[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック

安全保障(V)
和田秀樹 兵本達吉 牛田久美 平松茂雄 森本敏 石井英夫 青木直人 高市早苗 島田洋一 中川八洋 日本の脅威
前原誠司 岩瀬正則 中国が行なった侵略、弾圧、軍事介入 中嶋嶺雄 伊藤 貫 北村 淳 樋口譲次 佐藤 守 福田 和也 横田由美子   自衛省
 和田秀樹 精神科医 正論1月号 平成17年

 <まずは「富国」を
 ・私自身の立場を言わせてもらうと、平和主義者でも好戦論者でもない。基本的には戦争をしてもかまわないが、負ける戦争を、損とする戦争はするなとするなという立場だ。

 ・満州事変の首謀者で天才的な策略家といわれる石原莞爾は、日中開戦には全面的に反対したことで知られている。五・一五事件で暗殺された犬養毅の次男、犬養健の回想録『揚子江は今も流れている』(文藝春秋)の中で、盧溝橋事件の後、石原が満州国の領土権を返してでも、開戦を回避して、その代わり満州、華北地帯に経済合作地帯を作るという案を近衛文麿に逼ったという話が出ている。
 さらに、戦後政財界の黒幕となった浅原建三氏の最近発見された回想の口述原稿によると、石原は、この日中戦争にかかる戦費について、「戦争ともなれば、昭和12年下半期だけで約30億円、13年度100億円、14年度以降ともなれば予測もつかない」と語ったという。昭和12年度の国家予算は一般会計27億円という規模だったから、財政面からの数字をあげての反対には説得力がある。

 ・・・・・・・当時の日本政府も、財政の健全性を考えるより「強国」でありたいという意識のほうがはるかに強かったようで、“勝てるに決まっている戦争”と踏んで、日中戦争に突入したわけです。

 私は石原が非戦論者だから評価しているのではない。彼が長期展望にたった富国論者だったから評価しているのである。浅原建三氏の回想録によると、石原は、三十年という長い年月をかけて満州国の開発を行い、それによってソ連のアジアにおける勢力を駆逐しょうとしたという。彼は、戦争をただ止めろというのではなく、資金的、生産力的な裏づけができてから戦争をすべきだというビジョンをもっていたし、また敵は中国ではなく、ソ連なのだと真の敵を見誤らない見識を持ち合わせていた。

 ・富国という文脈で考えた際に、真の敵が、アメリカなのか、中国なのか、日本製品の最大のライバル韓国なのかをしっかり見据える必要がある。そして、それに勝てるように、負けないように努力するというのが、国益にかなった仮想敵つくりと言えるはずだ。

 ・富国強兵論は、富国が先で強兵はその上でというものだった。少なくとも、そうしている際には、戦前も戦後も日本は発展を続けたが、富国を犠牲にして強兵という路線に走ると、案の定、泥沼戦争に入り込み、敗戦時には今の北朝鮮並みの貧乏国になってしまったことは肝に銘じておくべきだろう。
 ≪米モンロー主義のしたたかさ≫
 ・私の見るところ、富国より強兵を重視した国は、歴史上みな落ち目になっていったようだ。自国の経済規模を顧みず、いまだに韓国との戦争状態を想定して強兵路線を続けて、世界の最貧国になった北朝鮮がいい例だが、冷戦構造維持のために必要以上に、軍事力でアメリカとバランスを取ろうとして、結局富国の方がおいつかなかったソ連も崩壊した。

 ・隣にまだ戦争が終わっていない停戦状態の国があるのに、可能な限りのらりくらりと外交でかわし、太陽政策と称して敵側に塩を送ってまで、強兵より富国に優先順位をおく韓国や、一国ニ体制を認めて、共産主義のメンツを捨ててでも経済発展に血道をあげる中国を、前述の二つの国と比べてみれば、いかに富国強兵が国益にかなうかは明らかだろう。

 ・中国にしても、私は脅威に感じるのは、本当にGDPが世界一になった際に(現在の予測では2040年頃に実現するらしい)、持ち前の中華思想で、軍事的に世界、少なくともアジア制圧を狙う可能性の高いことだ。経済力の裏づけがあれがそれが可能だからである

 ・小国には勝てる形で、お金をかけずに戦争をし、大国の脅威に関しては外交手段で戦争を回避する。その間に富国化を推し進める。まさにお手本のような富国強兵路線が、アメリカのモンロー主義だったと私には思えてならない。
 ≪北朝鮮問題が教えるもの≫
 ・正義の主張というのは、経済的なことを含めて力の背景がないと国際問題では難しいということがいいたいのだ。

 ・私が恐れるのは、経済力で中国や韓国に負けるようになれば、彼らの「正義」を押し付けられ、屈従しなければならないことになるのではないかということだ。たとえば、工業製品の価格だけでなく、性能面でも輸出競争力でも、韓国や中国に負け、アメリカやヨーロッパの市場を失い、経済支援や輸出先として彼らに頼らざるを得なくなったとすれば、いくら慰安婦問題は南京虐殺問題、強制連行問題への我々の見解が正論であったとしても、彼らの謝罪要求や保障要求に屈従せざるを得なくなる。極東軍事裁判史観にしても、戦争に負けた上、周囲の国に頼らないとやっていけない国になっていた頃だったから、多少事実でないことまで押し付けられても、認めざるを結果といってよい

 ・アメリカにマネー敗戦によって、日本の商習慣や商文化、家族的経営システムを捨てざるを得なくなったのは記憶に新しいが、中国や韓国にマネー敗戦をくらうことになると、われわれの民族の誇りが危機にさらされる可能性は小さくない。M&Aで日本企業が韓国や中国にどんどん買われた場合にしても、日本人従業員が差別を受ける可能性は小さくないし、彼らの歴史観を認めて媚びを売るような人間が出世していく可能だってある

 ・もともと儒教の影響が強く、序列を重視する東アジアの人間は差別ということに抵抗感が少ない。かって日本が韓国人たちに差別的であっただけでなく、韓国にしても、共産主義であるはずの中国や北朝鮮でさえ、出身地や出自による差別はかなり厳しい。富国競争に敗れれば彼らに露骨な差別を受ける覚悟はしておく必要がある。日の丸を揚げ、君が代を歌っていると韓国系や中国系の企業で出世できないなどという理由で、日の丸や君が代にそっぽを向く不届き者まで出てきかねないが(戦後の一時期、アメリカ軍が怖くてそうしていた人が現実にいたのだから)、そんな輩のほうが社会的地位や収入が多いという情けない状況だって想像できないわけではない。

 ・日本人拉致という主権侵害は断罪されたが、お金のある北朝鮮系の人間の実質的な治外法権は続いているのではないか。経済力のある人間に勝てないのが資本主義だとしても、社会の秩序回復をもっと真剣に考えねば国はもたないであろう。
 ≪すべては教育の建て直しから始まる≫
 ・調査データ上、一つはっきりしているのは、すでに日本の子供たちの数学力や理科力は、韓国や台湾、中国に抜かれているということだ。1999年の国際教育到達度評価学会の調査では、日本の中学二年生の数学力は参加三十八ヶ国中五位であったが、日本より上位の四カ国はシンガポール、韓国、台湾、香港と当面の日本のライバル国である。

