしないのは、もはやある種の信仰としか言いようがない。「平和憲法」信仰、「非核」信仰である。それを報じる「信者」が危険に晒されるのは勝手だが、日本国と日本国民がその巻き添えにされるのはかなわない。

 根源は日本国憲法によって刷り込まれた他者への一方的な信頼と依存の戦後的体質にある。⇒誰も逃れられていない

 《非核三原則で日本を守れるか》
 ・核保有は、恐怖と向き合うことで平和を維持するという人類の最後の理性かもしれない

 ・平和を愛するはずの諸国民の公正と信義に信頼してやってきた戦後日本は、今や、ならず者国家に国民を拉致され、ミサイル発射や核の恫喝を受けている。多額の援助をひたすら積み上げ、歴史の反省を繰り返し表明しても、それが報いられることはなかった。それでも究極の侮りを受けなくて済んでいるのは、日米同盟という「目に見える選択」をしたことと、戦前、自らの自衛の為に死力を尽くして戦った「英霊たちの記憶」が、彼等の間にバリアとして残っているからである

 《アメリカの核の傘は本当に有効か》
 本は核をつくらず、持たず、持ち込ませずという政策をとっても、核の脅威を抑止するのは核しかないという現実を受け入れてきたことに変わりはないのである

 米中の密約(1972年2月)》
 一つ目は、「東アジア地域において、日本にだけは核兵器を持たせてはならない」というもの。二つ目は、「米軍は日本から出て行かない、駐留を継続する」というもの。これは米軍による日本防衛の意志を中国に示したものではなく、出て行くと日本が「自主防衛」を始めてしまうから「ビンの蓋」が必要だというこれまでも指摘されてきたアメリカ側の都合である。三つ目が、「日本政府には、台湾と朝鮮半島をめぐる問題で発言権を持たせない」というものだ

 この密約については要点を書き留めたニクソンの手書きメモが残っているそうで、伊藤貫氏が国務省のアジア政策担当の高官に確認したところ、「今でも効力を持っているという説明を受けたという

 《日本の独立と安全のために何が必要か》
 日本の政治指導者も、ドゴールと同じくらいアメリカに対し日本有事の際のシナリオを質しておくべきだろう。「非核三原則」はアメリカの核の傘が有効であることが前提なのであり、その確認もないままにそれを「国是」などと振回すのは、国民に対する不実でしかない。

 《唯一の被爆であればこその選択肢も》
 ・日本は核を保有していなかったから核を使われたのである

 ・危険な武器を持つということは、相手の危険な武器を使えなくすることだ。これが核による抑止力である。米ソの冷戦はそれが有効であることを見事に証明し、恐怖の均衡が最後の理性の証しとも言える逆説となった

 ・日本は世界で唯一、原爆を使用する権利のある国だとも言える。東京裁判は戦勝国による一方的な歴史の詐術だったが、そのなかで日本側の弁護にたったアメリカ人弁護士は、日本人を「人道に対する罪」で裁くのはおかしいではないか、原爆投下こそが人道に対する罪であり、原爆を製造した人間、運搬した人間、投下した人間もみな分かっているのに、その罪を問わないのはおかしいではないかと主張した

 更に、原爆を投下された以上、日本には「復讐権」があると述べたのである。それはウエッブ裁判長も否定しなかった。従って法理的には、日本はアメリカに対し原爆を使用する復讐権を保留しているといえる

 ・「日本は、自国の安全の為に核を持つ用意があることを選択肢として排除しない」。核を持たない大国の当然の権利として主張する方が戦略的には妥当である
 中曽根康弘 元内閣総理大臣 正論 平成19年2月号

 《核論議自体はおおいにやるべき》
 《非公式に日本の核武装の可能性を研究》
 もう三十年以上も前の話になりますが、私が防衛庁長官を務めていたとき、非公式に、日本の核武装の可能性について研究させたことがありました。(中略)その研究の結論については、私の本にも書きましたが、「核武装に必要な条件は当時のお金で2000億円以上、5年以内でできる」というものでした。ただ、日本には核実験場がありませんので、その点が難しいということだったと思います。(58頁)⇒海があるではないか

 ・北朝鮮問題においても、日本が受けている脅威とアメリカが感じている脅威は違います。日本の場合は直接的な脅威なのです。だからこそ日本は自主的な外交、自主的な防衛を考えなければなりません。(59頁)⇒自主的な外交、自主的な防衛とは何なのかに答えていない

 《宇宙戦への対応急げ》
 ・将来的には、防衛目的の宇宙利用のために、日本の宇宙関係の法律を改正する必要があると思います。

 《今は北朝鮮への圧力の時期》
 ・北朝鮮の「核」は、直接の脅威です。⇒当事者意識に欠けている
 ・北朝鮮の長距離ミサイルや核の製造を強力に阻止する方法はいくつもあると私は考えています。⇒具体策なし

 《安倍首相の手腕に期待》
 ・小泉外交は、国民に大きな負担を残してしまった、とも言えるのです。⇒自分のことを棚に上げるな

 《拉致問題を包括的解決を》
 ・日本は、北朝鮮の体制返還を考えるよりも、核問題や拉致問題で日本に有利になることを考えた方がいいと思います。⇒この人は根本的な解決法を考えない人である
 小此木政夫 慶應大学法学部長 正論 平成19年2月号

 ・北朝鮮の核は生き残りを目的とする核ですから、体制が崩壊する場合には、日本が核をもっていてもいなくても、それにかかわりなく核を使用してくる可能性がある。⇒日本はNTTを脱退せずに核武装する道を探れ

 ・中国や韓国が支える気でいる以上、北朝鮮の崩壊はないと見ています。
 現職自衛隊幹部 諸君 平成19年2月号

 《現役プロの安全保障とは》
 北朝鮮が超大国の米国と何度も何度も交渉しているそれは何故なのか日本の久間防衛大臣は「日本の安全」の件で北朝鮮に負けないくらい米国と話し合ったことはあるのだろうかやったことといえば唯一の同盟国との信頼関係を傷つけることではなかったのか国家の存亡を賭けて交渉している北朝鮮に比べ、我が国の安全保障の責任者はなんと頼りないことだろうか

 核兵器は、人命を尊重しない独裁者の君臨する圧政国家には本来持つ資格のない武器であるそれを持たれてしまった以上、人命を尊重する民主主義国家日本は、安全上持たざるをえない外務省が米・中・韓・朝・露に弱腰なのは強力な軍事力の裏づけがないからでしょう米中には既に嫌というほど「ユスリ」取られている

 米英、米印関係には成り立って、日本の核武装は」成り立たないというのはそもそもおかしい。「安全保障」について日本は米国に真剣に話してきたのだろうかインドは官民挙げて8年間にわたって米国と交渉してきたという

 「肉体的奴隷」は自らの境遇がわかるだけまだ幸せである。「精神的奴隷」は自らの境遇がわからないのでかえって哀れである。アメリカの黒人奴隷と今の日本人はどちらが幸せか?久間防衛大臣よ、核武装の必要性を切実に訴えて辞任に追い込まれたらどうか?歴史に名が残るぞ!最もあなたの脳みそでは無理でしょうが・・・。以下引用。

 《核武器を欲するのは当然》
 
・「もし56年11月にハンガリーが、ソ連に撃ち込める三発の広島型原爆を保有していたならば、モスクワはブタペストと交渉せざるを得ず、この二国間には新たな暫定合意が生まれたであろう」(ピエール・ガロウ仏将軍)

 ・通常の武器の場合、小国がどんなに努力しても、大国には対抗困難なのである。これは我々日本人が身にしみていることであろう。そのため大国は、容易に小国を威嚇して攻撃しうる状態にある。

