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【主張】八王子通り魔殺人 身勝手な凶行を断ち切れ
身勝手で理不尽な凶行でまた、尊い命が奪われた。今度は東京都八王子市の駅ビル書店でアルバイトをしていた女子大生が犠牲となった。あまりにもむごい通り魔事件に強い憤りを覚える。
なぜこうも無差別殺人が続くのか。何としても無軌道な凶悪犯罪の連鎖を断ち切らねばなるまい。
一人一人が、どうやれば通り魔事件を防止できるか、知恵を出し合って、安心、安全な街づくりを築いていきたい。
それにしても、無差別な通り魔事件が続発している。
警察庁のまとめでは、通り魔による殺人、殺人未遂事件は平成10年から昨年までの10年間で計67件発生している。この間は年間の発生件数がいずれも1けた台で推移していた。ところが、昨年から増加の傾向をみせ、今年になって犠牲者も多数で、残忍な無差別殺人が目立つ。
3月には、茨城県土浦市のJR荒川沖駅で、24歳の男が通行人などを無差別に刺し、8人を死傷させた。この事件に触発されたのか、3カ月後には歩行者天国でにぎわう東京・秋葉原で25歳の派遣社員の男がトラックで突っ込み、ナイフで通行人を次々と刺して、17人が死傷した。
事件に共通するのは容疑者が、「誰でもいいから殺そうと思った」と供述することだ。秋葉原の容疑者は、「世の中がいやになった。誰でもよかった」といい、土浦の事件では、「複数殺せば死刑になると思った。誰でもよかった」と供述している。
今回の八王子の33歳容疑者も、「むしゃくしゃしてやった。仕事のことで両親とトラブルになり、とっさに無差別に人を殺そうと決意した」という。あまりにも幼稚で身勝手極まりない。
通り魔殺人のいずれの容疑者も、自己の不満のはけ口として、短絡的に殺人に及んでいる。秋葉原事件の容疑者などは、「こうなったのも社会、会社が悪いからだ」と、責任を転嫁し凶行に走っている。
事件が起きるたびに識者からも、格差社会の問題などを指摘する声が聞かれるが、的外れではないか。そうした身勝手な理由による凶行を許さないという社会の姿勢こそ重要だ。
人通りの多い繁華街には、凶行を抑止するため、多くの警察官を重点配置するのも必要だろう。