 ちなみにこの調査には中国は参加していないが、京都大学経済研究所の西村和雄教授と慶応義塾大学経済学部の戸瀬信之教授による大学生の数学力調査では、中国の大学生の哲学科の学生の約96%が満点を取れたテストで東大・京大レベルの学生は、22%から45%くらいしか満点が取れず、早慶レベルの文系学生では5%未満しか満点がとれなかったという惨状であった。
 ついでに言うと、前述の中学校の学力調査では日本の子供の平均の校外勉強時間は1日1.7時間で国際平均値の2.8時間を大きく下回り、調査参加国中、下から三番目であったし、学校を出てからまったく勉強しない子供の割合は41%でやはり多いほうから4番目という結果であった。ちなみに1981年の同じ調査では、日本の中学校の数学力は世界一であったのに、95年、99年と順位は下落し続け、勉強時間も、勉強しない子供の割合も急激に増えている。数学力に限らず英語力も散々で、TOEFL(米国留学のための英語学力検定テスト)の平均点もアジアでは北朝鮮と並んで最低で、これは聞取りに限らず、読解、書き取りでも最低レベルであった。

 ・現実には教育レベルの高さはすでに国際競争力にも反映されている。毎年スイスのダボスで開かれている世界経済フォーラムの2004年度の国際競争力ランキングでは、1位フインランド、2位アメリカ、3位スウェーデン、4位台湾、5位デンマーク、6位ノルウェー、7位シンガポールと、アメリカ以外は一般の教育レベル、特に数学教育のレベルの高い国々が軒並み上位につけている。

 ・ダメ押しに加えれば日本の食糧自給率である。それは何と北朝鮮以下の41%に過ぎない。
 兵本達吉 共産主義研究家 正論1月号 平成17年度

 ・「憲法に平和と書けば、平和になるのであれば、憲法に台風は来るなと書けばよい」という哲学者田中美知太郎の言葉の通り、戦争が避けられない社会現象というものがある。台風という自然現象と戦争という社会現象とを混同する暴論だという人もいるが、戦争でないと解決できない問題もあるのである。

 ・対立する双方に正義がある場合には、戦争は避けられない。正義は一つとは限らない。正義が二つも三つもあるある場合だってある。パレスチナの紛争には、双方に正義があると思っている。だから、国連が調停しょうと、アメリカが調停しょうとどうにもならないのである。一方が他方を打倒するか、双方が争いにうんざりして妥協するまで紛争はおさまらない。よく「話し合いで解決せよ」という。しかし、このように主張する人は「話し合いで解決できない紛争」を「戦争」というのだということを理解していない。
 牛田久美 翻訳家 正論1月号 平成17年度

 ・リムランドというのは、外縁部という意味です。ソ連や中国があるハートランドの外縁部を防衛し、共産勢力の太平洋進出を防ごうという考え方です。マ元帥は「台湾を失えばフィリピンと日本は軍事的に支えきれない」と台湾の戦略的重要性を訴えました。また「過去百年に米国が太平洋地域で犯した最大の過ちは、共産勢力を中国で増大させたことだ」と述べ、ルムランドを失えば「海洋は敵が前進する通り道となり米国本土を突かれる」と訴えました。
 現在ブッシュ政権が進める米軍再編も、リムランド防衛が背景にあります。大陸と地続きの朝鮮半島に多くの陸軍を配備するより、海峡をはさんだ日本などに配備する方が、海洋国家として得策だとして、在韓米軍を縮小したり、米陸軍第一軍団司令部をワシントン州からキャンプ座間へ移転しょうとしています。

 ・日本が、単独では生きていけない国家である点は、いわゆる自衛戦争証言でも指摘されています。「日本には巨大な労働能力があるが原料がなかった。綿がない、羊毛がない、石油がない、錫がない・・・・その全てがアジア海域に存在していた」。信頼を醸成しながら、他国と相互関係を維持することが大切だという点は、今も昔も変わらないですね。
 平松茂雄 杏林大学総合政策学部教授 諸君1月号 平成17年度

 ・かって中国がイギリスからハリヤーの導入を検討していたことがあるのですが、私は80年代に偶然その交渉を担当したイギリスの軍人と知り合ったんです。彼は「どうして中国研究なんかやっているんだ。あんな信頼ならない国はない。あなたはそんな簡単なことも分からないのか」と言うんです。話を聞くと、交渉を始めた頃は「二百機、三百期買う」と景気のいい話をするので、イギリスを訪れた中国側に「ハリヤーの全てを見せた」というのです。ところが、最終段階で実際購入しょとしたのは、たったの五機。これじゃ、ハリヤーの技術が盗まれることになりますから、商売にならないと断わったそうです。

 ・西側の軍事筋は70年代末から80年代初頭にかけて「中国はビッグマーケットで儲かる」と、そろばんを弾くわけですが、じきにそれがノウハウを取られるだけだと気づいた。1989年の天安門事件以降、すっかり、「大兵器市場中国」ブームが消えて、いまに至るわけです。

 「正論12月号 平成17年度」
 ・日本人はよく「中国がいつ体制崩壊するか」と議論しているけれど、それよりも日本が潰れないためにはどうするかをもっともっと議論すべきだと思いますね。⇒潰れるのは日本だってことも十分あり得る。中共は今や「死の商人」、「赤い帝国主義者」。共産党幹部は今や資本主義国の資本家以上の金持ち。どれだけ日本の中小企業は搾取されたか!

 
「中国は日本を併合する」 平松茂雄著 講談社インターナショナル

 ・平和、すなわち経済の繁栄、秩序と安全、外交交渉力による解決等は、軍事力に裏付けられて初めて実現されるのだ。
 ・追従は軽蔑を招き、自国の守りを疎かにする国家、国民は侮られることを、毛沢東の言葉と言動から学ぶべきだろう。
 ・「中原の地」にある自国を中心として、それより外の地域を野蛮人の住む「化外の地」と見なし、山東半島や朝鮮半島を東夷、長江以南を南蛮、陝西省から西の寧夏、チベット、新疆を西戎、長城以北の満洲や蒙古を北狄と呼び、中国より文化程度の低い野蛮人の住む土地として、それらの地域を軍事力と政治力と文化力で同化吸収していった。
 それゆえ中国に隣接する国家あるいは民族は中国のその時々の国力によって従属国や勢力圏に組み込まれてしまうのである。それがいわゆる「辺疆」の地であり、満洲、朝鮮、チベット、中央アジア、東南アジアなどの中国周辺地域がこれにあたる。
 ・「辺疆」とはその時々の国家の軍事力、経済力、政治力、科学技術力を総合した国力によって決定あるいは変動されることになる。また国際法的に承認されない地理的境界から外に出て、戦略的辺疆を長期間有効に支配すれば、それはその国の領土、領海、領空となるということである。
 ・中国の国家目標は、核と海洋と宇宙である。
 ・中国の体質は民と軍が表裏一体の関係にあること。
 ・中国が市場経済を導入したのは、その経済的基盤の上に強大な軍事力を構築することが目的。
 ・中国の目指す平和とは、超大国である米国やロシアの言いなりにならない、中国自身の強大な軍事力をもってする世界の安定である。
 ・「日本などという国はこのままで行けば、二十年後には消えてなくなる」(李鵬首相1995年オーストラリア首相との会談にて)
 ・日本は核武装によってはじめて、対米追従ではなく対中追従でもない、自主的な道を歩めるようになる(ガロア将軍)
 ・「我々は非常に軟弱な国民になってしまった。国家は軟弱な選択では築けないこと、国境は軟弱な政策では確保できないことを認識しなければならない。我々は強固な政策を選択しなければならない」(フェルナンデス印度国防相)
 ・「我々の潜在的脅威は中国からのものであり、パキスタンからのものではない」(フェルナンデス国防相)
 森本 敏 拓植大学国際開発学部教授 諸君1月号 平成17年度