 ・通常の武器の場合は、10対1の戦力比の挽回は、絶対に不可能である。しかし核武器の場合は、10対1どころか、100対1でも、A国がX国の許容困難な損害を与えうる場合には、抑止が成立する。

 ・核武器は歴史上初めて小国が大国に対抗可能な革命的武器なのである。某諸大国が、あらゆる手段(宣伝、洗脳、謀略、軍事的脅迫、経済的利益・不利益、国際条約)を使って、なんとしても中小諸国に核武装させない努力をするのは至極当然なのだ。

 逆に言うと、現在我が国のように経済力では世界第二位でも核武装しない場合は、その国力を軍事力に転用できないため、鳥取県レベルのGNPの北朝鮮にすら脅迫されるというまさに漫画のような事態になるのである。

 《米国を頼りにできるか》
 ・核の脅威の前には基本的に同盟関係の信頼性は、極めて脆弱である。もし相手が核大国の中ソの場合は、その「核の傘」はさらに不十分になると言わざるをえない。

 ・日本が核武装すると、日米安保も解消され、より危険になると言われる。しかし本当にそうであろうか。
 日本が核武装(核ミサイル40発程度保有)した場合、もしX国が(核ミサイル400発保有)が日本を核攻撃したならば、日本もただちにX国の大都市に核報復する。日本は壊滅するが、X国も大きな損害を受け、国力、核戦力ともに弱体化する。すると相対的に無傷の米国は、X国に対して圧倒的に有利になる。X国は日本を打倒しても、米国に対して不利で無防備な立場になってしまうことから、日本を核攻撃することを躊躇する可能性が高い。そのため敵対的諸国は、核武装した日本を攻撃する際は、米国の圧倒的な核戦力をも意識しなくてはならない。

 ・MDは核武器保有国が持つ場合、最適のシステムになる。MDと核ミサイルを持つA国に対して、X国(MDなし、核ミサイル保有)の核ミサイルは、もしかすると全て打ち落とされてしまうかもしれないが、A国のミサイルはX国に大ダメージを与えうるにも拘らず、X国には打ち落と手段が無い。

 ・我が国が目ざすべきは、核武装+MD+核シェルターである

 《核武装は「気合い」の問題》
 ・いくら米国とべったりでも、日本は米国ではなく、米国のいつでも切捨て可能は「保護国」に過ぎない。日本が独立国家でないという証拠は、誰も日本の独立記念日(米国からの主権回復記念日、昭和27年4月28日)を知らないということからも明らかである。つまりまだ日本は独立していないのである。せめて自らの運命は、自ら決めるようになるべきではないか。(現職自衛隊幹部 諸君 平成19年2月号)
 小林よしのり 漫画家 WILL 平成19年2月号

 ・反対派は明確に「核のドミノ倒しが起る」とか「日本が経済制裁を受ける」「ウラン輸入が止められ、原子力発電ができなくなる」という脅しが沢山あるわけです。その一つ一つに具体的に対処しないと議論にならない状況まできているんですよ。

 ・「核を持ては北朝鮮と同じ身分になる」とまで石破氏は言っている。ありえないことです。北朝鮮と日本は全く違う。日本は安定した民主主義国家であり、核のコントロールができるだけの管理能力がある。

 ・インド、パキスタン、イスラエルまで持っていると言われている中で、なぜ日本だけはダメなのか、その理由はなんなんだ、と他国を説得することは十分できるんですよ。⇒日本がダメな理由を聞き、それに対して答えるようにすればいい

 ・いざとなったら経済制裁も耐えぬく覚悟が必要です。

 ・「逃げろ」なんていって子供を育てていいのかなと思ってしまいます。

 ・その親が子供に代わって、いじめた奴を見つけて復讐する。いじめていた奴を殺しに行くくらいの覚悟があれば、少しは変わるかもしれない。

 ・国家自体が相手に核を持たれたら持ち返すっていう方法もとらずに、ずっといじめられっぱなしで、自滅しょうとしているわけですからね。三度目、四度目の核を落とされてもいいという感覚は、「自殺国家」と言うしかない。

 国家でも子供でも同じことです。仕返ししてでも戦えと言わなければダメですよ。なぜ子供に教えないのか


 ・「私としては侵略史観は認めませんが、政府談話の変更は時間がかかりますから、当面の間は継承します。いつか撤回されるだろうが、いつになるかは明言しません」と言えばいいんですよ。ここで御得意の「明言しない」を使えばいい。
 石破 茂 元防衛庁長官 諸君 平成19年2月号

 ・日米安保のみならず、NPT(核拡散防止条約)、エネルギー政策その他諸々を考慮すれば、核武装は明らかに国益を害します。しかも近年、精密誘導兵器の技術が飛躍的に進歩し、ミサイル防衛の目処も立ち始めた矢先に、なぜ古典的な核抑止力が正面から出てくるのか、理解に苦しむ。⇒中曽根元総理大臣同様、非常に情けない主張である
 伊藤 貫 国際政治アナリスト 諸君 平成18年1月号 

 ・今後数十年間、米中間のパワー・バランスが中国に有利な方向にシフトし続けることは、日本の自主的な核抑止力の構築を不可避のものとするであろう。日本がアメリカとの同盟関係を強化することは自明であるが、米国の政治家たちは、「巨大な軍事力を持つ中国と戦争してまで、日本を守ってやりたい」などと思っていないからである。

 ・中国政府にとって軍事力とは、中国の国家目標を達成するための道具である。中国政府が1989年〜2005年の17年間、毎年の軍事予算を、5年で二倍、10年で四倍、十五年で八倍、という高スピードで増加させてきたのも、単に「祖国防衛」のためではなく、「アジア覇権確立」と「中華勢力圏の拡大」という国家目標を達成するためである。日本人は今後、中華勢力圏内の衛星国「東夷・小日本」になる運命を甘受するつもりなのだろうか。もしそれが嫌なら、「自分の国は自分で守る」という道徳的な義務を自覚し、自主的な核抑止力を整備して、日本国の自由と独立を自分達で守る努力をすべきであろう。
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 「諸君 平成18年5月号」

 「核の選択」を真剣に考える時が来た
 《やがて中国は日本を核攻撃する・・・》
 兵頭:日本が何故核武装をしなければならないかを非常に簡潔に説明するならば、他国からの核攻撃を抑止するものは、自前の核武装以外にないからです。

 兵頭:危険性をもっているその理由は、第一に中国が非常な勢いで軍事力の拡大を続けていること。第二に、それが領土拡大の野心につながり、日本を含め周辺国の領土、領海、領空を盛んに侵害していること。そして、第三に、中国が国の命運を核兵器に託し、その利用を躊躇わない国であることです。

 平松危険なのは中国が、国力を増大すると周辺国家への侵略をはじめてしまう国だという点です。そもそも中国は「国境」という概念に乏しく、影響下にあった「辺疆」(帝国の中心を遠く離れた異民族の地)が、清朝の国力が衰えたために一時的に自らの支配を離れたという認識をいまだに強くもっている。近代的な国際社会との常識とはおよそかけ離れています。したがって国力が増せば「辺疆」を取り戻す、というのは、現在の中国の指導者にとって当たり前のことなのです。

 《台湾有事で核恫喝されたら?》
 平松:台湾の統一は、中国にとって最大の悲願です。戦後50年間、それを阻んできたのはアメリカの軍事的プレゼンスにほかなりません。しかも、台湾は「東アジアのへそ」ともいうべき地政学的に重要な位置をしめています。しかし、日本人にはそうした台湾の重要性がよくわかっていない。

