高松放送局

2008年7月24日 9時5分更新

「検査せず死亡」病院に賠償命ず

高松市内の病院に救急車で運ばれた女性が、大動脈りゅうの破裂で死亡したのは、病院側の診断ミスが原因だったとして、女性の遺族が、病院を経営する社団法人に5千万円余りの損害賠償を求めていた裁判で、高松地方裁判所は23日病院側に5千万円余の支払いを命じる判決を言いわたしました。

この裁判は、平成16年1月、背中の痛みを訴えて、高松市の社会保険栗林病院に救急車で運ばれた当時55歳の女性が一旦帰宅したあと、およそ12時間後に胸の大動脈りゅうの破裂が原因で死亡したことを巡り、女性の遺族が、「医師が適切な検査をせず、大動脈りゅうを見落としたのが原因だった」として、病院を経営する東京都の、「社団法人全国社会保険協会連合会」に対し、およそ5400万円の損害賠償を求めていたものです。

病院側は、女性にCT検査などは行わず、尿路結石と診断して、鎮痛剤を渡しただけで、そのまま帰宅させていました。

判決で高松地方裁判所の森實将人裁判長は「担当した医師が尿路結石と診断する積極的な所見はなく、女性が、重篤な状態にあった可能性は否定できなかった」と指摘しました。
その上で、「医師には、少なくともCT検査をする注意義務はあり、検査をしていれば、大動脈りゅうを見つけて命を救えた可能性が高かった」として、病院側に対し、およそ5200万円の賠償金の支払いを命じました。