 ・先日トヨタの技術関係者の話を聞いたら、トヨタとまったく同じモデルの車が中国の中を走っているので、そっくりその車ごと船に乗せて持って帰って、トヨタの技術研究所でバラした。そうしたら96%までが模造だったそうです。いまは車については中国も相当技術レベルが高くて、ほんの数パーセントを除いて、日本で生産したのと変わらないそうです。いずれにしても中国にとって、模造品を作って売るというのは、「文化」なのかもしれません。

 ・日本の対中投資などというのは、新幹線の輸出を含めて常にリスクを警戒しなくてはならず、無節制にのめり込むというのは一番危険なんです。それでも金儲けを考えると不節制に入り込んで、気がつくと技術だけをタダ同然で全部とられて追い出されている状態が過去に産業部分で起きているんじゃないか。新幹線技術やリニヤ、超伝導などは軍事技術にも転用できますから、要注意ですね。

 ・これから日米中という三つの国の関係を考えると、日本がアメリカときちっとした同盟関係を維持しないと、完全に梯子を外されるということになると思います。アメリカに従属するのではなく、単独完結性の高い防衛力というのを持ちながら、アメリカとよいパートナーシップを結ぶ道を模索しなければならない。さもないと、今回の潜水艦事件でも明らかなように、日中がギクシャクしても、アメリカは冷静に振舞うと思います。
 石井英夫 産経抄 著者 正論2月号 平成17年度

 「偉大な国家を滅ぼすものは、決して外面的な要因ではない。それは何よりも人間の心のなか、そしてその反映たる社会の風潮によって滅びるのである」と。
 国家は外敵の侵入によって滅びるとは限らない。内なる炉心融解によっても崩れていく。民族語を失いつつある日本も、決してその例外ではありえないだろう。
 青木直人 ジャーナリスト 諸君2月号 平成17年度

 米国は、核大国中国の存在を承認し、台湾を「一つの中国」に封じ込め、独立の動きを押さえ込んだ。日本の軍事的台頭に対しては日米安保で「瓶のふた」をし、朝鮮半島では南北の緊張激化と核保有を阻止することが確認された。

 北朝鮮処分に中国を引き出すために使われたのが、三十年前の合意だった。具体的に示唆した人物もいる。かってキッシンジャーの部下で、周恩来との会談にも同席したロード元国務次官補である。彼は外交問題評議会でこう述べている。「北朝鮮が核武装すれば、日本も核を持つ。中国に警告せよ」

 以後米中両指導者の会見ではかならず北の核問題と台湾の独立阻止がセットで登場する。つまり両国は単に北朝鮮の核だけを問題にしているのではなく、東アジア全体の枠組みを語り合っているのである。キッシンジャーが「北が核を放棄したら、日本と韓国もあらためて核放棄の誓約を行なうべきだ」と主張しているのは、それが中国に対して切った外交手形だからなのである。

 仮に北朝鮮処分が成功したら、北朝鮮経済再建のためにも、日本からの援助は不可欠になる。米国も要求するだろうし、中国もまた北と接触する東北三省の再建につながるジャパンマネーは大歓迎だろう。鴨緑江に現代的な橋をかけるだけで北朝鮮が東北経済圏とリンクするからだ。また大連経由で中朝間にモノが入ってくる。だが全てはカネ次第であり、米中の朝鮮半島再建構想に日本は朝貢するだけになりかねない危険性は存在しているのである。拉致問題が適当に手打ちにされる公算は否定できない。

 アメリカが中国を6カ国協議に巻き込んだのは、中国に北を処分させることで、地域の責任大国にしたいからであり、パックスアメリカーナーに中国を参与させたいからなのだ。中国と組んだ「東アジア共同体」構想の裏で米中が再接近している事実に無自覚だとしたら、言うべき言葉はない。
 高市早苗氏 近畿大学教授 正論3月号 平成17年度

 戦没者を如何なる形式で祀り慰霊するかという事も、出入国管理法という日本の国内法に基づいて行われるピザ発給のあり方も、自国の青少年に如何なる教育を       行なうかという事も、全て主権国家たる日本が自ら決すべき内政事項だ。他国による干渉は、明らかな「主権侵害行為」である。
 島田洋一 福井県立大学教授 正論3月号 平成17年度

 傍若無人な本性をますます露にしてきた中国政府にどう対処するか、“金正日の召使”盧武鉉が政権を握る韓国とどう付き合うか、中国やロシアが拒否権を握り無駄と無責任がはびこる国連という存在にどう関わるか、同盟関係といいつつ攻撃面を完全に米軍に委ね「専守防衛」に引きこもる安保政策を今後も続けていくのか。
 中川八洋氏 筑波大学教授 正論3月 平成17年度

 そもそも、防衛力を大削減して“自衛隊の解体”を密かに目論んできた真犯人は、防衛庁の内局である。防衛力の大幅削減という、一種の無血革命である今般の事態は、防衛庁内局が1989年11月の東欧解放を機に開始したもので、いわゆるマッチポンプで財務省にうまく責任転嫁したと考えるのが真実に近い。

 実際にも防衛庁は、ノドン・ミサイル対策としてMD(弾道ミサイル防御配備)を決定せざるをえない状況に便乗して、「自衛隊の準・解体」路線を政府に採らせることを画策し成功した。2003年12月19日の閣議決定「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」である。

 このタイトルでは、誰でも“MD導入”だと思うが、実はその核心部分は「自衛隊の大縮小」を宣言するマニュフェストであった。このことを国民の目から画すべく「MDシステムの整備」という迷彩服を着せたのである。防衛庁内局を牛耳る全共闘系出身者の赤い官僚らしいトリックである。この閣議決定「2003・12・19」は、次のように書いている。

 「陸上自衛隊については、対機甲戦を重視した整備構想を転換し、・・・戦車および火砲等のあり方について見直しを行い適切に規模の縮小等を図る」(416頁)

 この「規模の縮小等を図る」の表現は、陸上自衛隊(海自)の項にも空自の項にもあるから、「20012・9・11」が“国際テロ元年”ならば、「2003・12・19」は“平成の自衛隊解体元年”と言い得るだろう。しかも、この「12・19」という無血革命は、事前から周到に計画されていたもので、突然の便乗ではない。

 なぜなら、永年にわたって、防衛庁の内局は「防衛白書」を通じて、周辺国の対日脅威を「不在」にすべく、情報操作を積極的にやってきた。さまざまなデーターの改竄や歪曲を「防衛白書」が躊躇ったことは、ここ十五年ほどは一度もない。その手法は、文部科学省の赤い官僚たちが日本の子供たちの学力を低下させるべく「ゆとり教育」を導入したのと酷似している。いずれも1990年代半ばから顕著になった“中央官庁による上からの左翼革命”の一つである。
 ≪正論4月号 平成17年度
 日本にとって、最大元凶の脅威国・ロシアに関して、その脅威レベルを「北朝鮮>中共>ロシア」の順位にし、「北朝鮮よりも下」「中共よりも下」にしている。しかし、ロシアは、在日米軍や日本安保条約がなければ、瞬時にして北海道を軍事占領できる。いや、一気に太平洋岸を南下して千葉から東京一帯まで占領するだろう。しかも、日本の全ての都市はひとつ残らず空襲される。