 《アメリカが日本を見捨てる日》
 伊藤:アメリカは東アジアでの覇権を放棄して、中国とはバランス・オブ・パワーを保ちつつ、帝国の勢力範囲を縮小し西半球に戻ればいいだけの話だ、と。それが彼等の冷徹なリアリズムなんですね。このような考え方を「オフ・ショアー・バランサー戦略」と言います。
 そのとき、日本はどうすればいいのか。インドやロシアなど中国の周辺国と結んで、日印軍事同盟や日露同盟などを構築して「中国封じ込め」を行う必要が出てくるかもしれません。その場合でも基礎となるのは、あくまでも自主防衛です。自分で自分の国を守ろうとしていない国と軍事同盟を結ぶ国などあるはずがないのですからね

 平松:年配の方は、中国に対するシンパシーや贖罪意識を植え付けられた世代ですね。

 《安上がりで賢明な選択》
 伊藤:私の核戦略理論のベースとなっているのは、カリフォルニア大学のケネス・ウオルツ教授の「必要にして最小限の核抑止力」理論です。それでいくと、日本は先制核攻撃に必要なICBMやSLBM(潜水艦発射弾道弾)のような長距離弾道核ミサイルはいりません。戦略爆撃機も大型空母も不要です。せいぜい二百発か三百発の核弾頭付き巡航ミサイルを持てばいい。それを積んだ小型駆逐艦や小型潜水艦約三十隻を東シナ海や西太平洋、日本海に配置する。そのくらいでも、たとえば中国の大都市を三十から四十破壊できるとなれば、さすがの中国にとっても戦争するコストが高すぎることになるのです。

 伊藤私が不思議でならないのは、自主防衛の話になると、親米保守派の人たちがきまって、「そんなこと、アメリカが許すはずがない」と言いますね。しかし、ほんとうにそうなのでしょうか

 兵頭むしろ、アメリカはホンネではいつまで経っても自主防衛を打ち出さない日本に呆れているに違いない

 伊藤:毛沢東が核と人民公社の二本足軍事路線でいったように、日本も二本足で進むべきだと思います。右足は自主核抑止力、そして左足は日米安保条約ですね。このどちらの足を欠いても、今後、日本は立ち行かなくなるでしょう。
 親米保守派と呼ばれる人々がワシントンに来て、アメリカ人と話しているのを見ると、いつも三つの言葉が浮かんでくる。すなわち、「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」、それから「触らぬ神に祟りなし」。彼等の言動たるや、とても独立国の国民の言動とは思えません。

 《米民主党と中国共産党の深い癒着》
 伊藤:第一の理由は、中国の脅威が迫っていること。きちんと機能する自主的な核抑止力を構築する為には、少なくとも十年から十五年かかります。2020年以降の危機に備えるには、いまがラスト・チャンスだといっていいでしょう。
 それからもうひとつ、日本には核武装の決断を急がなければならない理由がある。それは、アメリカの国内政治事情です。ブッシュ政権がイラク占領に失敗しているために、昨年秋以降、支持率が非常に下がっている。このままいけば2008年11月の大統領選挙では民主党に政権が移ってしまう可能性は高いと思います。これは日本にとって、二つの理由で望ましい事態ではありません。
 ひとつは、民主党には「媚中嫌日」の伝統があることです。クリントン政権の高官の一人は、私に向かってはっきりと「冷戦後のアメリカ政府は、日本を押さえつける外交政策を実行している。だから、われわれは米中関係を強化する必要があるのだ」と明言しましたが、これは決して例外的発言ではなく、民主党の対日観を代表するものなのです。
 民主党の中国共産党および人民解放軍の間には、長年にわたる癒着関係が存在しています。特にクリントン政権の上層部は中国のスパイ組織から違法な政治資金を受け取り続け、中国はその見返りとして最新の米国製軍事技術を手中にしていました。詳しくは「中国の核が世界を制す」で述べましたが、人民解放軍のスパイがヒラリーの肝いりで商務省次官補代理となったほど、民主党政権と中国のスパイ機関は癒着していたのです。

 伊藤:我国は中国と北朝鮮とロシアの核ミサイルに包囲されていて、しかも、中国と北朝鮮の核ミサイルはどんどん増えていると指摘し、「本当にアメリカの『核の傘」とMDで日本が守れるとアメリカは信じているのか」とぶつけると、共和党の方が、「いや、守れないかもしれない。たしかに日本の核武装も仕方ないかな」と認める人は多い。

 《核武装の決断は国民の覚悟から》
 兵頭:いま東シナ海で起きている事態は、まさに何でもありの乱暴な反近代主義国によって国際法および日本の国内法が壊されている状況にほかなりません。つまり、一種の戦争状態です。法律を云々するのは、その異常状態を速やかに回復してからのことではないですか。

 兵頭:アメリカの場合、官僚の課長より上のポストはポリティカル・アポインティー(政治任用)ですね。政権の足を引っ張るような役人は局長だろうと審議官だろうとすぐにクビになる。この制度を即刻導入して、日本の国民の代表たちにリアルな指導力を与えないことには、法令が外国によって無視される事態である有事には、とうてい対処できないでしょう。

 平松同盟国で、民主国家であるアメリカに対してなら「アメリカのいいなりになるな」と言う人たちがなぜ「中国のいいなりになる」のか?

 伊藤
:日米同盟を強化し、日本が独立国家であるためにも、中国の核恫喝に屈しないための自主的核抑止力が必要となる。この事実を一人でも多くの国民に理解していただきたい。世界の平和を脅かしている最大の要因は、「中国の軍拡」「中国の全体主義」である。これがいつまでつづくかを世界は固唾を飲んで注視している。にも拘らず、日本人はすっかり中国の宣伝に洗脳されて「悪いのは日本人で、靖国参拝がいけないんだ」と思い込んでしまっている。そんな馬鹿げた話はないのに、中国がそういうプロパガンダを世界に向けて執拗に発信しているために、アメリカからも民主党系中心に「日本は何故中国に譲歩しないのか」という声が大きくなってきた。我々は、中国の執拗な反日プロパガンダに対して、もっと明確に反論していく必要があります。「中国の大軍拡こそ、世界平和にとって最も危険な要素である」というメッセージを、我々は世界諸国のメディアに対して、徹底的かつ継続的にPRしていく必要があります。

 平松:冷厳な現実を見据え、近い将来の北東アジアの様相を考えれば、選択肢はかぎられていることに気づくはずです。
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 「SAPIO 11月22日」
 《米民主党が政権を奪回すれば日米安保は機能しなくなる》
 ・中国諜報機関と米民主党の癒着は相変わらず続いている。FBIの調査によれば、99〜04年までの間、中国の在米スパイ活動は「毎年、平均15%ずつ増加している」という。中国のスパイ機関は全米に3,000以上の偽会社と偽NGOを設立し、数万人の中国人を工作員として使用している。中国のスパイ組織は大規模であり、とても活動的である。

 現在、ヒラリー・クリントン、ジョン・ケリー、アル・ゴアの3人が、08年の大統領選に民主党からの出馬を準備している。すでに述べたように3人とも、中国のスパイ組織から繰り返し違法資金を受け取ってきた政治家である。ネオコン族に煽動されたブッシュが愚かなイラク戦争を始めたため、次の大統領選では共和党が敗北する可能性が高い。08年に中国スパイ組織と癒着した関係にある民主党政治家が米国大統領になれば、米中長露4ヶ国の核ミサイルに包囲された状態にある日本の安全保障は、ますます苦しい状況に追い込まれていくだろう。

 ちなみに、共和党の政治家たちが米民主党のような中国との癒着関係にないからといって、「日本の安全保障は共和党に頼っていれば大丈夫」ということにはならない。1972年2月、共和党のニクソン大統領とキッシンジャー安全保障担当補佐官は北京で周恩来と会談し、対日政策に関する米中間の「3つの密約」を結んだ。
 これらの密約とは@東アジア地域において、日本にだけは核兵器を持たせない、A日本の自主防衛政策を阻止するため、米軍は日本の軍事基地を占拠し続ける、B日本政府には、朝鮮半島と台湾をめぐる問題で発言権を持たせない

