厚生労働省は23日、新たな治療法開発などを目的に医療機関が行う臨床研究の倫理指針を5年ぶりに改め、被験者(患者)に健康被害が起きた際の補償を義務化する方針を決めた。近く関係機関に改正指針を通知し、来年度、運用を始める。
薬の副作用や医療機器の不具合による健康被害は、承認済みや承認に向けた治験であれば国の救済制度などで補償が受けられる。しかし、医師が倫理委員会の承認を経て自主的に新薬の効果を調べるような場合は対象外。臨床研究では、医療機関側に過失がない限り被害補償がないことの了解を得たうえで参加してもらうケースも多かった。
改正指針では、研究者の責務として、補償のための必要な措置と被験者への事前説明、文書による同意を義務付けた。金銭補償については保険会社が新たに商品化する損害保険への加入を求める。【清水健二】
毎日新聞 2008年7月24日 東京朝刊