 一方、北朝鮮とは、ノドン・ミサイル(約二百基、うち五〜六基が核弾頭、残りは化学弾頭)で日本の東京その他の主要都市を攻撃しても、日本に着・上陸する能力は全くない。特殊工作部隊の潜入はあろうが、佐渡島ひとつ占領できるわけではない。
 
 中共の脅威にしても、“不沈空母”台湾が日本の西に位置している限り、日本にとって巨大な軍事要塞の働きをするから、中共の対日脅威は「東風21号」「巨ナミ1号」など約百基の弾道ミサイル搭載の水爆だけである。つまり、沖縄への中共の上陸・占領は、台湾が独立国である限り、心配はない。
 前原誠司 衆議院議員 正論6月号 平成17年度

 桜井:ハンチントンが、イスラム文明、中華文明などが複数の国でグループを形成しているのに、日本文明だけが一国で文明を確立していると指摘していましたが、これも天皇制度と無関係ではないはずです。もちろん国民主権は重要ですし、日米関係は軸として守らなくてはいけませんし、同盟国がいてくれるのは天の助けであり嬉しいけれども、日本人が一人で立つ状況がいつきてもやっていける心意気を我々は忘れてはいけないと思います。孤立というか孤高のその精神を良い意味で保持するためにも、象徴として天皇制度が第1章にあってしかるべきかなと思います。どう見ても、ほかに心のよりどころを求めるのは難しいです。

 前原:天皇及び皇室制度に求めるかについては、私には定見がありませんが、日本人が日本人としての自立心を先ず持つことの大切さについては同感です。私の恩師である高坂正尭先生は「一国に頼りすぎると国民に依存心が出てきて、国のあり方にも関わってくる」とよく言っておられました。政治の根幹は夜警国家というと御幣がありますかもしれませんが、治安や国防を先ずきちんとやりとげるというのが大切な役割です。その国防を他国に丸投げするかのように依存していては、国民の自立心は喪われ、内在的な意識が他の何ものかに安易に依存することになってしまうのではないかといく危惧は感じます。
 岩瀬正則 京都大学教授 諸君7月号 平成17年度

 中国の「石油・鉄喰い」が世界を亡ぼす
 
−省エネ無視で資源を大量浪費し、地球環境悪化も平気の平左。こんな無責任国家は中国だけだ。

 現在、日本のGDPは世界の12%を占める。いっぽう中国のGDPは世界の4%で日本の三分の一だ。ところが中国の石油輸入量は日本を上回り、石油の全消費量は日本の二倍以上である。GDPは日本の三分の一なのに、石油消費量は日本の二倍。これでも無駄遣いでないといえるのか。

 日本鉄鋼業と他の産業の技術力の差は、入社5年後の指導する立場学ぶ立場の差に相当する。

 ≪低性能小型高炉が乱立
 日本で現在稼動中の高炉はわずか28基だが、中国には高炉が900基もある。いかに小型高炉が多数建設されているかがわかる。
 同一の設計図面を使って。小型高炉を何基建設する。ドイツの古い小型高炉が、つまり環境対策不十分でかつエネルギー効率が悪いので使用できなくなった高炉を解体して中国に運び込み、再使用しているともいう。これは環境対策、資源有効利用を最優先とするハイテク高炉技術の世界から見れば完全な常識はずれ、というよりもむしろ暴挙に近い。

 ≪日本には原燃料備蓄基地が必要
 日本政府は、アメリカ産業にはまったく勝ち目のないIT産業を育成しょうとし、ひいき目に見ても世界の三流としか言えない宇宙開発や、どう転んでも可能性のない核融合に莫大な資金をつぎ込もうとしている。こんな無駄遣いをするくらいなら、技術力世界ナンバーワンの鉄鋼につぎ込む方がよっぽどましだ。イギリス産業革命以来、いかなる産業であろうと、技術のトップランナーは白人国だった。黄色人種がトップランナーになったことなど、鉄鋼業以外には絶無だ。明治維新以来、追いつき追い越せと必死に努力したが、技術力で世界トップになったのは、鉄鋼しかないではないか。
 佐々淳行 初代内閣安全保障室長 諸君8月号 平成17年度

 1.1950年朝鮮戦争に百万の大軍を派兵、米韓、国連軍と大戦争を行なった。

 2.1950年チベットに侵攻、「自治区」という形で属国化し、これに反抗した59年のチベット動乱では富裕層、地主、僧侶らを大量殺戮し、ダライ・ラマ十四世はヒマラヤを越えてインドに亡命した。その後もパンチェン・ラマの急死などからチベット蜂起が起き、犠牲者の数は全人口の五分の一、百二十万人にのぼるといわれる。

 3.中印戦争1959年
 チベット蜂起を契機にヒマラヤの国境線をめぐる国境紛争に始まり、62年10月には大規模な「中印戦争」に発展した。インド軍の戦死者数千。この歴史的事実を中国の教科書には記述されていない。

 4.同じ頃、「北狄」にあたるモンゴル、新疆ウイグル自治区の分離運動に対する漢民族化弾圧も流血の惨事となっており、爾来中国国内の少数民族対策、とくにイスラム教徒の弾圧は、「西戒・北狄」弾圧といえよう。

 5.最大の「北狄」ソ連との中ソ対立は、イリ、アイグン、ネルチンスクの帝政ロシア時代の三大国境条約をめぐって多年にわたって続いている。中国の地理の教科書ではシベリア、樺太まで中華帝国の版図として色分けされていた(中華大革命の頃筆者も実物を見ている)。文化大革命華やかなりし1969年3月には中ソ国境を流れるウスリー川の小島ダマンスキー島で遂に軍事紛争が勃発した。

 6.南蛮に対する侵攻は、1965年から10年間に及ぶベトナム戦争で、空軍パイロットや軍事顧問派遣などで北ベトナムを軍事支援したほか、1979年にはベトナムがソ連の支援を受けて中国の傀儡政権ポルポトを打倒して、ソ連寄りのヘンサムリン政権を樹立した際、ポルポト支援のため中国は二十万人の大軍をもって国境を越えてベトナムに侵攻した。
 中嶋嶺雄 国際教養大学学長 諸君 平成18年2月号

 《軍事的膨張の理由》
 1.国内治安のコントロール
 2005年来、暴動やデモとなると出動するので、お馴染みになった人民武装警察部隊。これは警察とは指揮系統を異にする、いわばソフトな軍隊で、現在、二百万人ほど配置されている。

 2.台湾への軍事介入のため
 伊藤 貫 国際政治アナリスト 諸君 平成18年1月号

 ・2005年初頭にCIAの国家情報会議が公表した「2020年予測レポート」では、「今後、世界で最も大規模な戦争が起こり易い地域は、東アジアである。朝鮮半島と台湾の情勢は、2020年までに危機的な状況になるだろう」と分析されている。

 《「軍民結合平戦結合」という国家体制の危険性》
 ・中国の国家体制における人民解放軍の重要性を明確に説明する「国家戦略の十六字政策」と呼ばれるものがある。この十六字政策とは、「軍民結合平戦結合以民養軍軍品優先」の十六字である。その意味は、「中国の民間経済成長と軍事力強化は結合したものであり、平和な時代に次の戦争の準備を進め、民間経済の成長によって軍備拡大を養い、民間の重要よりも軍需を優先させる」というものである。