 表向きは親日となっている現ブッシュ政権も、中国共産党とこれら「3つの密約」を維持している。10月9日、北朝鮮が核実験を強行したというニュースが届いたワシントンにおける外交政策シンポジウムの席で、ブレジンスキー元安全保障担当補佐官は「日本にだけは核をもたせないという米中間の collusion がある」と明言した。「コルージョン」とは、犯罪行為や陰謀を企てる際の共謀関係を意味する悪い言葉である。米中政府にこのような反日的 collusion があることを、我々日本人は肝に銘じておく必要がある。日本政府が自主防衛能力を構築する必要があるのは、「信頼できる同盟国」ということになっている米国が、中国共産党と collusion  しているからである。(伊藤 貫)
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 「別冊 正論 05」
 
 「核をもって核を制する勇気を」
 (レッスン:1)核兵器は何に役立つのか
 ・「核戦争に勝てる国は存在しない。核戦争を実行した国は、すべて敗者となる。核兵器は戦争を抑止することには役立つが、戦争に勝つことには役立たない」(コロンビア大学、ロバート・ジャービス教授)
 これが核兵器による革命のエッセンスである。英語ではMutual Vulnerability(相互の脆弱性)と表現されている。

 ・「A国がB国に先制核攻撃を仕掛けたら、B国に報復核攻撃されてA国の重要都市がすべて壊滅状態になる」という事情が、核戦争を実行不可能にしているのである。⇒このままでは日本は又やられっ放しになる

 アメリカとロシアは伝統的に、「我々の要求に服従しないのなら、武力介入するぞ!」と他国を露骨に恫喝する外交政策を実践してきた覇権主義国家であるが、これらの傲慢な武断主義国でさえ、他の核保有国に対しては一方的な外交行動を取れなくなったのである。

 (レッスン:2)核兵器は防衛側に有利な軍事力
 ・欧米諸国の軍事学者は、「核戦争を仕掛ければ、仕掛けた側も敗者になる」という特徴をもつ核兵器を、「防衛側にとって有利な軍事力」と規定している。国際関係においては、攻撃側が有利になる兵器が主要な軍事力である場合、国際関係は不安定になる。これは、「先制攻撃」をかけた国が得をする状況だからである。しかし核兵器のように防衛する側にとって有利な兵器が主要な軍事力になった場合は、「先制攻撃をかけた国が損をする」状況であるから、国際関係は安定する

 ・「主要国がそれぞれ報復核を持つ体制は、防衛する側が優位になっている状況であるから、大規模な戦争が起こりえない環境だ。ニュークリア・レボルーションによって国際社会には、攻撃不利防衛有利という軍事環境が出現したのだ。防衛する側が有利になる軍事技術が主流となっている環境においては、諸国間の軍備競争によって国際情勢が緊迫化する、というネガティブな効果が低減される」(核戦略理論の専門家、チャールズ・グレイザー、シカゴ大学国際政治学者)

 ・「先制攻撃をかけた国が損をする」核抑止力を日本が整備しておくことは、国際関係を安定化する効果を持つ。

 ・米中両国間には1972年2月から現在まで、「東アジア地域において、日本にだけは核抑止力を保有させない。日本の自主防衛政策を阻止するため、米軍は日本の軍事基地に駐留し続けるという反日的な密約が維持されている

 (レッスン:3)不確実性と予測困難性の低減
 ・超大国アメリカがベトナム戦争、イラク戦争という二つの戦争で大失敗しているのも、通常戦力による戦争の結果を前もって予測するのがどれほど難しいかを如実に表すものである。

 ・「歴史的に見て大規模な戦争の原因となってきたのは、不確実性と予測の失敗である。(1945年以前の)通常戦力を基盤とした多極世界にあっては、対立する諸国間の実際の戦力を予測することがとても難しかった。その結果、国際関係は不安定であった。しかし核戦力を基盤とする多極世界では、諸国の実際の戦力を測定するのが容易だ。したがって、核武装した諸国間の国際関係は安定化する・・・・・。

 核を保有する国の外交政策は、クレディビリティ(信憑性)を持つ。『この国は、核兵器を使用する能力を持つ』と他の諸国が感じることが、核保有国に対する態度をとても用心深いものにしている。したがって核を持つ諸国の間では、『国益を増強するため、軍事力を行使する』という事態は生じ得ない
」(ケネス・ウオルツ、コロンビア大学教授)

 (レッスン:4)軍事交渉力の均等化と同盟関係の必要性低減
 ・米政府は「核の独占体制」を維持することによって、自国にとって都合のよい一極覇権構造を永続化したいのである。

 ・ジャイアント国の指導者にとって、たとえ十万発の核弾頭をプチに撃ち込んでプチ国民を全員殺害しても、ジャイアント国の百の重要都市を報復核によって破壊されてしまう戦争は、割に合わない

 ・「核抑止力を持つ国同士の関係は、その所有する軍事力に大きな格差があっても、パワーバランスが均等状態に近づく、という現象がみられる。小規模な核戦力しかもたない国も、大規模な核戦力を持つ国に十分対抗できるのだ」(ジョン・ミヤシャイマーシカゴ大学教授)

 ・最近の新聞の社説にみられる「人口の密集した日本列島に住む我々は、核を持っても役に立たない」等の主張は、正統的な核戦略理論を勉強したことのないジャーナリストが書く、俗論にすぎない

 ・キッシンジャーが、その職を辞任した2年後に「アメリカによる核の傘の保障は、Absurd馬鹿馬鹿しい」と述べているのである。ドゴール大統領やガロア将軍が「米政府の核の傘の欺瞞性」を指摘したのも、当然のことであった。

 しかし、仏政府が自主的な抑止力の構築に熱心になった真の動機は、「核の傘の欺瞞性」だけでなく、「米国の覇権主義的外交からの独立」にあった。「フランス人はフランスの外交を実行する。我々フランス人は、米政府の下僕ではない」というのが、彼らにとって最も根本的な動機だったのである


 ・西欧諸国と日本をいつまでも支配下におきたい米政府にとって「同盟国からの保護を必要としなくなる」自主的な核抑止力は、非常に都合が悪いのである。

 ・日本が核抑止力を持つと、日米同盟が真のイコール・パートナーシップになってしまう。

 しかし、アメリカ政府はーわざとらしく執拗に繰返される外交的リップ・サービスにもかかわらずー日本に真に対等な同盟国として扱うつもりはない。

 ・著名な外交史家であるバージニア大学のメルヴィン・レフラー教授は、1945年から現在までの米政府の対日政策を「ダブル・コンティンメント(二重封じ込め)政策」と表現している。これは、「米軍の駐留によって日本人が自主防衛能力を持てないように封じ込めておき、しかも、その封じ込められた日本を同盟国として利用してソ連と中国を封じ込めておく」という二重構造を持つ政策である。レフラーは、「戦後の米国の対日政策は、日本が二度と独立できないように仕組まれたものだ」と述べている。⇒保護国であり、精神的奴隷状態に置かれていることに気づかなければならない

 ・ブランダイス大学の軍事学者、ロバート・アート教授も、「日米同盟は、本当の意味の集団的安全保障体制とは言えない。この関係はむしろ、アメリカによる帝国的支配関係というべきだ」と語っている。⇒今の日本に必要なのは左翼が素直さを取り戻すことである

 ・1997年にブレジンスキー・元安全保障担当補佐官が出版した『グランド・チェスボード』という世界戦略論では、日本は独立国ではなく、「米国の保護領」にすぎない、と記されている。さらにブレジンスキーは、「日本の自衛隊は極東米軍の道具」であり「日本外交の道具として使用できるものではない」とも述べている。

