■ 記録的豪雨の室蘭市内、後始末に住民ら大わらわ
【2008年7月24日(木)朝刊】


 23日未明の記録的な豪雨に見舞われた室蘭市内は、線路復旧や土砂撤去などで徐々に元の姿を取り戻した。室蘭地方気象台は同日夕、胆振・日高全域の大雨、雷注意報を解除した。一方、道路が冠水した室蘭市輪西地区では80戸以上が床上、床下浸水の被害に遭うなど、局地的に大きな後遺症を残した。
(石川昌希、粟田純樹)


◆――― 室蘭・輪西で80戸以上が浸水

室にたまった水をバケツで取り出す藤森さん夫婦=23日午前11時55分 室蘭市内では、多くの民家や商店などが被害に見舞われ、市職員らが民家を回り、被害状況を確認したり周囲に消毒剤をまくなどの処置を施した。

 市防災担当によると、職員20人ほどが、排水溝からわき出た雨水や汚水などを消毒するため、路地裏や土間などに消毒剤を散布。2人1組で同町の民家などを訪問し、床上、床下浸水などの被害状況を確認して回った。

 同町に住む藤森英夫さん(69)、ノリ子さん(65)夫婦の住宅は、1階台所床にある室が高さ40センチほどのところまで浸水した。午前9時ごろからホースで吸い上げていたが、20センチほどの高さになってからは2人のバケツリレー。12年前の夏にも同様の被害を受けており、「この作業で1日が終わってしまいますね」とノリ子さんは苦笑い。

 一時は敷地内に駐車している乗用車のバンパー付近まで水位が上がり、「湖の中に家があるみたい」と不安げに振り返った。町内では近隣住民同士で屋内の様子を確認し合うなど、猛雨は市民に暗い影を落としていた。

◆――― JR室蘭線、特急など41本運休し6千人に影響

JR室蘭線の運転再開に向けて急ピッチで作業を進める作業員=23日午後11時ごろ、幌萌町 JR室蘭線では、幌萌町の斜面から土砂が線路約30メートルにわたり流れ出た。作業員約20人が重機などで土砂を運び出し、午前11時ごろに作業終了した。同線の特急・普通など計41本が運休し、乗客約6000人に影響が出た。工事作業を見つめていた男性(66)は「まさかこんな所で起きるとは」と自然の猛威に驚きの様子。

 室蘭市の午後6時現在の被害状況は、床上浸水が59戸、床下浸水38戸。登別市では床上1件、床下9件となっている。

 室蘭署や室蘭市によると、輪西町1帯が冠水したため、母恋東町通線の御前水3までの約2キロ区間を午前7―9時まで、全面通行止め措置を取った。

 また、市道緑町通線が幅3メートル、長さ10メートルにわたり陥没、午前6時から車両の通行を禁止、24日から復旧作業を進める。このほか、中島町の道道中央東線と市道大沢町3丁目1号通線でも一時通行規制が実施された。

 道警交通管制センターによると、道央道の室蘭―伊達間で土砂崩れが発生し、下り線が午前7―8時まで通行止めになった。

 日本自動車連盟室蘭支部(JAF)では、雨の影響で「エンジンがかからない」などの救助要請が、同日午前零―正午までに室蘭19件、登別5件あったという。このうち16件(室蘭11件、登別5件)を救助した。

◆――― チマイベツの取水一時停止

 大雨でチマイベツ川の濁りが強まったため、室蘭市は23日午前5時からチマイベツ浄水場の取水を停止した。同11時から順次取水を再開し、午後1時半に完全復旧した。家庭での濁水や断水はなかった。

 水道部によると、施設の処理能力は濁度20から30度。取水停止基準の20度を超えた段階で停止した。源水濁度は一時200度まで上昇したという。千歳浄水場の濁度は問題がないという。

 チマイベツ浄水場は本輪西地区以西を供給エリアとしているが、複数の配水池に「半日分」の水を貯水している。取水停止後は配水池からの給水により再開までをカバーした。

 水道部は昨夏、北見市で起きた濁水流入による断水問題を受け、濁度による取水停止基準を明確化。取水停止を現地判断で行えるよう機動性も見直した。今回が初の運用事例となった。
(鞠子理人)

【写真=室にたまった水をバケツで取り出す藤森さん夫婦=23日午前11時55分(上)、JR室蘭線の運転再開に向けて急ピッチで作業を進める作業員=23日午後11時ごろ、幌萌町(下)】
 
 


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