 ヒットラー・ムッソリー二統治下の独伊両国も、「軍民結合・平戦結合・以民養軍・軍品優先」を実践する軍事国家であった。

 《アメリカの「核の傘」があると信じるのは幻想》
 ・「核の傘は、実際には機能しない」という事実は、1950年代から、数多くの欧米の軍事学者・国際政治学者によって指摘されている。キッシンジャーは、「超大国は同盟国に対する『核の傘』を保障する為に、自殺行為をするわけがない」と述べた。CIA長官を務めたターナー元海軍大将も「もしロシアが日本に核ミサイルを打ち込んだ場合、アメリカがロシアに対して核攻撃をかけるはずがない」と語っていたではないか。

 ・「米国の提供する核の傘」とは、所詮、フィクションにすぎず、自主的な核抑止力を持たぬ国が、集団的自衛権を発動して中朝露等の核武装国を相手とする戦争に参加しょうとするのは、最初から非論理的な話なのである。

 《ミサイル防衛システムでは、日本を守れない》
 《日米同盟だけでは日本を守れない》
 《実現可能は核巡航ミサイル保有論》
 ・アメリカは所詮、覇権主義国家であって、巨大な中国に対抗して日本を「保護」することが自国の国益にならないと計算すれば、日米同盟を無効化する行為をとる筈である。我々が2020年頃の中国の巨国化と日米同盟無効化の可能性を真面目に考慮すれば、「そのような事態に備える為、今から自主的な核抑止力構築を始める必要がある。核抑止力の構築には十五年はかかるのだから」と考える筈である。
 --------------------------------------------------------  -----------------------------------------------------------
 「正論5月号、平成19年度」

 ・マイク・ピルズバリー博士(米国防大学の中国専門家)
 「中国は着々と軍事力を増強しており、しかも自分たちの本当の軍事能力を隠している。今後の中国は、アメリカ史上で最も手強い敵国となるだろう」

 ・ジョン・ミアシャイマー教授(シカゴ大学教授)、サミュエル・ハンティントン教授(ハーバード大学)、ケネス・ウォルツ教授(コロンビア大学)らは、日本の外交政策・防衛政策はは、日米同盟に頼っているだけでは不十分だ、と指摘しています。

 ・ミヤシャイマー教授は、中国がアジア最強の覇権国になろうと着々と経済力・軍事力を増強させていることは日米両国にとって危険なことであるとし、アメリカはいつまでも東アジア地域を支配する能力を維持できないのだから、日本人が今後、中国覇権の支配下に入ることを拒否したいのならば、「日本は、自主的な核抑止力を持たざるを得ない」と分析しているのです。

 ・コーネル大学とロンドン大学で国際政治を研究し、ジョージタウン大学から博士号を得たマーク・カーク議員(連邦下院軍事委員会メンバー、共和党)
 「アメリカは、核武装したロシアや中国と戦争するわけにはいかない。今後、中国の軍事力は巨大化していくから、アメリカが中国と戦争するということは、ますます非現実的なものとなる。だから日本は、自主的な核抑止力を持つ必要があるのだ。『東アジア地域において、日本だけは非核のままにして起きたい』などと言うアメリカ人は、間違っている。現在の日本には、自主防衛力が必要なのだ。日本は立派な民主国家なのだから、もっと自分自身に自信を持って、自分の国の防衛に自分で責任を取るべきだ」

 ・ケネス・ウォルツ教授(コロンビア大学)
 「日本には自主的な核抑止力が必要だ」

 ・伊藤貫氏(国際問題アナリスト)
 「日本はいま米露中という三つの覇権国に囲まれていますが、19世紀のドイツも三つの覇権国に包囲されていました。−フランス、イギリス、ロシアです。ビスマルクは、ドイツは下手するとこの三つの覇権国に包囲されたまま袋叩きにされる可能性があると認識していました。そこでビスマルクは、ドイツはどの覇権国がドイツにとって最も危険かを理解したら、残りの二国とは友好関係を維持しておかなければいけないと考えたのです。残りの覇権国が共同してドイツに対する包囲網を形成するようなことを極力さけなければならない。
 このビスマルクのレッスンに学べば、日本が日米同盟を切るという選択は非常にまずい政策なのです。中国が中華勢力圏を形成しょうとしている現実を前に日米同盟を切ったらどうなるか。中国の脅威を正確に認識すればするほど、残りの米露二国との関係をどうすべきかは自明となる。それを誤ると日本は本当に危ういことになります。」

 「私見ですが、『国務省』のアジア局の8割方はー対日政策の担当者も含めてー、米日関係よりも米中関係を優先させる親中派だと見てよいと思います。これはクリントン政権がブッシュ政権に代わってからも同じなのです。彼らは、中国が東アジアで中華勢力圏をつくるのは仕方がないし、台湾が併合されてもやむを得ないと考えている。それに異を唱えているのは今や『国防総省』だけです。困ったことに日本の外務省は、いまだに国務省と協調していればうまく行くと思い込んでいるらしい。」

 「戦後のアメリカ政府には一貫して、日本を弱い立場に封じ込めておこうという考えがあります。日本には実力がないとして日本の発言権を軽視しておきながら、日本が力をつけようとすることには懸念を表明する。」

 「元中国大使でCIAの中国部長も努めたこともあるジェ−ムズ・リリーさんが、アメリカ人は中国人にすぐ騙されると言っています。彼は中国生れで中国育ち、中国語がペラペラで大変な中国通です。彼は、米中はお互いに競争し、封じ込めを図っている関係にありながら、口先ではお互いに戦略的パートナーとかステークホルダーなどと持ち上げている。両方とも嘘をついていることは百も承知なのだけれども、どうも結果的にアメリカ人の方が中国人に騙されることが多い、という。」

 「親米保守の中には、日米同盟さえ維持しておけば日本は大丈夫と言い切る人が多いのですが、実は大丈夫ではない。過去500年間の国際政治のバランス・オブ・パワーとは、そんな単純なものではない。自主防衛能力を持たない国の同盟政策は、とても脆いものなのです。(中略)核保有の可能性も含めた自主防衛の努力を日本がしなければ、日米同盟は真の同盟関係とはいえない。」

 ・中川昭一衆議院議員、自民党政調会長
 「彼らは私の提起を真摯に受け止める気がないのかもしれません。保守派と思われる人たちからも、日本の核保有は非現実的であるとして、日本がNPTの加盟国であること、査察を受け入れるIAEAの追加議定書の批准国であること、また日本が核開発のためにNPTを脱退すれば、日米原子力協力協定に従って日本の核燃料サイクルは停止させられ、原子力発電は止まることなどを挙げて、「いま言葉だけ勇ましく叫ぶことに何ほどの現実的裏づけがあるのか」と批判されましたが、そうした初歩的なことは私も十分に知っているのです。」

 ・伊藤貫氏
 
「まだ少数派ですが、核に関して「マネッジド・プロリファレーション=managed proliferation」という考えを提示する政治学者もいます。要するに、きちんと管理されて上で日本への核の拡散を認めるという議論ですが、ケネス・ウオルツ、ミヤシャイマーのほか、軍事学者のピーター・リーバマン、テキサスA&M大学のクリストファ・レーンといったとても優秀な学者たちが、日本に対するマネッジド・プロリファレーションの必要性を主張しています。」