 ・ダートマス大学の国際政治学者、マイク・マスタンドゥノ教授は、「米国政府は、日本を独立した『普通の国』にしたくないのだ。何時までも日本lを米国の支配下に置いておきたいから、日本が自立した軍事能力や自主的核抑止力を持つことを妨害しているのだ」

 (レッスン:5)核兵器と共生する政策を持つしかない
 ・日本の外務省は毎年、「核兵器の廃絶を世界に訴える」という決議案を国連に上程している。外務官僚がこのようなナイーブな「道徳感」に満ちた行動を取るのも、彼らが核戦略理論を真剣に勉強していないからであろう。核戦略理論を少しでも勉強したならば、「現在の世界諸国が核兵器廃絶という『理想』を実現すれば、国際関係はかえって不安定化する」というロジックが理解できる筈である

 ・人間や国家というものは、自分勝手な理屈を並べ立てて「自分(自国)に有利、相手に不利」な状況を作ろうとする「罪深い存在」だからである(ハンス・モーゲンソ−)。従って、「核兵器を秘密生産して、我々だけが優位に立つ状況をつくってやろう」と画策する国が必ず現れる。⇒日印同盟を結んで核を導入せよ

 ・「文明国が武装解除したため、野蛮国にもてあそばれる」という状況になる。

 ・核戦略の専門家であるシカゴ大学のチャールズ・グレイザーは、「核兵器の廃絶などという合意は、どこかの国が核兵器を秘匿したり秘密生産したりした場合、その国が他の諸国に対する圧倒的な攻撃能力を独占することになるから、国際関係をかえって不安定にする」

 《ニュークリア・レボルーションの内容》
 @「核兵器は戦争を抑止することには役立つが、戦争に勝つことには役立たない」という特徴のため、核を持つ大国同士の戦争が不可能になった。⇒民主国家Vs圧政国家でもいえるかどうか

 A核兵器は「防衛側にとって有利な軍事力」という性格を持つため、国際関係が基本的に安定し、諸国間の軍備競争によるネガティブな影響が低減された

 B通常戦力による競争は不確実性が高く、戦争の結果を前もって予測するのが難しい。しかし核戦力の行使は予測可能性が高いため、不確実性や見込み違いを原因とする戦争が起きなくなった。しかも、自主的核抑止力を持つ国の外交は、クレディビリティを獲得する

 C核兵器の出現は核を持つ諸国間における「軍事交渉力の均等化」と「同盟関係の必要性の低減」という現象を生み出し、米中露のような覇権主義国家が他の核保有国に対して利己的で一方的な外交政策をとることを難しくした

 D世界諸国が核兵器廃絶という「理想」を実現すれば、相互間の核抑止力を失った国際関係はかえって不安定化するから、核兵器の廃絶は望ましいことではない

 自主的核武装の必要性をアメリカに主張せよ!
 
人権無視の独裁恫喝国家・北朝鮮、侵略戦争・圧政国家のシナが持って、平和・人権尊重の民主国家、日本が何故持つ資格ないなどというのか唯一の被爆国、日本は世界のどこよりも核兵器を持つ権利をもっている以下の伊藤貫氏(国際政治アナリスト)の主張に耳を傾けるならばマスコミがよく取り上げる中曽根泰弘氏や石破茂氏の主張はナンセンスなのがわかる。

 日本のマスコミには、「日本が核を持とうとしても、核弾頭を実験する場所がない。核兵器を保管する場所がない。日本の所有するプルトニュムは兵器用のものではない」等の「現実的な困難性」を、訳知り顔で述べている人たちがいる。しかし、これらの「困難性」は、日本の核抑止力構築にとって重要な障害となるものではない。

 核弾頭の実験場は、日本の離島に深い穴を掘ることによって造成可能である。もしそれが不可能な場合は、インドやフランスやロシアから、核実験場をレンタルする交渉をすればよい。我々がそのような交渉を始めれば、米政府が「他国で実験するくらいなら、ウチでやってくれ」と言い出すかもしれない。日本がどの程度の核弾頭を作ったかを観察することは、実験場を貸した国の利益になるからである。

 また、ODAの増額を提示して、南米やアフリカ諸国の無人の荒野を借りて核実験することも可能だろう。フランスは北アフリカと太平洋で核実験した。日本の核弾頭を、日本の領土内で実験する必要性はないのである。

 核兵器の保管場所も、どこかの離島や過疎地帯に造成可能である。付近に住む住民には、十分な経済的補償を与えて、立ち退いてもらえばよい。自主的な核抑止力の構築は、国家の大事である。成田闘争のようにゴネる農民や漁民がいたら、高額の保障を与えた上で、強制的に退去させるべきである。国家の独立を守るためには、時に、厳しい政策を実行する必要がある。イギリスやフランスのような中型国、そしてイスラエルのような小国ですら、核兵器の保管場所をつくることができた。日本人が本気になれば、保管場所を作れないわけはない

 日本の保有するプルトニウムで核弾頭が作れるかどうかに関しては、専門家の間に異論がある。しかし、もし日本のプルトニュムがそのまま核弾頭を製造するのに適さないというなら、核兵器用の高質プラトニュムや濃縮ウラニュムを生産する施設をつくればよい。1960年代の中国とインドは極貧国であった。現在のパキスタンと北朝鮮も極貧国である。これらの極貧国ですら出来た核弾頭の製造を、先端的技術国(世界一の債権国)である日本ができないわけはない。

 「日本の核保有は現実的でない」と反対している新米(恐米)保守の言論人や外務官僚・防衛官僚は、最初から自主防衛する意志に欠けているから、トリビアルな「具体的困難性」を細々列挙してみせるのである。自立心と判断力を喪失した、怯懦な日本人が増えた証左である

 日本に対するダブル・コンティンメント(封じ込め)政策を21世紀になっても続行したいアメリカは、日本政府を恫喝して、事あるごとに日本の核抑止力構築を妨害しょうとするだろう。しかし、広島と長崎で日本の婦女子や老人を約30万人も大量無差別核虐殺したアメリカには、「東アジア地域において、日本にだけは自主的な核抑止力を持たせない」という不道徳な政策を押し付けてくる資格はないのである。アメリカは世界で唯一、残虐な核戦争犯罪を実行した国である。その核犯罪国アメリカが、中朝露の核ミサイルに包囲されて非常に危険な状態にある日本人に対して、「東アジア地域で、お前達日本にだけは核抑止力を持たせない」などと言うこと自体、グロテスクである。

 我々は米政府に対し、正々堂々と真正面から、「よくもまあ、そんな不道徳なことが言えるものだ。あなたたちアメリカ人には、良心の呵責というものはないのか」と反論すべきである。国務省や国防総省で仕事をしているアメリカ人は、内心、「核の傘」やミサイル防衛では日本の安全を確保できないことを知っている。日本人がパブリックな場で正々堂々と自主的核抑止力を構築する必要性を主張しないから、彼らは欺瞞と偽善に満ちた対日ダブル・コンティンメント政策を続けるのである。
 アンドリュー・ブルックス 英国際戦略研究所研究員 SAPIO 2007.3.14

 原子力潜水艦の削減が可能な英国から輸入するのが現実的だ。

 <集団的自衛権を認め、原子力潜水艦の輸入を>
 ・トライデントシステムは、冷戦が激化した1980年、サッチャー政権下で導入がきまり、14年後の1994年から運用されている。だが、最近になってサッチャー元首相自身も、「自分は今だったらトライデントを開発するようなことはしない」と明言している。彼女が導入しようとしたそもそもの理由であるソ連がなくなったからだ。

