岐阜大学医学部付属病院(岐阜市柳戸、森脇久隆院長)は23日、今年3月に岐阜市の70代男性に行った脳と硬膜の間にたまった血腫を取り除く手術で、直径2ミリのチューブが脳に刺さる医療過誤があった、と発表した。男性には歩行障害と視覚障害が出て、今も視覚障害は残っているという。

 同病院によると、男性は2月に自宅で転倒。その後、認知症などの症状が現れ、慢性硬膜下血腫と診断され、血腫を取り除く手術を受けた。この際、頭に開けた穴から挿入したチューブが頭頂部の脳の表面を傷つけ、歩行障害と視覚障害が出た。歩行障害はリハビリで改善されたという。

 今回の発表は、同病院が半年ごとに行う医療事故の公表マニュアルに沿って初めて行った。ほかに後遺症が残った医療過誤としては昨年9月、男性患者の人工呼吸器を外した際、気管にたんが詰まって心肺停止となった。看護師が3時間ごとに男性のたんの吸引をしていたが、その間にもたんがたまって気管に詰まった。男性は再び人工呼吸器が必要となり、もともとの疾患で1カ月後に死亡した。同病院は監視の状態に問題があったとしている。これらを含め昨年1年間で公表マニュアルに基づく案件は、患者に処置する前に医薬品や医療器具の不具合などに気付いた「ヒヤリハット」のケースも含め1599件あり、うち患者に何らかの事後処置が必要だったのは約11%の175件だったとしている。