 「日本の手足を縛って危ないところに置いておきながら、『集団的自衛権を行使しろ、アメリカと一緒に戦え』と言ってもそれは無理です。中国の覇権主義に対抗できる、それを押し返す国防力を日本が持つことが、今度数十年のアメリカの利益にかなう同盟のあり方であるという考えです。

 「役人と国際政治学者がグランド・ストラテジーを考えなければならない」

 「日本の国際政治学者の現状を観察すると、彼らの思考能力の低さを嘆かざるを得ない。こんなことを口にすれば、私は彼らから大いに嫌われるでしょうが、私がアメリカから日本を見ていて歯痒く思うこと、最もフラストレーションを感じるのが、実はこれなのです。

 「二つの地域で戦争する能力を失ったアメリカと同盟しているだけで日本の安全保障は万全などとは到底言えないのです。しかも中国の経済力と軍事力は毎年目覚しく増強しており、米中間のパワー・バランスは着々と中国に有利な方向にシフトしています。マルチ・ポラー(多極構造)の時代がやってきているのは、最近のロシアをみても明らかですね。だから日米同盟にベタベタと依存し続ける安易な態度を改め、日本の自主防衛という問題を議論しなければならない。まともな国際政治学者だったらこう考えるはずだと思うのですが、どうもそういう方向には行かない。アメリカが事実上インドの核弾頭増産を支援する政策を決定したのも、アメリカ自身がマルチ・ポラーに移りつつある世界構造を認識しているからで、日本もそれをふまえた対応をすることが大切です。
 --------------------------------------------------------  -----------------------------------------------------------
 「多極化する世界、自主防衛を迫られる日本」 「日本の正道」(PHP)

 <1920年代のケインズは「金融緩和によるデフレ脱却」を主張>
 <2%程度のインフレ率は適切」と見なす主流派経済学の考え方>
 <主流派経済学から見て、日本は増税の必要がない>
 ・私自身も、日銀の課長クラスの官僚と一対一で金融政策の議論をしていて、彼らが欧米の著名な経済学者の著作と論文をきちんと読んでいないことを発見して、幻滅したことがある。日銀官僚は、「金融政策のエキスパート」というポーズをとっているが、実際には不勉強な連中が多い。
 とにかく、日本経済に1%のインフレ率すらないときに、日銀が金利を上げたのはおかしい。日銀はインフレ率が1.5%を過ぎてから、金融を占めるべきである。
 政治家の皆さんがリーダーシップを取って、欧米の中央銀行と同様に、「日本も2%のインフレ・ターゲットを目指す」という政策を実現してほしい。その目標を与えたうえで日銀に独立して政策を運営させれば、名目GDPの成長率4%もしくは4.5%を達成できる。
 そうすれば、毎年の税収は10数パーセントずつ自然に増えていく。これが5年間続けば、今の財政問題は吹っ飛んでしまう。増税が不必要となるばかりか、おそらく支出削減もあまり必要ではなくなってくるだろう。

 <110年間、一貫して変わらないアメリカの対日戦略の概念
 ・ブレジンスキー元安全保障補佐官:「日本の自衛隊は米軍の補完部隊」としての機能しか持たされておらず、「日本外交の道具として使用できるものではない」と述べている。ブレジンスキーは、「戦後の日本は、アメリカの保護領にすぎない」と言う。

 ・レフラー教授やテキサスA&M大学の国際政治学者、クリストファー・レイン教授:「戦後の対日政策の本質は、ダブル・コンティンメントである」と言っている。つまり、「まず、日本が独立できないように封じ込めておき、その封じ込められた日本をアメリカ外交の道具として使用して、ソ連や中共を封じ込めておく」という政策なのである。

 占領軍憲法と日米同盟によって日本が自主防衛能力を持てないようにしておきながら、自衛隊にある程度、米軍の補完部隊として役に立つ通常戦力を持たせておき、それを「ソ連封じ込め」や「中国封じ込め」のために利用するという戦略思考である。(中略)アメリカの「親日派」の本音は、対日ダブル・コンティンメントのシステムを21世紀になっても維持することだ。⇒しかし、日本が中国やソ連を封じ込められなくなったらどうするのか(真中)

 ・マイク・マスタンドウ−ノ(ダートマス大学):「アメリカ政府は、日本が『普通の国』にならないように、日本政府を説得する努力をしている」と書いている。日本が「自分の国は自分で守る」という「普通の国」になることを、アメリカ政府は阻止しょうとしているのである。これが、ダブル・コンティンメントのエッセンスである。 

 ・カート・キャンベル(クリントン政権時代の国防次官補):「日米同盟を維持しないとネガティブな結果が出てくるから維持するのだ。それは、@日本が軍事費を増やすこと。A日本がアメリカ以外の国とも軍事同盟関係に入ること。B日本が自主的な核抑止力をもつことである。」この3つを日本にさせたくないから日米同盟を続けるべきだ、というのである。⇒安倍政権はAに挑戦している

 <日本が普通の国になることなんか許さない
 ・1994年、私は当時ペンタゴンで日本部長を努めていたポール・ジアラ海軍中佐のオフィスに遊びに行き、彼とも二時間ほど議論した。当時、小沢一郎氏が著書『日本改造計画』(講談社)の中で「日本は『普通の国』になるべきだ」と論じていたが、ジアラ日本部長は「小沢はとんでもないやつだ。我々は、日本が『普通の国』になることなんか、絶対に許さない」と言った。

 当時、北朝鮮の核開発が話題になっていたが、ジアラは、「たとえ朝鮮人が核兵器を持っても、アメリカ政府は日本人だけは核を持たせたくない。これは絶対譲れない政策だ」とも述べた。さらに、「この政策には民主党だけでなく、共和党も賛成している」と明言した。

 このクリントン政権の「東アジア地域において、日本にだけは決して自主的な核抑止力を持たせない」という政策は、「親日的」ということになっている現ブッシュ政権も維持している。

 ・1972年2月、ニクソンとキッシンジャーが北京に行って周恩来と協議したとき、彼らは日本に関する三つの密約を結んだ。ニクソンがその場で書き取った手書きのメモが、まだ残っている。

 その一つは、日本には核を絶対にもたせない。二つ目は、米軍は、日本の独立した外交政策・国防政策を阻止するため、日本に駐留を続ける。三つ目が、日本政府には台湾問題と朝鮮半島問題で発言権を持たせない。

 私には国務省とCIAにアジア政策担当官の友人がいるが、彼らはブッシュ政権になった現在でも、この米中間の三つの密約は有効だと述べている。つまり、日本が北朝鮮政策でいろいろと動いてみても、アメリカと中国が二国間で何か決めてしまえば、日本政府がやっていることは無効になってしまう、という外交構造があるということである。

 そのことに注意を払わないと、日本は馬鹿を見るということになる。ブレジンスキーも2006年に、「現在の米中政府間には、日本人には核を持たせない、という秘密の合意がある」と、公開の外交シンポジウムの席で発言している。(124頁)⇒「核兵器を持つと、同盟関係が不必要になる」。「対日ダブル・コンテインメント」政策が崩壊してしまうからである。