 兵器を巡っては、常に商業的な側面が存在することも見落としてはならない。英国において軍需産業で最大なものの一つは潜水艦建造に関するものだ。そのため潜水艦の需要がなくなれば産業は廃れる。イングランド北西部の沿岸地域では造船業が盛んだが、こうした国内の軍需産業を維持し活性化させていくためにも、需要を作り出さなければならず、トライデントの継続論議にはこうした背景もある。もちろん、閣僚たちはこのことを否定するだろうが。

 既に核をもってしまっている英国やフランスがそれを手放すかどうかは別の問題として、欧州の他の非核国が新たに自国の核武装を目指す動きはまったく出ていない。大多数が北大西洋条約機構(NATO)に加盟している状況下で、これらの国々が核を持つ必要がないからだ。欧州においては、核抑止の有効性はいまや論点でなくなっている。

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 ・オープンな議論は民主主義の根本原理であり、言論封鎖は独裁国家のすることだ。日本が民主主義国家であれば、なぜ自国の核保有について議論さえしてはならないのか。

 民主社会にあっては、何事もタブー視されるべきではない。日本では長い間、自衛隊を海外に派遣することはタブーだった。だが、現在では平和維持活動のため、イラクなど世界中に自衛隊員が送られている。いったん議論に火がつけば話はさらに進んでいくものであり、タブーというのは現実に即してゆっくりと消えていくのではないか。

 日本には、有事となれば即座に核兵器を短期間で製造する技術上の、経済上の力がある。現時点では、「核を有しない大国」というユニークな立場を維持しながら、それでも「必要に迫られたら核武装するノウハウも実力もある」というスタンスを取っていくことが日本に適していると思われる。

 世界第三番目の核保有国でありながら、ここにきて核戦力の意義が問われている英国と、戦後一貫して核保有の是非をめぐる議論すら封じられてきた状況から脱皮しょうとしている日本。両国は、冷戦終結後10数年を経て顕在化してきた大きな時代の変化に直面している。
 武末幸繁 在米ジャーナリスト SAPIO 2007.3.14

 ・核武装しなくても「核武装論」自体が外交カード(圧力)となる。
 田久保舜三 73歳 年金生活者 愛媛県今治市 「別冊正論 05」

 <日本は核についてはっきり言おう>
 ・日本は北朝鮮が核武装をすれば日本も核武装する、との声明を出しておくべきだと以前から思っていた。これを出せば日本が核武装することは、日本の拉致問題に協力しない中国はじめロシア、韓国も絶対に好まないだろう。従って、北朝鮮の核武装には万難を排しても阻止すると思う。また日本の国内でどのような反応や考え方が出るか核についての今後の参考にもなる事でもある。

 アメリカの核の傘に入っていると言いながら、歴代の総理が言っている非核三原則の「核を持ち込ませず」は大嘘だ。なぜこのような嘘をつき、国民も是認しているのか不思議な国である。核を持たないのであれば通常の兵器で敵の基地が攻撃できるような装備をすべきではないか。日米安保は不変の物ではない。アメリカは中国といつ手を組んで日本をはね物にするかわからない。

 核の問題がでると、日本は唯一の被爆国、我々は平和主義で二度と戦争はしてはいけない、とこれだけで片付けてしまうのは間違っている。また、憲法9条は世界に誇れる立派な憲法でこれが平和を守っているといわれる人がいるが、それが本当であるならばどこかの国が学ぶだろうが、世界には200近い国があるが60年以上たってもどこの国も採用する国はない。

 戦争の形態は昔と変わっているのだから専守防衛では国は守れない。真面目に核を含めた国防についての議論をして国民に判断の材料を提供すべきだと思う。日本人は鰯の集団、豆腐のような男と外国から馬鹿にされてなんとも思わない集団になり下がってしまった。

 日本の核は棍棒しか持っていない警察官がピストルを持つようなもので、警察官の拳銃は善良な市民には怖くないが、ならず者の持つ拳銃は怖い。従って当然核攻撃への対策は立てておくべきである。戦後60年以上たってもいまだに自国の防衛をアメリカ頼りのしている。だから日本も早く自主防衛に踏み切って足りないところを日米同盟で補うようにすべきだと思う。

 ノドン、テポドンが飛んで何年になるのか、この機に臨んでなんらの対策を採らず他力本願でいるのは無責任極まりない。⇒日本の自主防衛のどこに問題があるのか、アメリカに詰問すべきだ!
 「別冊正論 05」 盛岡卓眞 76歳 無職 広島市阿佐北区

 <NS(核兵器の共有)を論議せよ>
 日本国内の核認識は無頼国家北朝鮮を増長させるだけである。だから今こそ毅然とした日本の態度を表明しなくてはならないのだが、単なる核武装論では国民を納得させることは困難である。ではどうするか。その回答は正論18年12月号の原理氏「核兵器を保有しない日本が北朝鮮の核兵器に対し抑止力を持つ方法」にあると思う。あのNS核兵器の共有)に関する論文は初めて目にする画期的、かつ究極的な核政策であると思う。

 アメリカが中国などの核先制攻撃論にひるんで「核の傘」発動を逡巡する時、日本がNS条約を結んでおれば北朝鮮に限らず中国に対しても絶大な核抑止力になるのであるからまさに伝家の宝刀ともいえる効力が期待できる。

 具体的にはアメリカの原子力潜水艦に海上自衛隊員を乗艦させ訓練を重ねて有事の際は米軍人が退艦して海上自衛隊の管理に移すというのだから、内外を問わず許容される核抑止力であると思う。その上、ドイツ、イタリアなど五ヶ国がアメリカとNS条約を結んでいるということであるから、世界から非難を受けることもない。

 それにしても、このNS条約という強力な核抑止力の存在がなぜ明らかにされないのだろうか。政治家の怠慢か不作為が。もしNSに関する議論もタブーというのなら、日本は腑抜け国家といわれても仕方がなく、愛国心などもてるわけがない。(「別冊正論 05」 盛岡卓眞氏 76歳 無職 広島市阿佐北区)
 「別冊正論 05」 上月 一 36歳 会社員 名古屋市天白区

 「日本」と「北朝鮮」との関係は今や「インド」と「パキスタン」の関係に学ばざるを得ない。日本はインドになることである。そうすれば北朝鮮は日本に無理難題を言わなくなり、両国の関係は安定する。

 中共を“ファシズム国家”と捉えるなら、第二次世界大戦の「チャーチル」に学ばざるを得ない。日本は、「自由」、「民主主義」、「人権」、「法の支配」という価値観を共有する国々と“海洋国家同盟”を築かざるをえない。

 日中関係を“冷戦時代”と捉えるなら「ロナルド・レーガン大統領」とか西ドイツの「コール首相」に学ばざるを得ない。「戦争を再び起こさない」為には、中共の「現実的脅威」に対して日本は「バランス・オブ・パワー」で対抗せざるを得ないこと。それが中共との「戦略的な信頼できる関係作り」に貢献することを強調する。又、「靖国参拝」は今やイデオロギー上の問題であるとして、堂々と行う。

 迫り来る中共の危機を考えれば、北朝鮮の核実験は日本の核武装の“千載一遇のチャンス”としなければならない。以下引用。


 <国益の問題として考えよ>
 そもそも核武装するか否かというのは、純粋に国益の問題であり、安全保障上の政策の問題であるはずだ。世界には核兵器を放棄した国(ウクライナやカザフスタンなどの旧ソ連諸国や南アフリカ)も存在するが、それは別に「世界平和」や「核のない世界」というスローガンに駆られての決断ではないだろう。核を放棄した方が国益になると政策レベルで判断したからに他ならない。インドやパキスタンは核武装した方が最終的には国益になると判断したのであって、実際、現在に至って見れば、それは明らかに両国の国益になっている。

