東京都八王子市の京王八王子ショッピングセンターの書店で22日夜、女性店員と女性客が刃物で襲われた無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で緊急逮捕された会社員菅野(かんの)昭一容疑者(33)が警視庁の調べに、「仕事の人間関係などで(事件の)2、3日前からむしゃくしゃしていた」と供述していることがわかった。
菅野容疑者は「親が話を聞いてくれず、大きな事件でも起こせば自分の名前がマスコミに出るだろうと思ってやった」とも供述。5月から勤める板金加工会社の仕事などを巡る周囲との不和が事件の背景にあると同庁はみている。
捜査1課などの調べに、菅野容疑者は仕事内容などについて父親から厳しく言われていた、などと説明。「反発したかったができず、いらいらがたまった」「父親は普段から話を聞いてくれなかった」などと話しているという。
事件当日は、両親と同居する同市内の自宅を昼過ぎに出たと説明。「午後2〜3時ごろ、現場近くの100円ショップで凶器の包丁を買った」と話しているという。包丁購入後、午後9時40分ごろの事件まで、周囲を歩き回るなどしていたとみられ、同課は詳しい足取りを調べている。
また、書店内の防犯カメラの映像などから、菅野容疑者はエレベーターで、1階からまっすぐ書店がある9階に行っていたことがわかった。店内をしばらく歩き回ってから、背負っていたリュックサックを床に置き、アルバイト店員で中央大4年の斉木愛(まな)さん(22)と客の女性(21)を包丁で相次いで刺したり切ったりしたとされる。
ショッピングセンター内で当時、営業していたのは9階の書店と10、11階のレストラン街だけだった。菅野容疑者は書店について、「特に選んだわけではない」という趣旨の供述をしているという。
一方、司法解剖の結果、斉木さんの死因は、左胸を刺されて心臓を傷つけられた失血死とわかった。