 「2015年には一極構造が壊れて、多極構造になる」
 <世界が多極構造に転換せざるを得ない5つの理由>
 1.チャイナ・ファクターである。
 2.核兵器の持つ「非対称的抑止」の効果である。核弾頭の保有数が「非対称」であっても、核保有国同士は戦争しないという現象である。又、ゲリラ戦やテロリズムは「非対称的戦争」と呼ばれるが、この現象も、巨大な軍事国家であるアメリカの他国に対する威嚇力を削減している。アメリカがアフガニスタンとイラクの戦争に失敗しているのを見れば、この「非対称的戦争」というものがいかに厄介なものかが理解できる。
 3.いつまでドルが国際基軸通貨であり続けられるか。
 4.アメリカが世界を支配し続けるためには、三つの地域(ヨーロッパ、中東、東アジア)を支配しなければならない。この支配力を確保するためには「二つの地域で同時に戦争して勝つ」という軍事力が必要である。しかしアメリカは、もうその能力を持たない。実際、最近のアメリカは、イラク占領を続行するだけで、「海兵隊と陸軍の兵員が足りない」と困っている。だから北朝鮮と中国は、「中東の戦争に失敗しているアメリカは、もう東アジア地域で軍事力を行使する能力を持たない」と認識し、外交交渉でアメリカに譲歩しないのである。
 5.国内の諸問題が悪化するから、ヨーロッパやアジアを支配することを諦めて西半球に戻ってくるだろう(ハンチントン教授)

 <対米依存の外交政策の継続は知的怠惰だ>
 ・中国とロシアはアメリカの中東政策の失敗を利用して、自分達の勢力圏を着々と強化している。
 ・東アジア地域では、中国が覇権国となるだろう。日本が今後も独立を維持したいのなら、自主防衛能力をもたざるを得ない。多くの親米保守派の論客のように対米依存主義の外交政策の継続を主張するのは、知的に怠惰であり、道徳的にも間違った態度である。

 北村 淳 戦略地政学者 正論10月号 平成18年度

 ・戦略論的思考を身に付けている米軍関係者にとって何より理解しがたいのは、何故日本では「侵攻戦略をとらない」ということが「相手から武力攻撃を受けた時にはじめて防衛力を行使する」へと飛躍してしまうのかという点なのである。

 「相手から武力攻撃を受けてときにはじめて防衛力を行使する」という原則は消極的自衛戦争と呼ばれ、確かに侵攻戦争の対極に位置づけられている。しかし、彼らの多くは戦略論的思考のトレーニングを受ける過程で古今東西の軍事外交史を学び、「日本のような国土が狭小で天然資源にも恵まれない周囲を海に囲まれた島国にとって消極的自衛戦略は絶対に避けねばならない原則である」と教え込まれるのである。そして、日本や英国が遵うべき戦略は、「敵が自国領内に攻め込んでくる前に、自国領内から積極的に打って出て、敵の侵攻軍を海洋にて撃破する」という積極的自衛戦略であることもいわば常識となっている。

 ・侵攻戦略を取らない以上、残る選択肢は積極的自衛戦略と消極的自衛戦略の二つしかない。しかし、その選択は国防政策の都合で決定されてはならず、日本が置かれている地理的諸条件によって一義的に決定されているのである。

 ・われわれ日本人も、専守防衛について、「敵が日本領内に攻め込んでくる前に、日本領内から積極的に打って出て、敵の侵攻軍を海洋にて撃破する」という軍事常識に従った解釈を受け容れなければならない。
 -------------------------------------------------------  ----------------------------------------------------------
 「日本の正道」(PHP)

 「海洋戦力を増強し、中国に対抗せよ」
 <硫黄島戦いは何を教えているか>
 <日本の防衛は「海洋主義」が要>
 ・過去百年間に日本が関わった戦いから導き出される教訓は、日本という国は、海の守りが弱いと必ず国が立ち行かなくなるということだ。海の守りを万全にするということが、本来日本が採用すべき国防の原則なのだ。

 日本の周辺海域やシーレーンの安全が確保されなければ、経済活動はなりたたない。その意味で、日本は海洋中心の軍備を構築しないといけない。海洋というのは、海上だけでなく海中も上空も入る。つまり、海洋国家日本の軍備とは、海上自衛隊と航空自衛隊が主体でなければいけないということになる。

 ところが、日本のシステムは、予算も人員もすべて陸上自衛隊が中心になっている。それで本当にいいのか。

 <ミサイル防衛の限界>
 <日本は長距離巡航ミサイルを持て>
 ・可能なオプションは何かというと、長距離巡航ミサイルをアメリカから買って配備するのだ。アメリカは有名なトマホークという長距離巡航ミサイルを日本に輸出したがっているし、同盟国に長距離巡航ミサイルを配備するということは彼らの戦略にも合致する。しかも、海上自衛隊はトマホークを撃つ能力はもう現に備わっている。

 <中国、原子力潜水艦の脅威に対抗せよ>
 <海洋戦力を中心に、自衛隊を再編せよ>
 ・中国内部の論文を見ると、中国は2050年までに西大西洋とインド洋でアメリカ海軍に絶対に大きな顔をさせないという構想をもって海軍力をつけているようだ。(中略)私の見るところ、このまま推移すれば、5年後の2012年には、中国の海洋戦力は日本のそれを圧倒することになると思う。
 -------------------------------------------------------  ----------------------------------------------------------
 「正論」平成19年9月号

 「集団的自衛権」論議に決定的に欠けているもの

 <内閣法制局のメンツと国防政策>
 「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」といった集団的自衛権の定義そのものが問題だと思う。

 この定義は誤りではない。しかし、「日本の防衛と直接的に無関係な地域に自衛隊を送り込む軍事行動を展開するためにこそ集団的自衛権が行使される」といったニュアンスを醸し出している。

 このようなs状況が集団的自衛権行使を名目として生み出される可能性は否定できないが、それは集団的自衛権の限界事例だ。内閣法制局がこのような例外に近い事例を想起させるがごとき定義を用いる真意は、伝統的に集団的自衛権行使を憲法解釈上否定してきた内閣法制局の面子を維持し、集団的自衛権の行使を思いとどませる邪な党派心と考えざるを得ない。「局益あって国益なし」とはこのことだ。日本国民の生命財産に危害が及んでしまう以前に、内閣法制局の横車から国防政策を救わなければならないと思う。

 <集団自衛権の国際的標準定義>
 米国国防総省は集団的自衛権をあっさりと「締約国軍を防御する行為」と定義している。

 NATO、NORAD:「国家間の約束に基づき、その約束を締結した国々が、その約束に同意している国々を外敵の軍事的脅威から協力し合って防衛するために、個々の締約国がそれぞれ保有する権利」

 <集団的自衛権行使の軍事的意義>
 ・それぞれの締約国が集団的自衛権を行使することを前提とすることで、NATO締約国への軍事攻撃には共同防衛が発動されることが、期待でなく、確実にされている。したがってNATOが存在する限り、いずれかのNATO加盟国の領域に軍事行動を敢行する場合、全加盟国を敵に回す覚悟が必要となってくる。

 <日本にとって必要な集団的自衛権行使とは>
 鉄則1:日本の領土内で外敵と戦うことを前提としてはならない。
 鉄則2:日本の国民経済の生命線ともいえるシーレーンの安全を絶対的に確保する。