 北朝鮮のミサイル実験、そしてそれに続く核実験を受けて、主に欧州のマスコミは「日本の核武装化」に注目した。NPT(核拡散防止条約)第十条に言うところの「至高の利益を危うくする異常な事態」が日本に発生したと見ているのであり、それは極めて“常識的”な見方であると言えるだろう。日本国内における核保有議論の発生を「異常な事態」と見るこの国のマスコミの方が異常なのであり、もっと極端に言えば“頭がおかしい”のだ。

 北朝鮮が核実験を強行すれば、日本はそれに対する自衛のためNTPを脱退し、核武装に踏み切る。このような日本国家としての「単独での戦いをも辞さぬ覚悟」を国際社会に対してはっきり明示していれば、そもそも北朝鮮の核実験はなかったであろう。米国も中国もロシアも、特に日本の核武装化を最も恐れる中国は、本気になって北朝鮮の核開発阻止に動いたに違いない。所詮、日本という国は核武装はおろか、自国の安全保障上の決断さえも一人ではできない国だと、なめられているのである。その意味でも戦後日本独特の世界観、あるいはその理念や国是は、とっくに破綻しているのだ。「戦後日本」なるある種のカルト宗教から脱している「普通の国民」は、それを見抜いている。

 核を持つことの意義、あるいは核を持たぬことの意義、それは空理空論の理想や理念ではなく、現実の国益と安全保障の脈絡から議論されなければならない。日本の未来と子孫の安泰、その基軸を何に求めるのか、信じきることのできる「確かなもの」を何に求めるのか、そのような日本国民の生存と尊厳の基盤を見つめ直すことから議論を進めていけば、自ずと結論はでるであろう。終局的に己と己の愛するものを守るのは、己自身の覚悟と知恵と力なのである。(「別冊正論 05」 上月 一氏 36歳 会社員 名古屋市天白区)
 「別冊正論 05」 伊藤和男  40歳 徳島市 塾講師

 <言論の不自由の正体>
 このところの核を巡る言論の不自由の異常さは、やはり中国の存在を抜きには語れないと思う。核論議の封殺に躍起となる人たちが、いわゆる媚中派と目される人たちと相当部分重なるのは、決して偶然ではない。現在は対北朝鮮に留まっている核論議は、今潰しておかないと、日本に向けられている核戦力全般、なかでも中国の対日核にまで早晩論議の対象が広がることは、容易に想像できる。

 なかでも、中国の飽くことのない核戦力の増強ぶりや、吉林省通化基地から日本に常時照準されている膨大な核ミサイルの実態等が、やっと日本人の常識となり、わが国にとって有害無益な“日中大嘘友好”が、ゆがて正しく崩壊する。この事態を、媚中派諸君は是非とも阻止したいのだ。

 昨今の核に関する言論の不自由が、あまりに酷い悪臭を放つのは、その不自由さの中に、危険な“反日性”が潜んでいるからである。

 日本と同様に核武装していないスイスでは、政府発行の『民間防衛』において、国民がいわゆる“反核”の立場をとることを厳に禁じている。自由な核論議の国家主導による封殺とも言え、これはこれで問題があろうが、同じ核絡みのタブーでも、わが国とは全く正反対なことには、深く考えされられる。(「別冊正論 05」 伊藤和男氏  40歳 徳島市 塾講師)
 中川昭一 自民党政調会長 諸君4月号 平成19年度

 ・「核保有イコール自主独立」「日米安保放棄」と考える人が意外と多い。これは日本の説明不足、つまり議論不足が危険な誤解を招いていると私は受け止めました。

 ・特に今後、覇権主義に突っ走るであろう中国に対抗していくには、アメリカ、オーストラリア、インドなど自由、民主主義の価値観を共有できる自由主義諸国との同盟関係をしっかり築き上げていくことが不可欠です。

 ・中国は国際社会のトラブルメーカー。⇒何回でも何回でも、2005年の反日デモの損害賠償を要求すべきである

 ・上海総領事館の電信官自殺事件や東シナ海のガス田開発問題における中国の対応を見ていると、他国の権益を侵害しても恬として恥じない覇権主義を感じざるを得ません。

 ・中国の日本への対応を見ていると、かっての朝貢国に対するような見下した態度が見え隠れするのがいただけません。⇒他力本願寄生国家の分際で生意気である
 岩瀬正則 京都大学教授 諸君4月号 平成19年度

 ・日本に対して非友好的態度を取り続ける核保有国(なかでも中国)が日本を核攻撃する可能性は、ゼロではないと考えざるを得ないのである。

 ・「核を議論することはいかがなものか」などとしたり顔でノー天気なことを言っている場合ではない。日本には核兵器保有に必要な技術力はすでに失われている、あるいはそもそも存在しなかったことを前提に、「日本を核攻撃から防衛するにはどうすればよいのか」を真剣に議論しなければならない。
 西尾幹二Vs西村幸祐 「ぼくらの核武装論」 オークラ出版

 <合意された「六ヶ国協議」は北の核保有を認めた>
 西村:軍事に関するものが非常に低レベルな議論になるのは戦後日本の特徴。

 西尾:北の核を何とかして廃棄したいという国際社会の高い願望を可能にする唯一の方法は、日本の国内で激しい核武装論議が沸き起こることなんです。と同時に日本の核武装が実行段階に入ると、これ大変だということでアメリカも中国も本気になるんです

 西尾:現実に核武装プログラムを政府見解として展開していくような姿勢を示すこと以外にないんです

 <日本の核武装が平和をもたらす>
 西村:攻撃されないためにどうするかということが一番の問題ですから、攻撃されたことを前提にするというのはやはりおかしい

 西尾:政治家として核武装を言ったらアウトだという恐怖感があるんだろうと思うんです。⇒勇気がないということだ

 <核の終末幻想が生んだ、大いなる「偽善」>
 西村:少なくとも世界破滅への人間の衝動をあやうく押し止めているのは、逆説的ですが、核というとんでもない終末兵器を人間がもったからではないでしょうか

 西尾:平和の時代でも暴力を鎮めるのには暴力をもってしなければ鎮められないんですよと。(中略)暴力には暴力をもって処する必要の上から許されている暴力がある。それはどういう暴力かというと、国内的には警察の暴力であり、国外的には軍隊の暴力です。

 西村:SS20という中距離弾道ミサイルをソ連が配備しました
 西尾:ええ。それに対してドイツが見事な決断をして、アメリカのパーシングミサイル、中距離核弾頭を配備することによって、ヨーロッパの平和を守った。それでソビエトが敗北したという、核と核との最後の対決の時代があったことを思い出してください。当時、西ドイツはシュミット政権、社会民主党なのにアメリカの核ミサイルを配備したのです

 <冷戦下の極東と憲法九条>
 西村:今いみじくも、八十年代の西ドイツのことをおっしやったのは、いまの北東アジアの情勢は、まさに当時の状況そのものだからではないですか?冷戦は終わってないですから、北東アジアでは

 西尾:特に中国の核ということを考えたときに、アメリカに依頼して、「持ち込んでください」と言うのが当たり前なんです。あるいは、日本も核武装しますと。それによって何が起こるかというと、中国の現政権は崩壊しますよ。そして日本の核装備がプログラムにのぼるだけで、北朝鮮の核廃棄は急速に進展します。そうせざるをえなくなります。そして威嚇にもなります。と同時に拉致問題も解決します。そして中国の日本に対する尖閣あるいは南京問題その他の嫌がらせ、威嚇、それらをなくすには、アメリカと協力して日本を核大国にすることなんですよ。⇒インドがアメリカを説得したように日本もアメリカを説得せよ櫻井よし子氏あたりに頼んでみたらどうか

 西村:世界で冷戦が残った唯一の場が日本が位置する北東アジアだし、北の核より中国の核が最大の問題なのに、アメリカが作った占領憲法も改正できない日本人は、議論の前提すらない場に置かれています。

