富山県射水(いみず)市の射水市民病院(麻野井英次院長)で人工呼吸器を外された末期患者7人が死亡した問題で、県警は23日、呼吸器を外したとして元外科部長の伊藤雅之医師(52)と、当時同僚だった男性医師(47)を殺人容疑で富山地検に書類送検した。県警鑑定では7人全員が回復不能の状態だった。死亡との因果関係立証は困難とみられ、地検は立件の可否を慎重に判断する。
調べでは、7人は県内在住の54~90歳(当時)で男性4人、女性3人。6人は伊藤医師が自ら、残る1人は男性医師が伊藤医師の指示で呼吸器を外し死亡させた疑い。伊藤医師は「延命治療の中止」、同僚医師も「安楽死、尊厳死には当たらない」などと供述しているという。
専門医の鑑定では、当時、呼吸器を外さなくても余命が2、3時間だった患者が3人、12~24時間が3人だった。残る1人も呼吸器を装着したままなら数日間は生存した可能性があったが、回復不能で、遺族にも処罰感情はないという。県警は送検時に付ける意見書に「厳重処分を求める」とは記載しなかった。【茶谷亮、蒔田備憲】
毎日新聞 2008年7月24日 東京朝刊