 《国防戦略上集団的自衛権の行使=共同防衛が必要な分野》
 1.弾道ミサイル防衛=米国との共同防衛
 2.オイル・シーレーン防衛=沿岸諸国・関係諸国との共同防衛

 <弾道ミサイル防衛と集団的自衛権の行使>
 <シーレーン防衛と集団的自衛権行使>
 <中国海軍>
 <中東情勢>
 ・ホルムズ海峡でシーレーンが軍事的脅威を受ける事態は「日本への急迫不正の侵害」であり、自衛の対象なのだ。原油の安定供給を確保して国民生活を維持するために遠隔地でのシーレーンを防衛するだけの自主防衛能力が日本には存在しない以上、多国籍軍等の共同防衛が、日本国民の生命財産を守るための集団的自衛権行使といえる。

 ・多国籍軍への参加は、国民生活を原油供給途絶の危機から守る共同防衛行動となる。

 <集団的自衛権の行使は、米国への機嫌取りではない>
 自主防衛能力の欠如を補う為の抑止力確保のためにこそ、「集団的自衛権の行使」が容認される、という認識を明確に持たなければならない。
 「集団的自衛権を保有すれども行使できない」という内閣法制局の解釈に拘束され続ける限り、日本は共同防衛といいう強力な抑止力の恩恵にあずかることを自ら捨て去ることになってしまう。
 --------------------------------------------------  -------------------------------------------------------------
 「なぜ海上自衛隊は弛んでいるのか」
 <本質的原因は憲法9条>
 <海上自衛隊は海軍か?>
 ・日本の軍事常識が国際的標準から完全に乖離してしまっている現状です。
 ・即刻、全ての自衛隊用語は国際標準語に戻す必要があります。

 <「あたご」は沈められる運命>

 <常に戦闘に備えよ>
 <9条は国民を危険に晒す>
 <海賊にも手を挙げるだけ>
 ・日本国民を外敵の脅威に晒すような理不尽な環境をつくりだしている根源こそ、憲法9条に関連して登場した専守防衛という語の誤った解釈なのです。

 <「専守防衛」の意味>
 ・根本的原因は空想的平和主義者達によって専守防衛の誤った解釈が日本社会に広く浸透してしまい、「戦闘集団でなければ国民を外敵から護ることは出来ない」という国際社会での国防意識が日本では通用していないことにあります。

 日本を取り巻く地政学的状況がますます厳しくなっている現在、このような非常識が国防関係者や多くのマスコミに浸透してしまっている状況は早急に正されなければなりません。

 それには「外敵の軍事的攻撃が開始された際に初めて反撃することが出来る」といった専守防衛の誤った解釈を否定し、「侵略的軍事行動は断固として行わないが、外敵の軍事的脅威は同盟関係も含めてあらゆる合法手段に拠って撃退し、外敵には日本の国土を犯させない」という専守防衛の正しい解釈を日本政府が宣言することが先決です。

 同時に、シビリアンコントロール原則の下で軍事組織を統制する国会議員ならびに国民自身が「防衛省・自衛隊は如何なる時にでも戦闘を意識した軍事組織でなければ国防の任を全う出来ない」との共通理解を持つことが必要であるといえます。

 このような意識改革が芽生えることこそが、今回の事故の悲しく苦い経験を日本の正しい防衛に生かすことになるわけです。(北村淳 戦略地政学者 「WILL-2008年5月号」)
 樋口譲次 元陸上自衛隊幹部学校長 正論10月号 平成18年度

 ・国防政策の策定に当たっては、まずは「国家目標」を出発点として「国益」とは何かという命題を明確に定義しなければならない。ついで、「国益」を実現する為の「国家戦略」」が必要である。防衛省は、この「国家戦略」に基づいて、我国の国防を達成するために必要な内容を網羅した総合的な「国防戦略」を策定する。この「国防戦略」が、防衛省の所管で具体化される「軍事戦略」および関係省庁が所管する「国防支援戦略」に対して所要の指針を付与する。そして、各省庁は、それぞれが担当する戦略を実行する為の事業を予算化し、政策として実施に移すという手順・手続きになる。この際、防衛省は、国防を主管する立場から、「国益」の定義並びに「国家戦略」の策定に参画するとともに、所掌する「国防・軍事戦略」の作成を担任することになる。

 ・シビリアンコントロールとは、クラウゼヴィッッが述べているとおり、「政治の手段としての軍事」あるいは、「政治目的に従属する軍事」という政軍関係の本旨を担保する制度であり、「主権を持つ国民又はその代表である国会の意思によって自衛隊が整備・運用される」ことである。

 ・戦前の失敗に懲りる余り、不必要で過剰な文官統制を維持しょうとするこの体制は、最近の国政のおける官主導から政治主導への転換を図るん流れにも全く逆行するものであり、国防組織の効率的な目的遂行を疎外する元凶といえる。それのみならず、度々指摘されてきたように、軍事組織には絶対に許されない軍令(自衛隊の指揮運用)上に致命的な問題を生起させる恐れがあるのである。

 軍令は、指揮官が付与された指揮権に基づき、一定の指揮系統を通じて行使し、その結果に対し全面的な責任を負うことによって成り立つものである。そこに、指揮権並びにそれに伴う責任を有しない第三者、例えば「国民に対して責任を負わない役員(内局の官僚)が介在・介入すれば、』軍事的合理性、一貫性、適時性あるいは責任体制などに齟齬、混乱を来たすなど重大な問題を生じることは必定である。

 ・国防とは、軍事力に加え、外交努力や経済協力、非常時の必需品の備蓄や民生の安定、あるいは同盟関係の強化などの国家的な施策を総合的に推進し、国防の目的を達成すると言う広い意味を有している。一方、防衛とは、主として、有事に際し、軍事力の役割を中心として国防の目的を達成するというやや狭い意味に使用されている。

 このように、国防と防衛とは、全体と一部、あるいは広義と狭義の関係にある。すなわち、防衛のみを所掌するだけでは国防を全うすることはできない。それ故に、「防衛の基本方針」ではなく、「国防の基本方針」とされているのである。
 佐藤 守 軍事評論家 「正論」2007年12月号

 <台湾の独立を理解する要諦>
 ・台湾はもともと台湾であり、大陸の支配とは一切無関係なのである。
 ・85%を占める本省人を、15%に過ぎない外省人が支配するという非合理を払拭すること、これが台湾が求める独立の要素だ。
 ・台湾の見方に基づけば、中華民国は、大陸を脱出した時点で消滅したという考え方になる。
 ・台湾人は大陸からの独立ではなく、中華民国からの独立を望んでいるのだという結論になる。
 福田和也 文芸評論家・慶応大学教授 「正論」2007年12月号

 「国防基本方針」
 ・日本が自国を防衛する、そのための努力をしないで条約上の地位だけを要求するのは、何とも無自覚な要求と受け取られても仕方がない。
 ・アメリカにたいして、相対的な対等性を確保するためには、国防力についても相対的な対等性を確保しなければならない。
 ・有体に言えば、兵器については米軍の「お下がり」ですませればいいということである。整備についても、米軍頼みという状況であった。
 横田由美子 ルポライター 「諸君」平成19年12月号

 ・有事の際を念頭に入れると、我々にはある程度の権限が必要なはずなのですが、統合幕僚長でさえ肩書きに見合った権限を持たない。参事官に制服組を入れるべきではないかという意見は根強い(制服組キャリア)
 菅原喜之 69歳 京都府宇治市 無職

 ・今回の不祥事を機に、大臣はじめ、トップ陣は、三軍から選び、政治家や文人の方々、御遠慮願いたく人材陣を構築して欲しいものだ。
戻る 次へ