 西尾:私が不安なのは、2007年に例の郵政民営化が封切られるわけで、郵貯のお金がアメリカの金融資本の手を経て投資される方向が中国大陸ということがありえる。

 西村:中国の横暴に対して主体的に行動できないのは、やはり9条で日本が去勢されているからです。日本に頼らざるを得ない事情を逆に利用すれば、靖国問題や南京も簡単に片付くはずです。南京記念館を遊園地に変えろとか(笑)。そうしなければ日本はもう投資しないと。

 <日本は六ヶ国協議から脱退せよ>
 西村:核兵器を持つことで核兵器を使わせないということです。

 西尾:台湾と同じく、日本列島がアメリカの取引材料にされている。そういう恐ろしい事態を認識しょうともしない日本の政治、国内意識、これがいちばん問題なんだ。

 <米国に頼らないミサイル防衛も必要>
 西村:「集団的自衛権」など当たり前のことです。

 西村:もう「非武装中立」と言えなくなったので代わりに「無防備都市」という新しいスローガンを掲げていますが、面白いのはそういう人たちが実は拉致などの日本への侵略テロに加担してきた勢力と繋がっていることが明らかになったことです。ですから、集団的自衛権を認めるなという勢力も、日本を侵略する国や集団と繋がっていると考えるべきで、論理的にも単純なことなんです。「西尾幹二(評論家・電気通信大学名誉教授)Vs西村幸祐(本誌編集長) 『ぼくらの核武装論」 オークラ出版)
 重村智計 早稲田大学教授 WILL 4月号 平成19年度

 「六ヶ国協議は米朝の八百長だ」
 ・今回の交渉は核交渉したことのないど素人であるヒルが担当しました。以前は核の専門家であるガルーチとジェームズ・ケリーでしたが、今回は核交渉における原則すら知らない人物が交渉に臨んだことも不幸でした。
 ワシントンの北関係の専門家は、今回の合意は残飯ものだと断じている。ヒルもブッシュも、任期中に核問題を絶対に解決したいと言うのだが、これでもう任期中の核問題解決はほぼ不可能でしょう。次の政権に託さざるを得ません。

 ・日本は最優先課題である拉致問題の早期解決を目指す必要があります。そのためにはチェイニー副大統領の来日の際や、安倍・ブッシュ会談の折に、「拉致問題を解決しなければアメリカは北朝鮮と国交正常化しない」とはっきり言ってもらうか、言質を取ることが重要です。

 ・拉致問題解決は安倍政権の存在意義でもあります。国内では拉致問題解決の一番の障害となっている朝鮮総連系の違法行為を見逃さず、きちんと法律を適用していくことが解決に繋がるのです。
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 「WILL 5月号 平成19年度」
 ・姜周一氏の招待状ということは、朝鮮総連の幹部を通じて訪朝を頼んだとことになるからだ。朝鮮総連は、北朝鮮の工作機関の傘下にある。簡単に言えば、総連は北朝鮮の工作機関である。その工作機関に頼みごとをすれば、日本の政治家(山崎拓のこと)は弱味を握られることになる。総連の活動に協力させられる。こんな危険なことはない。

 ・外交「孤立」や「取り残され論」は、日本の国益が損なわれる時には、説得力のある主張である。
 しかし、考えて欲しい。北朝鮮は、世界最悪の独裁国家である。国民は、食糧難にあえいでいる。人権は侵害され、民主主義は実行されていない。いずれ、崩壊するのは間違いない。
 そんな国家と関係改善し、積極的に正常化すれば、国際社会で尊敬されることになるのだろうか。独裁に手を貸し、人権を無視し、民主化を推進しなかったと言われる。むしろ、軽蔑されるのではないか。(重村智計 早稲田大学教授「WILL5月号 平成19年度」)
 足立誠之 アジア経済評論家 WILL4月号 平成19年度

 「北朝鮮をアメリカに任せる危うさ」
 <最大の脅威を受ける日本>
 「北朝鮮の核武装は、米国、中国、韓国にとって直接的な脅威とはならない。直接の脅威となるのは日本である。何故なら、北朝鮮はノドン・ミサイル百基(当時)を配備しそのターゲットは日本に向けられているからである」(2003年7月、米中経済安全保障レビュー委員会「以下USCCと略す」の公聴会での外交官出身の一人の証言より)(USCC=U.S−China Economic & Security Review Commission)

 <中国が生殺与奪を>
 ・「韓国には、朝鮮半島の統一後を展望すれば、北朝鮮の核保有を肯定する見方もあるようだ」

 ・中国企業によってイランなど懸念国に今日でも大量破壊兵器・運搬手段が輸出され、これに対し米国は制裁を実施していることです。
 北朝鮮と中国との関係も特別なものでした。中国は、過去、北朝鮮にもミサイル技術、材料を提供していた時期があると述べられています。
 核についても、少なくともパキスタンを経由して間接的に北朝鮮に技術を提供したと述べています。
 また、逆に北朝鮮がミサイルを各国に輸出する際、中国は自国の空港、港湾、鉄道を北朝鮮に自由に使わせ、つい最近までイランと北朝鮮を結ぶ自国上空の飛行を認めていたとも記しています


 <米国の抱える問題>
 ・西欧各国は、「NATO加盟国なのだから、いざとなれば米国が米本土、あるいは潜水艦から核弾頭つきのICBM、IRBM巡航ミサイルで報復してくれる」という甘いシナリオは描きませんでした。

 西欧諸国は米国に対して、自らの領土に
米軍と核弾頭を装填したパーシングUミサイルを持ち込むように要求、それを実現させたのです。それによって米国の核報復戦力を担保としました。

 つまり、「
核を持ち込ませる」ことによって、言葉だけでなく、一蓮托生の状態にしたのです


 <戦略的アプローチ>
 ・鍵を握るのは中国です。中国の徹底的な分析から始める必要がある。

 ・中共の最大の弱点は環境問題

 <核・拉致一括して>
 ・中共が喉から手が出るくらい欲しいのは日本の省エネ・環境技術

 ・「戦略的互恵関係」協定も見逃せない。

 <チェコ消滅に似た危うさ>
 ・自国の安全を他国に委ねるような安易な考えに馴染んだことが、日本と日本人から戦略的思考、戦略的アプローチの機会を奪ってきました
 ・チェコスロバキアは、自国領土であるズデーテン地方を、自ら蚊帳の外に置かれたミュンヘン会談で奪われました。その後、間もなくチェコスロバキアは解体され、消滅してしまうのです。
 北朝鮮の核問題の深刻さは、93年以降今日に至るまで、この大問題を米朝直接交渉に任せるという考えが、日本人の特に指導者層に刷り込まれていることにあります。
 わが国の現状は、1938年当時のチェコスロバキアに似た危うさがあります。
 日本はある意味で米国以上に、北朝鮮の核・拉致解決のための戦略的アプローチを構築する材料を持っていることを忘れてはなりません。
 その解決に向けた第一歩は、現在をミュンヘン会議に重ねた上で、既述の刷り込みを払拭することから始まります
 片岡鉄哉 (スタンフォード大学フーバー研究所元上級研究員) 諸君7月号 平成19年度

 ・2000年大統領選挙でブッシュは第一次アーミテージ・リポートを公表し、日本が集団的自衛権を行使することを大目標に掲げた。2005年11月に突然京都まで小泉総理を訪ねてきた彼は、日本の核武装を要請し、さらに翌年はインドを訪問してまったく同じ問題提起をしている。
 ブッシュの核武装要請は、安倍総理の訪中応援をも狙ったもので、胡錦濤は日中関係を「戦略的互恵関係」に格上げすることを要請し、総理はこれを受託した。ここで中国側がいう「戦略的」とは核武装した大国間の平等な関係を指している
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